
大俣の娘と野底の娘は仲のよい友達で寝るも起きるも三度の食事も一緒だったらしいけど、その友達の大俣の娘がひょっこりいなくなったんだって。「どこへ行ったんだろうなあ。」と思って、野底の娘は一週間とか一〇日とかずうっと島の浦々探していたら、宇良部岳の向こうにインビ岳(だき)という山まで来ると、そこに、今でも小さな池があるみたい。そこの池の傍で誰とは分からないけども、勾玉(まがたま)を糸でぬいてるもんだから、ようく見たら自分の友達の大俣の娘だから、「はあ、私は、ずうっとあんたを捜して、山の浦々を歩いていたけどもう諦めようかなと思っていたんだよね。ようく見たらあんただけど、あんた今日で一週間なるけどもどこまで行って来たの。」って言ったらね、大俣の娘は、「ううん、もうあんたに見つからないようにと思っていたけど、見つかったから仕方がないなあ。私は唐の国に行ってこんな勾玉を貰ってきた。これをもうずうっと糸に通しているけどね、あんたに見つかったからもう残った物はあんたにあげるわ。」ということで、野底の娘は唐に行ったというの大俣の娘からその勾玉を貰った。それをお家に持って帰って、祭りの宝物としていたそうだ。大俣の娘が唐から持ってきたのはその勾玉だけでなくて、ほかにもいろいろあって、野底の娘と分け合ったのは残りと思って貰ったけども、野底の貰った勾玉にいいのがあったらしいんだよね。それで、二五日間の祭りに、明日から入るとしたら久部良祭が始まる日になると、今もインビ岳(だき)の池に一升瓶を二本ぐらい持って行って、そこから池の水を汲んできて、祭りに使う物をいろいろ洗って、お花を生けたりして二五日間、やってきたという話ですね。それでね、そうして祭はやっていたけれども、もう新親時代になって、その水を取って拝む事を忘れていたわけさね。そしたら子供を育てるおっぱいが出なくなって手術したから、上の子供なんか二、三人死んだみたいだね。それで、三世相(さんじんそう)に調べてもらったら、三世相(さんじんそう)が、「水を取って拝まないと、このおっぱいはだめだよ。」と言われたから、また、祭りのときにインビ岳(だき)の池の水を汲むと、次の子供は育ったそうだよ。
| レコード番号 | 47O341655 |
|---|---|
| CD番号 | 47O34C126 |
| 決定題名 | 唐に行った大俣の娘(共通語) |
| 話者がつけた題名 | 野底と大俣の話 |
| 話者名 | 野底キク |
| 話者名かな | のそこきく |
| 生年月日 | 19161104 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 沖縄県八重山郡与那国町祖納 |
| 記録日 | 19960917 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 与那国町祖納 T02 B02 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 20 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | - |
| キーワード | 大俣,娘,野底,インビ岳,勾玉,まがたま,唐の国,祭り,宝物,久部良祭,池,おっぱい,三世相 |
| 梗概(こうがい) | 大俣の娘と野底の娘は仲のよい友達で寝るも起きるも三度の食事も一緒だったらしいけど、その友達の大俣の娘がひょっこりいなくなったんだって。「どこへ行ったんだろうなあ。」と思って、野底の娘は一週間とか一〇日とかずうっと島の浦々探していたら、宇良部岳の向こうにインビ岳(だき)という山まで来ると、そこに、今でも小さな池があるみたい。そこの池の傍で誰とは分からないけども、勾玉(まがたま)を糸でぬいてるもんだから、ようく見たら自分の友達の大俣の娘だから、「はあ、私は、ずうっとあんたを捜して、山の浦々を歩いていたけどもう諦めようかなと思っていたんだよね。ようく見たらあんただけど、あんた今日で一週間なるけどもどこまで行って来たの。」って言ったらね、大俣の娘は、「ううん、もうあんたに見つからないようにと思っていたけど、見つかったから仕方がないなあ。私は唐の国に行ってこんな勾玉を貰ってきた。これをもうずうっと糸に通しているけどね、あんたに見つかったからもう残った物はあんたにあげるわ。」ということで、野底の娘は唐に行ったというの大俣の娘からその勾玉を貰った。それをお家に持って帰って、祭りの宝物としていたそうだ。大俣の娘が唐から持ってきたのはその勾玉だけでなくて、ほかにもいろいろあって、野底の娘と分け合ったのは残りと思って貰ったけども、野底の貰った勾玉にいいのがあったらしいんだよね。それで、二五日間の祭りに、明日から入るとしたら久部良祭が始まる日になると、今もインビ岳(だき)の池に一升瓶を二本ぐらい持って行って、そこから池の水を汲んできて、祭りに使う物をいろいろ洗って、お花を生けたりして二五日間、やってきたという話ですね。それでね、そうして祭はやっていたけれども、もう新親時代になって、その水を取って拝む事を忘れていたわけさね。そしたら子供を育てるおっぱいが出なくなって手術したから、上の子供なんか二、三人死んだみたいだね。それで、三世相(さんじんそう)に調べてもらったら、三世相(さんじんそう)が、「水を取って拝まないと、このおっぱいはだめだよ。」と言われたから、また、祭りのときにインビ岳(だき)の池の水を汲むと、次の子供は育ったそうだよ。 |
| 全体の記録時間数 | 5:57 |
| 物語の時間数 | 5:50 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | ◯ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |