化け物岩(方言)

概要

昔、とても仲の良い友人三人がいたって。ある時、隣り村に面白い踊りがあるとのことで、三人は見にいき途中で雨が降ったので、道の側の岩陰に雨宿りしようとうずくまっていると、その中の一人は臆病者だったので、「私は真中に入れて。」と言って、三人で座り、雨宿りしていた。臆病者の真中に座っている友人の丁髷(ちょんまげ)に何か木の枝のような物が挿さって身動きできないので驚き、物も言えず、口も凍え、震え上がると側の二人は、それを見て驚き、その人一人を放り捨てて、逃げ出してしまった。そこに残っている臆病者は怖い上に置き去りにされ、どうしてよいかわからなくなり、また、「いつもは死ぬも生きるも三人は一緒だと約束していたのに、私一人放り捨てて逃げるなんて全く情けない。」と、なおもびくびくしながら動くに動けなく、我慢して丁髷にかかっているものを放そうと手で触ってみると木の枝でなく、なんと人間の手なので、一体、何事だろうと臆病者はびっくりしながら、どうしてよいやら心配になり、何がなんでもと、「神様、ほんとに神様がいらっしゃるんでしたら私を助けて下さい。」と心の中で祈ると気持ちも少々落ち着き、「人間なら何か言いなさい。」と言っても返事がない。ある限りの大声を、力いっぱい張り上げながら、髪にかかっているものを放すと、思いがけなく大きな音を立てて屁が出た。その屁と同時に髪を握っていた手が放され、ほっとしたので、神様に手を合わせ、「ありがとうございます。助けてもらってよかった。」と心も落ちつき、気がついたのは、そこが化け物岩であったので、あわてて道にとび出すと、そこに逃げ去った二人が帰ってきたので、「君たちはひどいな。俺一人放り捨てて逃げるなんてけしからんじゃないか。臆病者と知りながら、よくもひどいことをしてくれたな。いつもの約束とは違うじゃないか。私はやがて死ぬところを神様の助けで、気丈になり、思い切り引張ると、つい、大きな屁をひり、屁が出ると同時に捕えられていた手が放され、命拾いしたんだ。」と話すと、二人は、「私たちが悪かった。許してくれ。」とお詫びして、「人の強弱はその場に当たって見ないとわからないな。」と話して、命拾いのお祝いをしようとご馳走やお酒のある場所に行き、二、三日、飲み食べて、もう帰ろうと、家に帰ったら、村では三人が行方不明になったと大騒ぎし、親戚、村中の人々が探しに行こうと集まっているところに、三人が帰ってきたので、「お前たちはどこに行ってたんだ。」と取り囲んで叱りつけたので、三人は驚いて、「ちょっと待って下さい。私たちの話を聞いて下さい。私たちはこういう事情で、やがて死んでしまうところを命拾いして帰ってきました。」と話すと家族や村人たちも喜び、ありがたがって命拾いの祝いをしたという話。昔から怖い時にはできるだけ大きな屁を出すと、化け物は逃げていくという話。

再生時間:3:00

民話詳細DATA

レコード番号 47O341538
CD番号 47O34C118
決定題名 化け物岩(方言)
話者がつけた題名 ムヌヌマタリー 友達三人の話
話者名 目差ウナリ
話者名かな めざしうなり
生年月日 19010219
性別
出身地 沖縄県八重山郡与那国町祖納
記録日 19760804
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 与那国町祖納 T52 A15
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 20
発句(ほっく)
伝承事情 年寄りから聞いた
文字化資料
キーワード 友人,隣り村,踊り,三人,岩陰,雨宿り,臆病者,真中,丁髷,ちょんまげ,木の枝のような物,身動きできない,置き去り,人間の手,神様,屁,化け物岩,命拾い,行方不明,祝い
梗概(こうがい) 昔、とても仲の良い友人三人がいたって。ある時、隣り村に面白い踊りがあるとのことで、三人は見にいき途中で雨が降ったので、道の側の岩陰に雨宿りしようとうずくまっていると、その中の一人は臆病者だったので、「私は真中に入れて。」と言って、三人で座り、雨宿りしていた。臆病者の真中に座っている友人の丁髷(ちょんまげ)に何か木の枝のような物が挿さって身動きできないので驚き、物も言えず、口も凍え、震え上がると側の二人は、それを見て驚き、その人一人を放り捨てて、逃げ出してしまった。そこに残っている臆病者は怖い上に置き去りにされ、どうしてよいかわからなくなり、また、「いつもは死ぬも生きるも三人は一緒だと約束していたのに、私一人放り捨てて逃げるなんて全く情けない。」と、なおもびくびくしながら動くに動けなく、我慢して丁髷にかかっているものを放そうと手で触ってみると木の枝でなく、なんと人間の手なので、一体、何事だろうと臆病者はびっくりしながら、どうしてよいやら心配になり、何がなんでもと、「神様、ほんとに神様がいらっしゃるんでしたら私を助けて下さい。」と心の中で祈ると気持ちも少々落ち着き、「人間なら何か言いなさい。」と言っても返事がない。ある限りの大声を、力いっぱい張り上げながら、髪にかかっているものを放すと、思いがけなく大きな音を立てて屁が出た。その屁と同時に髪を握っていた手が放され、ほっとしたので、神様に手を合わせ、「ありがとうございます。助けてもらってよかった。」と心も落ちつき、気がついたのは、そこが化け物岩であったので、あわてて道にとび出すと、そこに逃げ去った二人が帰ってきたので、「君たちはひどいな。俺一人放り捨てて逃げるなんてけしからんじゃないか。臆病者と知りながら、よくもひどいことをしてくれたな。いつもの約束とは違うじゃないか。私はやがて死ぬところを神様の助けで、気丈になり、思い切り引張ると、つい、大きな屁をひり、屁が出ると同時に捕えられていた手が放され、命拾いしたんだ。」と話すと、二人は、「私たちが悪かった。許してくれ。」とお詫びして、「人の強弱はその場に当たって見ないとわからないな。」と話して、命拾いのお祝いをしようとご馳走やお酒のある場所に行き、二、三日、飲み食べて、もう帰ろうと、家に帰ったら、村では三人が行方不明になったと大騒ぎし、親戚、村中の人々が探しに行こうと集まっているところに、三人が帰ってきたので、「お前たちはどこに行ってたんだ。」と取り囲んで叱りつけたので、三人は驚いて、「ちょっと待って下さい。私たちの話を聞いて下さい。私たちはこういう事情で、やがて死んでしまうところを命拾いして帰ってきました。」と話すと家族や村人たちも喜び、ありがたがって命拾いの祝いをしたという話。昔から怖い時にはできるだけ大きな屁を出すと、化け物は逃げていくという話。
全体の記録時間数 3:33
物語の時間数 3:00
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

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