1. ヤンバルクイナの剥製

ヤンバルクイナの剥製

最終更新日:2007.08.30

ヤンバルクイナは1981年に新種として発表された全長30cmほどの飛べないクイナです。歩行性であるため足はがっしりしており、危険が近づくとかなりのスピードで藪のなかに逃げ込みます。

イタジイを中心とした常緑広葉樹林で、シダ植物が繁茂する斜面や渓流ぞいが本来の生息場所ですが、林道等が敷設されたため、そこに姿をみせた個体が交通事故に遭うことが増えています。カタツムリ、昆虫、カエル、トカゲなどを捕食し、夜間は、おもにイタジイの比較的水平な枝の上をねぐらにします。

一夫一妻制で、5月から7月頃に、川の近くのシダなどが茂る急斜面に落葉などで浅い皿状の巣をつくり、4~5個の卵を産みます。卵は3週間で孵り、ヒナはすぐに歩くことができ、1~2日で巣から離れます。

ヤンバルの豊かな自然を象徴するヤンバルクイナも、発見から20年余りですでに絶滅の危機に瀕しています。何よりも大きな原因は外来種であるマングースや捨てられたネコ・イヌによる捕食ですが、林道の敷設も外来動物の侵入に拍車をかけています。ヤンバルクイナが博物館の剥製としてしか見ることができないということにならないことを祈るばかりです。


 

主任学芸員  田中 聡

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