最終更新日:2010.02.26
「八重山島諸村公事帳」
石垣市立八重山博物館蔵
「石垣市史叢書2 与世山親方八重山島規模帳」
石垣市総務部市史編集課
2010(H22)年度の沖縄県立博物館・美術館 博物館特別展は八重山展(仮称)が予定されています。
年明け間もない2月4日には、新石垣空港建設予定地内の洞穴から発見された人骨が、人骨そのものの放射性炭素年代測定による年代としては日本最古となる約2万年前のものであることが大きく報道されました。今年はいわゆるオヤケアカハチの乱から510年目にあたることもあり、博物館では八重山ずくめの1年になりそうです。
ところで、昔のことを知るには遺跡や出土物、古文書等を手がかりにすることが一般的です。特に古文書は当時の人々の暮らしぶりや、社会状況などを示す史料としてとても重要です。八重山の場合は乾隆36(1771)年の大津波で多くが流出してしまいましたが、先の大戦で比較的被害が少なかったこともあり、古文書が多く残されています。しかし、古文書は昔の文体で、しかも崩し字で書かれているために一般の人が読むことは簡単ではありません。ですが幸いなことに石垣市総務部市史編集課が古文書を翻刻(活字に組むこと)し、中学生でも読めるように口語訳を付けた『石垣市史叢書』を刊行しています。(難しい用語の説明も巻末にあります)
近世八重山では地方役人(じかたやくにん)による不法搾取が甚だしかったといわれますが、先の叢書『八重山島規模帳』を読むと、王府から出された地方役人に対する業務改善命令的な文書が行政布達として記述されており、具体的な様子が浮かんできます。また、『日記抜』では廃藩置県時に八重山の役人層がどの様に対応したのかを知ることができるなど、原史料を直接閲覧しなくてもこのような書籍を読むことで、当時の八重山の様子を知ることができます。
※八重山展(仮称)
2010年9月24日(金)~11月23日(火)
主任学芸員 岸本 弘人