
この時代まで沖縄は、こちらへんから勝連(かっちん)具志川に行くほどのお金もないくらいの世(ゆー)だったけど、この家は大変な財産持(む)ちで、どこにも見劣りしないほどの家だったって。この家の長男は唐旅に出て、次男は大和(やまとぅ)に、三男はもうどこにも行かないで、家で親といっしょに畑仕事ばかりをやっていた。三男はどこにも行ってないから、上の兄弟がいじめたようだなあ。あるとき、長男が、「唐で見た太鼓は、こんなに大きくて、まだ誰も見たことがないだろう。俺だけが見た。」と言ったって。また、次男が、「俺が大和に行ったときに、鹿児島の殿様の風呂は、池ぐらいあった。殿様は風呂桶の中を泳いでいらした。これほどの風呂桶は誰も見てないさ。」と言うと、三男が、たとえば、ハナリだったら、「私が見たこの牛は桃原(とーばる)の崖に後ろ足を立てて、前足は平安座のヌーに置いて、勝連(かっちん)の先をまわって、この平安座の前で竹を倒して葉を食べよった。これは私が見た珍しいもの。」と言ったそうだ。兄たちは、「お前は嘘つきだ。これほどの牛がいるもんか。桃原の崖から平安座に足をかけるほどの牛がいるというのか。」って言ったって。三男は頭がいいから、「私が嘘だったら、兄さんたちが言うのも嘘だ。兄さんが唐で見た太鼓は、私が言った大きな牛の皮で作ったんだよ。」と言って、長男を負かしたって。それから、「兄さんが鹿児島で見た殿様の風呂桶のタガは、私が見た牛が食べていた竹で作ったもんだよ。」と言って、次男を負かしたって。
| レコード番号 | 47O410666 |
|---|---|
| CD番号 | 47O41C019 |
| 決定題名 | 嘘比べ(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 根保加那七 |
| 話者名かな | ねほかなひち |
| 生年月日 | 18840717 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 与那城村宮城 |
| 記録日 | 19720807 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 与那城村T20A05 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 13 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | よなぐすくの民話P177 |
| キーワード | 沖縄,勝連,具志川,大変な財産持ち,長男,唐旅,次男,大和,三男,畑仕事,太鼓,鹿児島の殿様の風呂,池,ハナリ,牛,桃原の崖,後ろ足,前足,平安座のヌー,竹の葉,嘘つき |
| 梗概(こうがい) | この時代まで沖縄は、こちらへんから勝連(かっちん)具志川に行くほどのお金もないくらいの世(ゆー)だったけど、この家は大変な財産持(む)ちで、どこにも見劣りしないほどの家だったって。この家の長男は唐旅に出て、次男は大和(やまとぅ)に、三男はもうどこにも行かないで、家で親といっしょに畑仕事ばかりをやっていた。三男はどこにも行ってないから、上の兄弟がいじめたようだなあ。あるとき、長男が、「唐で見た太鼓は、こんなに大きくて、まだ誰も見たことがないだろう。俺だけが見た。」と言ったって。また、次男が、「俺が大和に行ったときに、鹿児島の殿様の風呂は、池ぐらいあった。殿様は風呂桶の中を泳いでいらした。これほどの風呂桶は誰も見てないさ。」と言うと、三男が、たとえば、ハナリだったら、「私が見たこの牛は桃原(とーばる)の崖に後ろ足を立てて、前足は平安座のヌーに置いて、勝連(かっちん)の先をまわって、この平安座の前で竹を倒して葉を食べよった。これは私が見た珍しいもの。」と言ったそうだ。兄たちは、「お前は嘘つきだ。これほどの牛がいるもんか。桃原の崖から平安座に足をかけるほどの牛がいるというのか。」って言ったって。三男は頭がいいから、「私が嘘だったら、兄さんたちが言うのも嘘だ。兄さんが唐で見た太鼓は、私が言った大きな牛の皮で作ったんだよ。」と言って、長男を負かしたって。それから、「兄さんが鹿児島で見た殿様の風呂桶のタガは、私が見た牛が食べていた竹で作ったもんだよ。」と言って、次男を負かしたって。 |
| 全体の記録時間数 | 3:12 |
| 物語の時間数 | 3:12 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | 〇 |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |