博物館では、沖縄の自然・歴史・文化に関する資料を体系的に広く調査研究、収集、保存、展示を行っています。
これにより、沖縄の文化を保全・継承し、知識と理解を深め、本県の文化の向上、発展に寄与することを目的に活動しています。
Works 01.仕事その1
博物館の収蔵件数は約94,000点(2017年3月時点)で、県内一の収蔵数を誇ります。
沖縄の自然史にまつわる岩石や化石、生物の標本をはじめ、人々の営みから生まれた民具や美術工芸品、古文書など、発掘調査や個人、団体からの寄贈、購入により、年々その件数を増しています。 博物館の実の顔は、展示室ではなく収蔵庫と言えるほど、多くの貴重な資料が、大切に収蔵庫に保管されています。収集した資料を時代別、カテゴリー別に分類し、それぞれに適した温度や湿度で管理・保存することで、後世へと継承していくことも博物館学芸員の大きな役割のひとつです。バックヤードツアーでは、多くの収蔵品がどのように大切に保管されているか等、学芸員の仕事内容を垣間見ることができます。
Works 02.仕事その2
学芸員の仕事の中で調査研究は、博物館の他の機能(収集・保存、展示、教育普及活動)の基礎となる重要な仕事です。
収集した資料を調査研究してはじめて、その資料の価値が明らかになります。また、それが当時の自然環境や文化を知る手がかりにもなり、新たな調査研究にもつながります。
当館では、「総合調査」として、全学芸員がひとつの地域を対象に、自然、歴史、民俗、考古、美術工芸、建築の基礎資料の掘り起こしと収集を行っており、1993年の久米島を皮切りに、毎年、報告書や論文、展示の形で、沖縄の離島の自然や文化を発信しています。また、他機関との共同研究、学芸員それぞれによる個別の調査研究も行っています。
Works 03.仕事その3
博物館の貴重な資料を、テーマに沿って展示することで、沖縄の自然、歴史、文化を分かりやすく伝えていくのも博物館学芸員の仕事です。
それぞれの収蔵資料には、資料自体の美しさ、歴史的な価値、資料的な価値が備わっています。資料の価値を引き出すような展示を心がけており、見る人が理解を深めることができるよう解説を添えて展示しています。常設展や年3回程度開催される特別展や企画展を通して、常に魅力ある伝え方ができるよう工夫を凝らしています。
美術館では、沖縄及び沖縄にゆかりのある作家と日本及びアジア諸国の作家の現代美術を中心に調査研究、収集、保存、展示を行っています。
これにより、沖縄の文化を保全・継承し、知識と理解を深め、本県の文化の向上、発展に寄与することを目的に活動しています。
Works 01.仕事その1
当館では、沖縄の美術を支え発展させてきた美術家・芸術家たちの、平面美術(絵画、版画、デザイン)をはじめ、立体芸術(彫刻、オブジェ、複合作品等)、映像芸術(写真、映画、映像作品)を中心に作品を収集しています。
収集した作品は、それまでの保管環境(温度・湿度・扱い方等)により傷みがある場合も多く、学芸員はそれらを修復していくため、まずどの状態まで修復するか、どのような方法で修復するかについて、作業計画を立てます。そして、その計画に基づき、汚れを落とすための洗浄や、色を補う補彩作業等を行なっていきます。そうして理想の状態まで修復した後、その作品に適した温湿度の収蔵庫で保管しています。収蔵庫は、24時間、365日、適正な環境を保つため、常に温湿度や害虫の侵入等をモニタリングしています。
Works 02.仕事その2
収蔵されている貴重な作品について、誰が、どの時代に制作したのか、どのような材料を使用したのか等、作家本人や関係者からの聞き取り、様々な文献から調査し、論文・報告書の形にすることも美術班学芸員の仕事のひとつです。
このような調査研究は、作品に対する理解を深め、その価値を高めることにつながり、さらに今後の当館の収集計画にもつながっていきます。
来訪者の皆様に、沖縄近現代美術の流れについて分かりやすくご案内するために、解説やアニメーションで楽しく学べる「沖縄美術史年表」を当館ホームページで公開しています。
Works 03.仕事その3
作品をどのようなコンセプトで展示し、来訪者に分かりやすく伝えるかを考えるのも学芸員の仕事です。
まず、展覧会のテーマを決定し、それに沿って展覧会の構成、レイアウトを作成します。当館は、沖縄や沖縄にゆかりのあるアーティストによる作品を中心に、歴史的な観点で捉える展示や、表現の多様性を中心に考える展示を行っています。また、コレクション展では、当館の収蔵作品を作家や時代、作品の種別などのテーマで展示しています。
さらに、県内の学校で学芸員が美術や鑑賞マナーの授業を行う「出前授業」、生徒を美術館に招待する「美術館へ行こう!」や、美術館でアーティスト等と一緒にものづくりを楽しめる「アートミュージアムキッズクラブ」、美術館へ足を運ぶことができない離島に住む子どもたちのための「移動展」等、美術の楽しさを伝える活動を行っています。
梶原正史(かじはらまさし)
美術館保存修復担当
私は、寄せられた美術品について、その美術品が制作された時代背景を調べ、痛みがある場合は、その傷み具合や修復計画を立てる「保存修復」を担当しています。
施設で美術品の保存修復を行うだけでなく、世界各地にいる保存修復師たちとの意見や情報交換を行い、美術品に最適な保存修復方法を常に研究しています。美術館に訪れただけでは、解りづらい裏方の仕事ですが、以前「ニシムイ展」を開催した時に、来訪者の方から「ありがとう」という言葉をいただくことができました。これまで、保存修復の仕事って「すごいですね」と言われたことはありましたが、「ありがとう」と言ってもらえたのは初めて。おそらく、お客様が昔に見た状態に修復できたことで、当時の思い出が蘇ってきたからなのかと思います。本当に嬉しい体験でした。
富原圭子(とみはらけいこ)
美術館教育普及担当
教育普及の仕事は、美術館にまだ足を運んだことのない方に、いかに美術に興味を持っていただくかを考え、足を運ぶきっかけづくりを企画し運営するものです。
ボランティアガイドさんと一緒に、美術館ツアーを実施するほか、バックヤードツアーの開催や、県内の小学生に美術館でのマナーや楽しみ方を教えています。また、展示会の関連催事ワークショップや、ギャラリー・キュレーターとのシンポジウム、さらにそれらの広報活動等も、教育普及担当の仕事です。先日の美術館主催の「アートコンクール」には、県内全域から子供たちの作品が多数寄せられました。子供たちにとって、自分の作品が美術館に展示されるという嬉しい体験ができたこと、またご家族の方にも喜んでいただけたのを感じた時、教育普及の必要性を深く感じました。
学芸員の声1
篠原あかね(しのはら あかね)
博物館美術工芸担当
沖縄の自然や歴史・文化に興味があり、現在は美術工芸の担当として、陶磁器、漆器、絵画等の調査研究や、保存、展示に関わっています。
美術工芸品は、そのもの自体に歴史且つ資料的価値があるだけでなく、美術品としての美しさがあります。それらをガラス越しでなく一番近い場所で手に取り鑑賞できるのは学芸員の特権かもしれません。美術工芸品から受けた感動を、さらにそれを見に来た人にお伝えすることで、感動の連鎖が生まれることに、とてもやりがいを感じています。
学芸員の声2
宇佐美賢(うさみ けん)
博物館自然史・地学担当
沖縄は陸地面積が全国の1%というとても小さな島々からなっていますが、コンパクトな中にも、多種多様な自然・生物にあふれた場所です。
これらの調査に関わることで、島々の成り立ちや、自然により育まれた人類の歴史に触れることができます。その楽しさ、感動を、博物館内で知識として伝えるだけでなく、屋外でのジオツアーを通して体感型で学び、感動を味わう企画も行なっています。これまでの研究で数多くのことが解明されてきましたが、実際に現地に赴き、調査、発掘することによる新たな発見や、自然に触れて体感する感動は、この仕事ならではの楽しさだと感じています。