過去の展覧会
この展覧会は終了しました
美術館 企画展2023年11月03日(金) ~ 2024年01月21日(日)
HEAVY ずっとそこに暗く深い闇が
POP どこまでも鮮やかな原色
OKINAWA ここから闇と原色のアート
—照屋勇賢
消耗品の紙袋が、本来の姿である「木」として立ち上がる《Notice–Forest》、琉球王国時代から続く紅型が、現代の沖縄と世界を翻訳する《結い、You-I》、おもちゃの貨幣を用いて、私たちの日常に普及している「象徴」の力を浮かび上がらせる《Monopoly》—。
本展は、照屋勇賢(てるや・ゆうけん)の初期から最新作まで紹介し、その仕事の全体像に迫る沖縄で初の大規模な個展です。照屋の作品は、heavyとpopが混在する沖縄の現在を投影し、普段私たちが気にも留めない「当たり前」を揺さぶります。それは、あらゆる場所で直面している分断や境界を乗り越えて、これからの世界を共に考えていく未来を想像させるでしょう。
WEB CM(15秒)
WEB CM(30秒)
「照屋勇賢 オキナワ・ヘヴィー・ポップ」公式図録として、展示風景、作品画像、そして展覧会でご紹介できなかった過去作品の画像も掲載!アーティスト照屋勇賢の言葉ほか、多彩な執筆者による論考・対談などを収録しています。
内容:表紙+本文 144p+中綴じ16p(別冊:作品解説8p付)
販売価格:3,520円(税込)
※送料・振込手数料は別途、購入者負担となります。ご了承ください。
【お問い合わせ先】
yuimui@okichura.jp(ミュージアムショップゆいむい)
当館の公式SNSをフォロー、もしくはキャンペーンの対象ハッシュタグをつけてSNSに投稿するとオリジナルステッカー(全3種)をプレゼントします。※なくなり次第終了
・受け渡し場所
ミュージアムショップゆいむい(金・土の18時以降は総合案内)
照屋勇賢と、高校時代の恩師・翁長直樹による対談動画です。照屋が表現を楽しむ原点となった幼少期のエピソードから、ベルリンに拠点を移した現在に至るまで、親交の深いお二人ならではの話をしていただきました。(時間:59’25”)
[収録日:2023年8月21日 場所:沖縄県立博物館・美術館講堂]
風船はひとたび手を離すと、空のどこまでも遠くへと自由に飛び立っていきます。一方、78年前に多くの命を奪った沖縄戦の証言者でもある戦争遺物は、今なお土の中に残されて、流れる時間の中で風化していこうとしています。こうして私たちが立っている美術館の下にも、まだ人知れず残されているのかもしれない砲弾の欠片。人の目に触れぬ戦争の痕跡たちは、記憶の風化に伴って、まるで地下深くへとどんどん沈んでいくかのようです。
ふわふわと自由に空へ飛んでゆく風船は、今まさに忘れ去られようとしている、とても大切な重たい「これまで」を、はるか先の「これから」まで運んでくれることでしょう。
想像し、対話し、互いを知って共感することが、あなたとわたしがいる世界の分断を乗り越える力になっていきます。
米軍ヘリが墜落した現場から沖縄の人々を追い出して、米軍が突如そこを占拠したとしても、米兵が注文したピザのデリバリーだけ規制線を超えられたように、ピザを介して向こう側へ行くという、思いがけない方法を発見することだってできるのです。
あらゆる場所で人々は、支配構造や権力に抗い、天と地をひっくり返す試みを続けてきました。たとえそれがまた元に戻ってしまったとしても、ひっくり返す試みをやめることはありません。
あなたとわたしの間に存在する当たり前の価値観も、形を変えて見ると、高級ブランドのハイヒールだって、サナギにとっては蝶へ羽化するための宿木になってしまいます。日々買うものの価値を測り交換するためのお金も姿を変えます。パーク・アベニューだって買えてしまうモノポリーゲームのおもちゃのお金は分解されて、資本や宗教、歴史的価値をつかさどる別の形──例えば教会や美術館に変化します。
ファストフードを買った時、ブランド品のアクセサリーを買った時、私たちが受け取る消耗品の紙袋には、かつて森の中に存在する木だった過去があります。紙袋の側面を葉の形に切り取り、幹の形を立ち上げることで、紙袋は再び本来の姿である木となり、そこには小さな森の世界が広がります。
照屋は、アリストテレスの自然哲学から《告知―森》の着想を得たと語ります。どんぐりは、今はどんぐりとしての姿形をしていますが、いずれ樫の木になる本質を内に宿しています。やがて芽吹いて大きな木へと成長した樫の木は、またどんぐりを作ります。たとえ消費され捨てられてしまう紙袋一つでも、すべてのものは今の姿に、未来の可能性を内包しています。
琉球王国時代から続く伝統的な染色である紅型は、近代の日本統治によるあらゆるシステムの変化、沖縄戦による着物や道具の焼失など、様々な苦難を乗り越えて現代にまでその表現が受け継がれてきました。照屋の作品では、伝統的な紅型に登場する模様が、今の沖縄を表す図柄──爆撃機やパラシュート部隊、辺野古に生息するジュゴン──に置き換わり、現代の沖縄や世界を表現します。
近年では、照屋は紅型を沖縄で育まれてきた主体的な表現の形として捉え、紅型で表現することで、支配/被支配、民衆の歴史など、沖縄を主軸にしながらも普遍的な権力と表現の問題へとテーマの広がりを見せています。
1973年生まれ。沖縄県南風原町出身。1996年多摩美術大学美術学部絵画科油絵専攻卒業。2001年ニューヨーク・スクールオブビジュアルアーツ修士課程修了。以降ニューヨーク、ベルリン、沖縄を拠点に活動。
《告知―森》シリーズをはじめ、紙袋などの日用品を用いながらその意味をずらすことで、普段は気づかない価値観や枠組みなどの問題を作品化する。2002年「VOCA展2002」奨励賞受賞。同年「オールドリッチ現代美術館」新人作家賞受賞。近年の主な個展に「照屋勇賢:On Okinawa、過去と未来からのコレクション」展(2014~15年、ベルリン国立アジア美術館)、「沖縄復帰50年特別企画 照屋勇賢展 CHORUS」(2022年、那覇文化芸術劇場なはーと/沖縄)がある。
会期 | 2023年11月03日(金) ~ 2024年01月21日(日) |
---|---|
場所 | 企画ギャラリー1,企画ギャラリー2 |
観覧料 |
【一 般】¥1,200(¥960) 【高・大生】 ¥800(¥640) 【小・中生】 ¥500(¥400) ※( )は前売ならびに20名以上の団体料金 ※未就学児無料 ※障がい者手帳か療育手帳をお持ちの方と介助者の方1名様は当日料金の半額 ※キャンパスメンバー(沖縄県立芸術大学・沖縄国際大学・専門学校尚学院国際ビジネスアカデミー)の方は( )内の金額を適用 【プレイガイド】 ■前売券 ※販売は11月2日(木)まで ミュージアムショップゆいむい(沖縄県立博物館・美術館内) ジュンク堂書店 那覇店 デパートリウボウ ローソンチケット(Lコード82840) ■当日券 沖縄県立博物館・美術館内チケット売場 ローソンチケット(Lコード82840) |
開館時間 | 9:00~18:00(金・土は20:00まで) ※入場は閉館の30分前まで |
休館日 | 月曜日、年末年始(12/29~1/3)、1/9(火) ※ただし、1/8(月)は開館 |
主催 | 沖縄県立博物館・美術館 |
特別協力 | Yuken Teruya Studio |
協力 | (一社)琉球・沖縄美術コレクション協会 |
助成 | 公益財団法人 花王芸術・科学財団、芸術文化振興基金助成事業、公益財団法人 小笠原敏晶記念財団 |
後援 | 沖縄県教育委員会、那覇市教育委員会、沖縄県文化協会、那覇市文化協会、NPO法人沖縄県立美術館支援会happ、一般財団法人沖縄観光コンベンションビューロー、NHK沖縄放送局、沖縄テレビ放送、琉球放送、琉球朝日放送、沖縄タイムス社、琉球新報社、エフエム那覇、エフエム沖縄、ラジオ沖縄 |