姥捨山 (シマグチ)

概要

昔、沖縄では、年寄りは六十歳を過ぎたらアムトゥの下に連れて言って置いたそうだ。その話を聞いて、鹿児島から沖縄に偉い人がいらっしゃって、「これはなんとかして、年寄りは宝だと思わせないといけない。」と考え、沖縄の御主加那志(うすがなしー)(王様)に、「百姓たちにこれを持って来なさい。あれを持って来なさいと言いつけなさい。」とおっしゃった。それで、公儀(くーじ)(王府)から、「灰縄(へーじな)をなって持って来なさい。」と言いつけられたので、各村の人たちは考えたんだが、どうしてもわからない。そんなとき、ある家のお爺さんはやっぱりアムトゥの下に置かれていて、孫の女の子が、いつも食事を運んであげていた。ところが、その日は時間になっても昼ご飯を持ってこないので、「なんで、まだお昼を持ってこないのは、どうしたわけだろうか。」と、待ちかねていらっしゃったって。そこへ、女の子が弁当を持ってきた。「どうして今日は遅いんだ。」「実はねえ、タンメー。」「うん。」「公儀(くーじ)からの言いつけで、灰縄をなって持って来なさいということなんだけど、お父さんたちは番所に集まってこの相談をしているんです。それで遅くなったんですよ。」「ハキサ、なんで、今の若者たちはこれも分からないのかい。」「それではどうしたらいいんですか。」「これは、お前が聞いても分からないから、お父さんをよこしなさい。」と、おじいさんは言ったって。そしたら、今度はお父さん一人でもない。二、三人でアムトゥの下にいるお爺さんのところへ行って、「本当ですか、タンメー。子供から聞きましたが、灰縄というのはどんなにしてなうんですか。」「ハッ、これぐらいのこともお前達はわからないのか。とぉ、それなら、ウーガーサ〔芭蕉の葉〕を持って来なさい。」と言ったので、ウーガーサを切って持って言ったら、縄をなってからウーガーサーの上に置いた。片一方から火をつけて燃やしたら、立派な灰縄ができあがったって。「とぉ、これを公儀に持って言って見せなさい。」と言って、持たせた。公儀では、「これは、お前達が考えたのか。誰が考えたのか。」「私のタンメーが考えました。」と。だから、年寄りは宝だということになってね。また、次は、「雄鳥の卵を持ってこい。」という言いつけがあったって。雌鳥(めんどり)は卵を産むけど、雄鳥は卵を産まないでしょう。困っていたら、またこのお爺さんの孫に大変知恵のある男の子がいてね。お爺さんはその子に、「今度の公儀の御用には、お前が行きなさいよ。」と言いつけた。「私にできますかねぇ。」「お前のお父さんにできなくても、お前ならできる。」と見込んで言ったそうだ。「それでは、公儀ではなんと答えればいいんですか。」と聞いたので、お爺さんが教えてやったそうだ。男の子が公儀へ行くと、「なんだ、お前ではない。子供のお前を呼んだんではない。お前の父はどうした。」と聞いたので、「私のお父さんは、昨日の夜から産気づいてこれません。私がお父さんの代わりにまいりました。」そう答えたら、向こうでは机を叩いて、「男が産気づくということがあるか。」と怒った。男の子は、「雄鳥が卵を産みますか。」と言って返したって。公儀では、「この子は大変なもんだなぁ。」と言って驚いたそうだ。それからというもの、年寄りは宝だということで、アムトゥの下にいる年寄りを家までお連れしたという由来記。首里の公儀では、そのとおりに鹿児島へ返答したんだよ。

再生時間:5:34

民話詳細DATA

レコード番号 47O411063
CD番号 47O37C035
決定題名 姥捨山 (シマグチ)
話者がつけた題名
話者名 宮城太郎
話者名かな みやぎたろう
生年月日 19101010
性別
出身地 与那城村与那城
記録日 19861123
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 与那城村T09A05
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 12
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料 よなぐすくの民話P381
キーワード 六十歳,アムトゥの下,鹿児島,沖縄,灰縄,年寄りは宝,雄鳥の卵,産気
梗概(こうがい) 昔、沖縄では、年寄りは六十歳を過ぎたらアムトゥの下に連れて言って置いたそうだ。その話を聞いて、鹿児島から沖縄に偉い人がいらっしゃって、「これはなんとかして、年寄りは宝だと思わせないといけない。」と考え、沖縄の御主加那志(うすがなしー)(王様)に、「百姓たちにこれを持って来なさい。あれを持って来なさいと言いつけなさい。」とおっしゃった。それで、公儀(くーじ)(王府)から、「灰縄(へーじな)をなって持って来なさい。」と言いつけられたので、各村の人たちは考えたんだが、どうしてもわからない。そんなとき、ある家のお爺さんはやっぱりアムトゥの下に置かれていて、孫の女の子が、いつも食事を運んであげていた。ところが、その日は時間になっても昼ご飯を持ってこないので、「なんで、まだお昼を持ってこないのは、どうしたわけだろうか。」と、待ちかねていらっしゃったって。そこへ、女の子が弁当を持ってきた。「どうして今日は遅いんだ。」「実はねえ、タンメー。」「うん。」「公儀(くーじ)からの言いつけで、灰縄をなって持って来なさいということなんだけど、お父さんたちは番所に集まってこの相談をしているんです。それで遅くなったんですよ。」「ハキサ、なんで、今の若者たちはこれも分からないのかい。」「それではどうしたらいいんですか。」「これは、お前が聞いても分からないから、お父さんをよこしなさい。」と、おじいさんは言ったって。そしたら、今度はお父さん一人でもない。二、三人でアムトゥの下にいるお爺さんのところへ行って、「本当ですか、タンメー。子供から聞きましたが、灰縄というのはどんなにしてなうんですか。」「ハッ、これぐらいのこともお前達はわからないのか。とぉ、それなら、ウーガーサ〔芭蕉の葉〕を持って来なさい。」と言ったので、ウーガーサを切って持って言ったら、縄をなってからウーガーサーの上に置いた。片一方から火をつけて燃やしたら、立派な灰縄ができあがったって。「とぉ、これを公儀に持って言って見せなさい。」と言って、持たせた。公儀では、「これは、お前達が考えたのか。誰が考えたのか。」「私のタンメーが考えました。」と。だから、年寄りは宝だということになってね。また、次は、「雄鳥の卵を持ってこい。」という言いつけがあったって。雌鳥(めんどり)は卵を産むけど、雄鳥は卵を産まないでしょう。困っていたら、またこのお爺さんの孫に大変知恵のある男の子がいてね。お爺さんはその子に、「今度の公儀の御用には、お前が行きなさいよ。」と言いつけた。「私にできますかねぇ。」「お前のお父さんにできなくても、お前ならできる。」と見込んで言ったそうだ。「それでは、公儀ではなんと答えればいいんですか。」と聞いたので、お爺さんが教えてやったそうだ。男の子が公儀へ行くと、「なんだ、お前ではない。子供のお前を呼んだんではない。お前の父はどうした。」と聞いたので、「私のお父さんは、昨日の夜から産気づいてこれません。私がお父さんの代わりにまいりました。」そう答えたら、向こうでは机を叩いて、「男が産気づくということがあるか。」と怒った。男の子は、「雄鳥が卵を産みますか。」と言って返したって。公儀では、「この子は大変なもんだなぁ。」と言って驚いたそうだ。それからというもの、年寄りは宝だということで、アムトゥの下にいる年寄りを家までお連れしたという由来記。首里の公儀では、そのとおりに鹿児島へ返答したんだよ。
全体の記録時間数 5:52
物語の時間数 5:34
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

トップに戻る

TOP