
昔、一人娘でよそにも出ないで寝込んでいるハイカラな娘さんがおったってね。それが夜同じ時間になったら綺麗な男が入ってきて、その女の子はやっぱり痴漢にあったんだが、夫欲しさに交際しておったそうだ。隣にね、年寄りの婆さんがおったって。その女の子は何か自分の体に変化があったもんだから、その婆さんに伺ったんじゃないか。「婆様、一つ私(うち)が聞きたい話があるが、どうかね。」と言ったら、「いいよ。」と言って、婆さんがその話を聞いてからね、「同じ時間に来て、また昼にならんうちに帰っていくんだったらよ、夜なべしてこしらえた糸をね、針に外れないようにちゃんと通してくびったのを準備しておきなさい。あの人が来てあんたの上に上がったときに、気づかないように頭の髷に刺して行かしなさい。」と。その当時は女は、糸を紡ぐでしょ。糸紡ぐ糸は反物にかけてからまた機織りしたでしょ。あの糸を入れる籠もちゃんとあったさね。だから、その糸をちゃんと婆さんから言われた通りやって準備しておいて、その男が晩に来て自分の上にあがったもんだからさ、気づかないように頭に刺しておいたみたい。婆ちゃんは、「その紡いだ糸は切れないで引っ張って行っているからその糸のあとを追ってね、どこに行ったか調べてみなさい。」って教えてくれたから、次の日の朝、婆ちゃんに教えられたように、それを道標にずうっと辿って行くと、あんまり遠くに行かない近くの森に洞穴があったって。その洞穴の中に糸が続いていたから、その中に転がりながら入ってから、確かめたら、大きな蛇だったって。この女の子が驚いていたらね、やっぱり蛇だから人間の刺したこの針は外すことはできないでしょ。その蛇は痛いってから、いろんな変な声を出していたって。娘は妊娠しておったって。この婆さんにね、「こういう状態になっているがどうしたらいいか。」って聞いたら、婆さんは、「心配するな。これは、旧の三月三日の日になってきたらね、フーチバー〔蓬〕を叩いて汁を絞って入れた餅を作ってね、恰好は菱形に切って食べなさい。その日は潮が引くから潮干狩りに出てからね、深みがあっちこっちにあるでしょう。あれが股越しにくるでしょ、あれを股越しに飛び越えなさい。」と言うから、菱形の蓬餅を作って食べてそれから潮干狩りに行って、深みをぽんぽんこう飛んで行ったらね、こう水みたいのがぽんぽんみんな出たもんだから喜んでいたら、そのとき落ちたのがね、いろんな海の鰻になったってね。だから、この娘は鰻と結婚していったと。だから女の節句というのは、三月三日、男の子は五月、八月には男はね、フタンギという餅を食べて厄除けをするよ。これは年寄りは大切しないといかないという意味の話だね。
| レコード番号 | 47O341925 |
|---|---|
| CD番号 | 47O34C141 |
| 決定題名 | 蛇婿入り(共通語) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 前粟蔵寅三 |
| 話者名かな | まえあわくらとらぞう |
| 生年月日 | 19141201 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 不明 |
| 記録日 | 19970313 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 与那国町久部良 T13 B11 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 12 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | 仕事合間の仲間同士のおしゃべりから |
| 文字化資料 | - |
| キーワード | 一人娘,綺麗な男,婆さん,糸,針,頭の髷,洞穴,蛇,妊娠,旧の三月三日,フーチバー,餅,菱形,潮干狩り,股越し,鰻,女の節句 |
| 梗概(こうがい) | 昔、一人娘でよそにも出ないで寝込んでいるハイカラな娘さんがおったってね。それが夜同じ時間になったら綺麗な男が入ってきて、その女の子はやっぱり痴漢にあったんだが、夫欲しさに交際しておったそうだ。隣にね、年寄りの婆さんがおったって。その女の子は何か自分の体に変化があったもんだから、その婆さんに伺ったんじゃないか。「婆様、一つ私(うち)が聞きたい話があるが、どうかね。」と言ったら、「いいよ。」と言って、婆さんがその話を聞いてからね、「同じ時間に来て、また昼にならんうちに帰っていくんだったらよ、夜なべしてこしらえた糸をね、針に外れないようにちゃんと通してくびったのを準備しておきなさい。あの人が来てあんたの上に上がったときに、気づかないように頭の髷に刺して行かしなさい。」と。その当時は女は、糸を紡ぐでしょ。糸紡ぐ糸は反物にかけてからまた機織りしたでしょ。あの糸を入れる籠もちゃんとあったさね。だから、その糸をちゃんと婆さんから言われた通りやって準備しておいて、その男が晩に来て自分の上にあがったもんだからさ、気づかないように頭に刺しておいたみたい。婆ちゃんは、「その紡いだ糸は切れないで引っ張って行っているからその糸のあとを追ってね、どこに行ったか調べてみなさい。」って教えてくれたから、次の日の朝、婆ちゃんに教えられたように、それを道標にずうっと辿って行くと、あんまり遠くに行かない近くの森に洞穴があったって。その洞穴の中に糸が続いていたから、その中に転がりながら入ってから、確かめたら、大きな蛇だったって。この女の子が驚いていたらね、やっぱり蛇だから人間の刺したこの針は外すことはできないでしょ。その蛇は痛いってから、いろんな変な声を出していたって。娘は妊娠しておったって。この婆さんにね、「こういう状態になっているがどうしたらいいか。」って聞いたら、婆さんは、「心配するな。これは、旧の三月三日の日になってきたらね、フーチバー〔蓬〕を叩いて汁を絞って入れた餅を作ってね、恰好は菱形に切って食べなさい。その日は潮が引くから潮干狩りに出てからね、深みがあっちこっちにあるでしょう。あれが股越しにくるでしょ、あれを股越しに飛び越えなさい。」と言うから、菱形の蓬餅を作って食べてそれから潮干狩りに行って、深みをぽんぽんこう飛んで行ったらね、こう水みたいのがぽんぽんみんな出たもんだから喜んでいたら、そのとき落ちたのがね、いろんな海の鰻になったってね。だから、この娘は鰻と結婚していったと。だから女の節句というのは、三月三日、男の子は五月、八月には男はね、フタンギという餅を食べて厄除けをするよ。これは年寄りは大切しないといかないという意味の話だね。 |
| 全体の記録時間数 | 8:58 |
| 物語の時間数 | 8:30 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | ◯(雑音あり) |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |