1. 「まさに、生物多様性」

「まさに、生物多様性」

最終更新日:2013.05.30

ザトウクジラタペストリー製作風景

ザトウクジラタペストリー製作風景

完成したザトウクジラタペストリー

完成したザトウクジラタペストリー

5月4日と18日に、博物館で、「ザトウクジラの実物大タペストリーをつくろう!」というイベントを行った。多くの子どもたちが参加し、マスコミにも取り上げられ、思いの外、賑やかな2日間だった。

このイベントは、7月12日~9月1日に博物館で行われる特別展「海山川のおくりもの 目からウロコの大生き物展~生物多様性ホットスポットJAPAN~」のプレイベントとして企画したものである。そもそも初めは、写真家の撮影した本物の実物大写真を、特別展の入口に飾れないだろうか、という発想であったが、写真家の事務所に問い合わせてみると、非常に高価で手が出せなかった。講演だけでも桁の違う相場である。1枚の写真撮影に莫大な経費をかけ、命がけで撮影するのだから、よくよく考えれば、それを安易に手に入れようなどは、虫の良い話である。断念しようと思った矢先に、ふと良いアイデアが浮かんだ。「絵を描くなら安くできるんじゃないか?しかもそれを子どもたちに描かせたらおもしろいんじゃないか・・・」


下地となる布生地の種類やら大きさを、生地屋さんに相談すると、快く引き受けてくれた。「うちは、学芸会だとか小学校なんかの学習発表会で使う様な生地を扱っているから、慣れてるよー。だけど、縫い合わせなんかはちょっと汚いかもよー。プロじゃないからサー。」・・・って、いやいや、売ってるんだからプロですよ・・・。かくして、まず、タテ4m、横16mの布が完成した。
博物館の空き部屋で広げて、鉛筆で下絵を描き、マジックでなぞった。私とGさんとKさんの3人で走り回って、あっという間に下絵は完成した。後は塗るだけだ。


こどもたちいっぱい来てくれるかな・・・。Oさんの宣伝が奏功し、当日は大きな布が子どもで埋まった。ちょっと説明して、「さあ!塗ろう!!」と開始をしたとたん、ローラーやら刷毛やらで、ベタベタに塗りまくる子どもたち。正直に言うと、このとき、私はちょっと不安だった。「この野放し、野生状態で、本当にちゃんとクジラになるんだろうか・・・。」いろいろと注文を付けたくなるのをグッと我慢して自分に言い聞かせる。「これは子どもたちのためのイベントなのだ。少々クジラが汚くったって、下手だっていいじゃないか!」かくして、思い思いの巨大塗り絵は続く・・・。なぜか顔にべっちょり絵の具が付いてる子、きれいな洋服を汚さないように、ゴミ袋をかぶっている子、何かが気に入らなくて刷毛をぶん投げている子。クジラをピンクに染めていく子。まさに十人十色。これぞまさしく「生物多様性」の個体変異ではないか!終わりに近づいていくと、もう遊び場状態。どの子も、足の裏は真っ青に染まっているのだった・・・。


さてさて、完成品はどんなかなー。このクジラタペストリーは、特別展の会期中、博物館・美術館のエントランスに飾られます。ぜひ見に来てね!!

主任学芸員 山﨑仁也

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