継子の井戸掘り(共通語)

概要

初めの子はお母さんがいなくて、お父さん一人で育てているんだが、後妻を迎えて男の子ができたんだ。そしたら後妻は悪でね、長男の継子を殺して自分の子をたてるという悪い心を持っていたんだよ。それで、どうしてその子を殺すかといって、いろんな計らいをしてね、継子に井戸を掘らすんだ。そうしたら、継子が井戸を掘るときに神があらわれて、「一尺落としたら、一尺横に掘れ。二尺掘ったら二尺は横に掘れ。」って、そういうふうに神が教えてくれてね。それで、この井戸が完成して水が出たら中で合図してくれって、継親が言ったそうだ。水が出たから、「はい。」と言って、正直な継子は、中で大きな声で合図したんだ。そしたら継親が、川に一帯にある大きな石を持ってきてさ、井戸の中へ落っことしたというんだ。なにしろ下から見えるからね。継子は横に掘った穴に入っておった。それで継親は、殺したと言って喜んでいるんだろう。喜んでいるところへ継子が出ていったってよ。それで、殺せなかったので、今度は継子に藁まじみ(藁積み)をたくさんさせるんだよ。藁をたくさん積ませて、下から火をつけて焼くつもりだったんだろう。そしたら、継子の前に、今度もまた神があらわれて、「藁まじみをして上がっていくときには、から傘 (かさ)二つ持って上がりなさい。」と教えた。そしてまた、継親が「出来たら合図してよ。」と言うことだったので、継子が大きな声で合図したら、下で火をつけているんだ。そのときに、継子は持っていた二つのから傘を張ってね、上に上がって行ったって。そして、から傘にもたれて助かったんだ。それから継子は、ここにいてはなんだから、ぼくはもうここから別のところへ移らなきゃならんと言って、逃げて行ったら何年後かに、成功して大きな店を作るんだ。大きな雑貨店を改造してね。そしたら、その時には継親は盲になってね、毎日その店に米買いにくるそうだ。初めのうちは重箱にお金を入れてきて、米を買いにきたって。継子は重箱に米を入れてあげ、その金をまた米の上に置くので、三、三、三日その金で米を買ってるんだ。継親はあんまり不思議に思って、父親に話したんだろう。「どこに大きな雑貨店があるんだが、そこへ毎日米買いにいくと、持っていった金を返されるので、三年三月(みつき)、その金ばかりで米を買っていますよ。」と言ったら、父親は、「ふつうの人でない、そこまで私を連れていけ。」と。父親の方では自分の子かもしれないと感じているんだが、父親も盲になっておるんだよ。夫婦とも。手を引かれていって、父親が、「お礼に参りました。」と言うと、継子が、「なんにもお礼する必要はありません。」「毎日、あなたのところから米をもらって食って命をつないでいます。」「それはあたりまえのことです。何もお礼することなんかありません。」そしたら、父親は、「あなたは私の子供じゃないですか。」と言うと、「そうですよ。」と答えたとたん、父親の目が開いたというんですよ。継母の目はそのままで、開かなかったって。

再生時間:7:05

民話詳細DATA

レコード番号 47O410458
CD番号 47O41C008
決定題名 継子の井戸掘り(共通語)
話者がつけた題名
話者名 真栄田徳郎
話者名かな まえだとくろう
生年月日 18970107
性別
出身地 与那城村宮城島字桃原
記録日 19720807
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 与那城村T10A05
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 12
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料 よなぐすくの民話P113
キーワード 初めの子,お母さん,後妻は悪,長男の継子を殺す,井戸を掘らす,神,横に掘れ,継親,大きな石,藁まじみ,焼く,傘,大きな店,継親は盲,重箱に米,父親も盲,
梗概(こうがい) 初めの子はお母さんがいなくて、お父さん一人で育てているんだが、後妻を迎えて男の子ができたんだ。そしたら後妻は悪でね、長男の継子を殺して自分の子をたてるという悪い心を持っていたんだよ。それで、どうしてその子を殺すかといって、いろんな計らいをしてね、継子に井戸を掘らすんだ。そうしたら、継子が井戸を掘るときに神があらわれて、「一尺落としたら、一尺横に掘れ。二尺掘ったら二尺は横に掘れ。」って、そういうふうに神が教えてくれてね。それで、この井戸が完成して水が出たら中で合図してくれって、継親が言ったそうだ。水が出たから、「はい。」と言って、正直な継子は、中で大きな声で合図したんだ。そしたら継親が、川に一帯にある大きな石を持ってきてさ、井戸の中へ落っことしたというんだ。なにしろ下から見えるからね。継子は横に掘った穴に入っておった。それで継親は、殺したと言って喜んでいるんだろう。喜んでいるところへ継子が出ていったってよ。それで、殺せなかったので、今度は継子に藁まじみ(藁積み)をたくさんさせるんだよ。藁をたくさん積ませて、下から火をつけて焼くつもりだったんだろう。そしたら、継子の前に、今度もまた神があらわれて、「藁まじみをして上がっていくときには、から傘 (かさ)二つ持って上がりなさい。」と教えた。そしてまた、継親が「出来たら合図してよ。」と言うことだったので、継子が大きな声で合図したら、下で火をつけているんだ。そのときに、継子は持っていた二つのから傘を張ってね、上に上がって行ったって。そして、から傘にもたれて助かったんだ。それから継子は、ここにいてはなんだから、ぼくはもうここから別のところへ移らなきゃならんと言って、逃げて行ったら何年後かに、成功して大きな店を作るんだ。大きな雑貨店を改造してね。そしたら、その時には継親は盲になってね、毎日その店に米買いにくるそうだ。初めのうちは重箱にお金を入れてきて、米を買いにきたって。継子は重箱に米を入れてあげ、その金をまた米の上に置くので、三、三、三日その金で米を買ってるんだ。継親はあんまり不思議に思って、父親に話したんだろう。「どこに大きな雑貨店があるんだが、そこへ毎日米買いにいくと、持っていった金を返されるので、三年三月(みつき)、その金ばかりで米を買っていますよ。」と言ったら、父親は、「ふつうの人でない、そこまで私を連れていけ。」と。父親の方では自分の子かもしれないと感じているんだが、父親も盲になっておるんだよ。夫婦とも。手を引かれていって、父親が、「お礼に参りました。」と言うと、継子が、「なんにもお礼する必要はありません。」「毎日、あなたのところから米をもらって食って命をつないでいます。」「それはあたりまえのことです。何もお礼することなんかありません。」そしたら、父親は、「あなたは私の子供じゃないですか。」と言うと、「そうですよ。」と答えたとたん、父親の目が開いたというんですよ。継母の目はそのままで、開かなかったって。
全体の記録時間数 7:36
物語の時間数 7:05
言語識別 共通語
音源の質
テープ番号
予備項目1

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