
昔、父親が早死にして男の子一人と母親と二人暮らしの家があった。母親は一人しかいない男の子だったので、わがままに育てているうちに、息子は母さんの言われることなど聞き入れないで、逆さのことばかりをして、仕事を言いつけても、自分の気ままにするばかりだったので、どうしても教えることができないでいた。その一人息子がある日、「僕は今日、畑仕事に行く。」と言って出掛けて行ったので、母親は、「それなら弁当を作って持って行ってやろう。」と急いで、そこにあるものをあれこれと取り揃えて弁当を作ると、その弁当を肩に出かけたが、もう昼過ぎになったので、母親は、「これは大変。急いで畑に行かなくては。」と早足で振り向きもせずに歩いているうちに、田んぼの手前にある川に差しかかった。何げなく、ひょっと向こうを見ると、自分の息子がやって来るのが見えたので、母親は、「弁当が遅いから怒って帰ってくるんだな。これでは子供にどんなことをされるかわからない。どうしよう。」と心配して道の側の川に飛び込んで落ちてしまった。それを見た子供は、「向こうから来たのは確かに、お母さんだったが、ここまで来て、川原に飛び込んだ様子だ。弁当が遅いので怒られると、川原に飛び込んだに違いない。」と思ったので、「お母さん、お母さん。」と呼んでも、返事がないから、子供は母親を探そうと川原に飛び込んで、川の中を潜って探し求めて、川底を手探りすると、手にさわる物があるので、取って見ると木切れだった。息子は、川から上がると、「自分が今まで、わがままばかりしていたので、こんなにお母さんに気遣いや苦労をさせてしまった。私が悪かったからお母さんがこんなことになった。」と親不孝を反省し、その木切れを家に持ち帰り、立派に削り直して、「これを母親の魂として拝もう。」と泣きながら、削っていると、手を傷付けて血がどろどろと流れ出て、その板切れに血が染まったので、板切れを乾して、母親の名を書き入れ、「私のような親不孝者はいない。許して下さい。」と拝んで、それからは一生懸命に働き、母の供養した。これが位牌を立てて拝んだ始まりになった。
| レコード番号 | 47O341599 |
|---|---|
| CD番号 | 47O34C123 |
| 決定題名 | 位牌の由来(音声なし) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 富里康子 |
| 話者名かな | ふさとやすこ |
| 生年月日 | 19160723 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 沖縄県八重山郡与那国町 |
| 記録日 | 19760803 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 該当する元テープなし |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 12 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 八重山諸島民話集 P75 |
| キーワード | 男の子,母親,わがまま,畑仕事,弁当,川,飛び込んだ,川底,木切れ,親不孝,反省,魂,血,供養,位牌,拝んだ |
| 梗概(こうがい) | 昔、父親が早死にして男の子一人と母親と二人暮らしの家があった。母親は一人しかいない男の子だったので、わがままに育てているうちに、息子は母さんの言われることなど聞き入れないで、逆さのことばかりをして、仕事を言いつけても、自分の気ままにするばかりだったので、どうしても教えることができないでいた。その一人息子がある日、「僕は今日、畑仕事に行く。」と言って出掛けて行ったので、母親は、「それなら弁当を作って持って行ってやろう。」と急いで、そこにあるものをあれこれと取り揃えて弁当を作ると、その弁当を肩に出かけたが、もう昼過ぎになったので、母親は、「これは大変。急いで畑に行かなくては。」と早足で振り向きもせずに歩いているうちに、田んぼの手前にある川に差しかかった。何げなく、ひょっと向こうを見ると、自分の息子がやって来るのが見えたので、母親は、「弁当が遅いから怒って帰ってくるんだな。これでは子供にどんなことをされるかわからない。どうしよう。」と心配して道の側の川に飛び込んで落ちてしまった。それを見た子供は、「向こうから来たのは確かに、お母さんだったが、ここまで来て、川原に飛び込んだ様子だ。弁当が遅いので怒られると、川原に飛び込んだに違いない。」と思ったので、「お母さん、お母さん。」と呼んでも、返事がないから、子供は母親を探そうと川原に飛び込んで、川の中を潜って探し求めて、川底を手探りすると、手にさわる物があるので、取って見ると木切れだった。息子は、川から上がると、「自分が今まで、わがままばかりしていたので、こんなにお母さんに気遣いや苦労をさせてしまった。私が悪かったからお母さんがこんなことになった。」と親不孝を反省し、その木切れを家に持ち帰り、立派に削り直して、「これを母親の魂として拝もう。」と泣きながら、削っていると、手を傷付けて血がどろどろと流れ出て、その板切れに血が染まったので、板切れを乾して、母親の名を書き入れ、「私のような親不孝者はいない。許して下さい。」と拝んで、それからは一生懸命に働き、母の供養した。これが位牌を立てて拝んだ始まりになった。 |
| 全体の記録時間数 | 0:00 |
| 物語の時間数 | 0:00 |
| 言語識別 | 音声なし |
| 音源の質 | 音声なし |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |