玉義留(うんたまぎるー)は御殿殿内(うどぅんどぅんち)の下男(じにん)をしていた。ある日、ここの家の親方が、運玉義留に、「化粧をしてくれ。」と言った。化粧する場合に運玉義留が、「親方、私でも成功したらサバトゥイまでなれますかね。」と聞いた。親方は、「お前ら百姓はよく気ばって地頭代(じとぅでー)だ。地頭代までしかできない。」と。運玉義留は、「あはぁ、地頭代にしかなれないんだったら、私は一番の大盗人(うふぬすっと)になって、いつまでも自分の名を残した方がいい。」と言った。親方は、「お前に出来るものか。それなら、どういうことで賭(かーき)するか。」「それなら、あなたの黄金枕(くがにまっくゎ)を盗みます。盗めなかったら、私を殺してもよろしいですから。」そういう約束をして、運玉義留はその家を出たらしいんですよ。そしたら、運玉義留はティーもかなって、御殿勤(うどぅんじとぅ)みだから学問もよくできた。理屈もそうとう持っている。そして今度は、運玉森(うんたまむい)という与那原(よなばる)の上の大きい山に隠れていて、葉っぱの上から歩いても音がしないようなそういう練習ををやったそうです。この修行が終わったら、今度は盗人(ぬすどぅー)するにはユクシムニーができないといけない。どこどこにユクシムニーの上手な人がいると聞いて、習いに行ったらしい。行ったら主人はいなくて、アワモリカナーというのがいた。運玉義留が、「だぁ、お前、お父さんお母さんは。」と聞いたら、「わったー親達(うやんちゃー)は、弁(びん)ぬ御嶽(うたきー)が崩れると言って、線香を持って、ささえに行ったんだよ。」と言った。運玉義留は、「これはおかしいな。山が崩れるのに、線香でささえるというのはおかしい。これは人の話よりもユクシムニー上手だなぁ。」と言って、頭をひねってね、「えーカナー、お前は偉そうだから、何時(いち)ぬ何日(いっか)、私の家に来なさい。」「あんたの家はどこか。」「運玉森だから。」「何か御馳走はありますか。」「あるよ。アンダーギー焼いて食べさせようねぇ。」と。したら、その日になってカナーが運玉森まで来たらしい。カナーが、「だ氈Aうんじょー、アンダーギー焼いて食べさせると言って、ないじゃないですか。」と言ったので、運玉義留は、「ああ、そうだったなぁ。とー、油がないから油を買ってきてくれ。」と言って、店に油を買いに行かせたそうです。そしたら、加那は金は持ってないから、この油樽(あぶらだる)を見回りながら、わざと桶に落ちたらしい。落ちたら、油は着物にのめりこんでいるでしょう。それを瓶(びん)に絞って、運玉義留のところに持ってきた。そしたら、「いゃー、加那、お前は金も持たないで、どんなにして油を買ったのか。」「それぐらい問題ない。桶を見回りながら樽の中に落ちて、着物に油を飲ませて、それを絞ってきた。」と言ったら、運玉義留はよけいに感心して、「これは偉い。」と。「でぃー、それじゃあね。お前は油を取るのが上手だから、今のアワモリカナーという名は捨てて、油食坊主(あんだけぼーじゃー)という名をつけようね。」と相談したらしいんだ。今度はいよいよ、盗人(ぬすどぅ)の始まりである。運玉義留と油食坊主は、ある結婚準備をしている家に盗みに入った。戸棚を開けて、油食坊主を内に入れて、運玉義留は油食坊主が着物を出すのを外で待っていた。着物を運玉義留に渡しながら、油食坊主は自分の爪に何枚取ったという型を入れてしるしていた。そして三十八枚出したときには、運玉義留は外にいるでしょう。運玉義留は戸棚を閉めて鍵を入れて、自分は門に出て行って、「あぁ、盗人(ぬすどぅ)どーい〔ああ、盗人だぁ〕。」と叫んだ。叫んだら、家の人がね、「盗人(ぬすどぅー)。」と戸棚のところに寄ったらしい。寄ったら、ガサガサガサガサーして鼠の音がする。家の主は、「あー、鼠入(えんちゅい)っちょーさやー〔あぁ、鼠が入ってるんだなぁ〕。」と言って、鍵を開けて戸を開けると同時に、油食坊主が、「おっ。」と言って脅して、その主人の上から飛び越えて逃げてきたらしいよ。来たらねぇ、運玉義留と油食坊主はまた喧嘩になった。 「お前は、それならどんなにして逃げてきたのか。」「それは問題ない。鼠の真似したら、戸棚に鼠が入っていると主が開けた。そのとき、『おっ』と言って驚かせて出てきた。」と。運玉義留はまた感心してね、油食坊主は自分より偉いと。で、今度は油食坊主が運玉義留に、「着物は何枚でしたか。」と聞いた。「十八枚だった。」と。「あなたは嘘言って。私は三十八ということは爪にしるしてあるんだ。」と。運玉義留は、「いや、そうではない。十八枚しかない。」「でぃー、それじゃあ試してみよう。」と。二、三日たってから、今度は油を担いで、着物を盗んだお家に運玉義留と油食坊主二人で油売りに行った。行ったら、油食坊主が転んで、その油瓶を割った。割ったら運玉義留が油食坊主をいじめていた。「お前は油も少ないのに割ってどうするか。」と。すると、中から結婚するという娘が出てきて、「あなた方は何をしているんですか。」と。「この子供が油瓶を割ってしまって、叱っている。」と言ったら、娘は、「いやいや、そんな油は何もたいしたものではありません。私は結婚のために準備していた着物を三八枚盗まれました。一口には言えませんよ。」と言った。油食坊主は、「ちゃーが、ちゃーが〔どうだ、どうだ〕。」と言って喜んだ。運玉義留はよけい感心して、これは自分より偉いと。そうして、そのときの盗人というのは、金持ちの家から盗んで貧乏者にやりよった。あるとき具志頭(ぐしちゃん)親方が王様から命令されて唐の方に留学しに行く場合に着物がなかった。運玉義留はそれを聞いていたらしいんだな。外から盗んできて、夜、合図もしないで具志頭親方の家の戸口に投げておいた。翌日、具志頭親方が起きて見たら立派な着物がある。具志頭親方は喜んでね、「この衣装ならば大丈夫だ。」と。「しかし、これは、自分が留学しに行くのは、天まで聞こえているな。これは天からのお召し物だ。」と言って喜んで、それを着けて唐に留学しに行ったらしいんですよ。今度は、前に奉公していた家の親方と約束したでしょう。「二十日にあなたの黄金枕を盗んでみせる。」と。その日になったらしいんだよ。そしたら、運玉義留は、夜の時間の早い内に、豆を袋に入れて持って行って、庭で雨が降っているみたいに音を出した。で、また親方は、今日は運玉義留が盗みにくるからと言って、家来を全部集めて番していたらしい。が、「今日は雨だからこないだろう。」と、番の家来は全部眠ってしまった。眠っている内に運玉義留がひそかに入ってきてね。家来達が追ってきたときのことを考えて、生きている馬は木の馬と換えた。そして、昔は火を焚(た)いておくので、芋カスを持って行ってその火と換えた。また、火を置く火置きは、芯(しん)のない棒を持って行って換えた。その準備を終えてからひそかに入って言った。親方は、雨だから運玉義留はこないと安心して寝てるから茶碗に水を入れて、親方の耳に水をたらしたんですよ。親方が、「この家は漏るなぁ。」と、頭上げた場合に枕を盗んでね。「えー、来(ちょー)さやー〔えぇ、来たんだなぁ〕。」親方は槍で運玉義留の腰を突いた。運玉義留が、「もう少しで突かれよったなぁ。」と言ったら、「あぁ、まだか。」と言って、槍を抜いて突きさしたら、柱を突いた。そのときに枕を盗んで逃げて言ったらしいんだよ。翌日は、今の大臣方が集まって、「こいつがこんな小さい琉球で暴れていたら琉球の国は危ないから、誰もこれを殺すことはできないから、具志頭親方来なさい。」と、具志頭に命じたらしい。具志頭親方は貧乏者で、運玉義留から金をもらって生活しているから、「私にはできません。」と。「どうしてできないか。」「私は運玉義留のおかげで成功していますから、できません。」「いくら借りてるか。」「いくら借りています。」「これを持って行って払ってから連れてこい。」と王様が言ったらしい。で、具志頭親方は運玉森に行った。そして、運玉義留に、「あい、義留、お前は近ごろ怪我(けが)をしたらしいな。薬代を持ってきたよ。」と言ってお金をやるけど取らない。具志頭親方は王様の命令だから、どうしても連れて行かないわけにはいかんが、すかしてもすかされない。運玉義留は、「私を連れにきているのは覚悟しているから、あんたと私が闘って、負けたら行きます。」と、やったらしいんだが、具志頭親方はかなわなかった。槍を投げたら、運玉義留は槍の先をつかんで、また具志頭親方の方まで投げた。そして、運玉義留は逃げて言った。それから、運玉義留は蓮小掘(りんぐむい)で管を鼻に通して水の中に沈んでいた。具志頭親方が回ってきて、「この槍で銀杏(ぎんなん)を突くように、運玉義留を突いてみようか。」とやったら、腰を突かれて、槍をつかんで出てくるんですよ。そこへ運玉義留のお父さんが来て、「お前が見つからないように私は今まで一年もがんばってきたけど、こうなればもう生きていけない。」と言って切腹した。で、具志頭親方は王様のところへ運玉義留を連れて行った。しかし、運玉義留は死刑ではなかったらしいね。
レコード番号 | 47O410430 |
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CD番号 | 47O41C007 |
決定題名 | 運玉義留(シマグチ混) |
話者がつけた題名 | - |
話者名 | 比嘉英秀 |
話者名かな | ひがえいしゅう |
生年月日 | 19030503 |
性別 | 男 |
出身地 | 与那城村宮城島池味 |
記録日 | 19720806 |
記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
元テープ番号 | 与那城村T8B08 |
元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
分類 | 20 |
発句(ほっく) | - |
伝承事情 | - |
文字化資料 | よなぐすくの民話P440 |
キーワード | 御殿殿内,下男,に運玉義留,サバトゥイ,親方,百姓,地頭代,一番の大盗人,黄金枕,学問,理屈,運玉森,与那原,ユクシムニー,アワモリカナー,アンダーギー,油樽,油食坊主,具志頭親方,唐に留学 |
梗概(こうがい) | 玉義留(うんたまぎるー)は御殿殿内(うどぅんどぅんち)の下男(じにん)をしていた。ある日、ここの家の親方が、運玉義留に、「化粧をしてくれ。」と言った。化粧する場合に運玉義留が、「親方、私でも成功したらサバトゥイまでなれますかね。」と聞いた。親方は、「お前ら百姓はよく気ばって地頭代(じとぅでー)だ。地頭代までしかできない。」と。運玉義留は、「あはぁ、地頭代にしかなれないんだったら、私は一番の大盗人(うふぬすっと)になって、いつまでも自分の名を残した方がいい。」と言った。親方は、「お前に出来るものか。それなら、どういうことで賭(かーき)するか。」「それなら、あなたの黄金枕(くがにまっくゎ)を盗みます。盗めなかったら、私を殺してもよろしいですから。」そういう約束をして、運玉義留はその家を出たらしいんですよ。そしたら、運玉義留はティーもかなって、御殿勤(うどぅんじとぅ)みだから学問もよくできた。理屈もそうとう持っている。そして今度は、運玉森(うんたまむい)という与那原(よなばる)の上の大きい山に隠れていて、葉っぱの上から歩いても音がしないようなそういう練習ををやったそうです。この修行が終わったら、今度は盗人(ぬすどぅー)するにはユクシムニーができないといけない。どこどこにユクシムニーの上手な人がいると聞いて、習いに行ったらしい。行ったら主人はいなくて、アワモリカナーというのがいた。運玉義留が、「だぁ、お前、お父さんお母さんは。」と聞いたら、「わったー親達(うやんちゃー)は、弁(びん)ぬ御嶽(うたきー)が崩れると言って、線香を持って、ささえに行ったんだよ。」と言った。運玉義留は、「これはおかしいな。山が崩れるのに、線香でささえるというのはおかしい。これは人の話よりもユクシムニー上手だなぁ。」と言って、頭をひねってね、「えーカナー、お前は偉そうだから、何時(いち)ぬ何日(いっか)、私の家に来なさい。」「あんたの家はどこか。」「運玉森だから。」「何か御馳走はありますか。」「あるよ。アンダーギー焼いて食べさせようねぇ。」と。したら、その日になってカナーが運玉森まで来たらしい。カナーが、「だ氈Aうんじょー、アンダーギー焼いて食べさせると言って、ないじゃないですか。」と言ったので、運玉義留は、「ああ、そうだったなぁ。とー、油がないから油を買ってきてくれ。」と言って、店に油を買いに行かせたそうです。そしたら、加那は金は持ってないから、この油樽(あぶらだる)を見回りながら、わざと桶に落ちたらしい。落ちたら、油は着物にのめりこんでいるでしょう。それを瓶(びん)に絞って、運玉義留のところに持ってきた。そしたら、「いゃー、加那、お前は金も持たないで、どんなにして油を買ったのか。」「それぐらい問題ない。桶を見回りながら樽の中に落ちて、着物に油を飲ませて、それを絞ってきた。」と言ったら、運玉義留はよけいに感心して、「これは偉い。」と。「でぃー、それじゃあね。お前は油を取るのが上手だから、今のアワモリカナーという名は捨てて、油食坊主(あんだけぼーじゃー)という名をつけようね。」と相談したらしいんだ。今度はいよいよ、盗人(ぬすどぅ)の始まりである。運玉義留と油食坊主は、ある結婚準備をしている家に盗みに入った。戸棚を開けて、油食坊主を内に入れて、運玉義留は油食坊主が着物を出すのを外で待っていた。着物を運玉義留に渡しながら、油食坊主は自分の爪に何枚取ったという型を入れてしるしていた。そして三十八枚出したときには、運玉義留は外にいるでしょう。運玉義留は戸棚を閉めて鍵を入れて、自分は門に出て行って、「あぁ、盗人(ぬすどぅ)どーい〔ああ、盗人だぁ〕。」と叫んだ。叫んだら、家の人がね、「盗人(ぬすどぅー)。」と戸棚のところに寄ったらしい。寄ったら、ガサガサガサガサーして鼠の音がする。家の主は、「あー、鼠入(えんちゅい)っちょーさやー〔あぁ、鼠が入ってるんだなぁ〕。」と言って、鍵を開けて戸を開けると同時に、油食坊主が、「おっ。」と言って脅して、その主人の上から飛び越えて逃げてきたらしいよ。来たらねぇ、運玉義留と油食坊主はまた喧嘩になった。 「お前は、それならどんなにして逃げてきたのか。」「それは問題ない。鼠の真似したら、戸棚に鼠が入っていると主が開けた。そのとき、『おっ』と言って驚かせて出てきた。」と。運玉義留はまた感心してね、油食坊主は自分より偉いと。で、今度は油食坊主が運玉義留に、「着物は何枚でしたか。」と聞いた。「十八枚だった。」と。「あなたは嘘言って。私は三十八ということは爪にしるしてあるんだ。」と。運玉義留は、「いや、そうではない。十八枚しかない。」「でぃー、それじゃあ試してみよう。」と。二、三日たってから、今度は油を担いで、着物を盗んだお家に運玉義留と油食坊主二人で油売りに行った。行ったら、油食坊主が転んで、その油瓶を割った。割ったら運玉義留が油食坊主をいじめていた。「お前は油も少ないのに割ってどうするか。」と。すると、中から結婚するという娘が出てきて、「あなた方は何をしているんですか。」と。「この子供が油瓶を割ってしまって、叱っている。」と言ったら、娘は、「いやいや、そんな油は何もたいしたものではありません。私は結婚のために準備していた着物を三八枚盗まれました。一口には言えませんよ。」と言った。油食坊主は、「ちゃーが、ちゃーが〔どうだ、どうだ〕。」と言って喜んだ。運玉義留はよけい感心して、これは自分より偉いと。そうして、そのときの盗人というのは、金持ちの家から盗んで貧乏者にやりよった。あるとき具志頭(ぐしちゃん)親方が王様から命令されて唐の方に留学しに行く場合に着物がなかった。運玉義留はそれを聞いていたらしいんだな。外から盗んできて、夜、合図もしないで具志頭親方の家の戸口に投げておいた。翌日、具志頭親方が起きて見たら立派な着物がある。具志頭親方は喜んでね、「この衣装ならば大丈夫だ。」と。「しかし、これは、自分が留学しに行くのは、天まで聞こえているな。これは天からのお召し物だ。」と言って喜んで、それを着けて唐に留学しに行ったらしいんですよ。今度は、前に奉公していた家の親方と約束したでしょう。「二十日にあなたの黄金枕を盗んでみせる。」と。その日になったらしいんだよ。そしたら、運玉義留は、夜の時間の早い内に、豆を袋に入れて持って行って、庭で雨が降っているみたいに音を出した。で、また親方は、今日は運玉義留が盗みにくるからと言って、家来を全部集めて番していたらしい。が、「今日は雨だからこないだろう。」と、番の家来は全部眠ってしまった。眠っている内に運玉義留がひそかに入ってきてね。家来達が追ってきたときのことを考えて、生きている馬は木の馬と換えた。そして、昔は火を焚(た)いておくので、芋カスを持って行ってその火と換えた。また、火を置く火置きは、芯(しん)のない棒を持って行って換えた。その準備を終えてからひそかに入って言った。親方は、雨だから運玉義留はこないと安心して寝てるから茶碗に水を入れて、親方の耳に水をたらしたんですよ。親方が、「この家は漏るなぁ。」と、頭上げた場合に枕を盗んでね。「えー、来(ちょー)さやー〔えぇ、来たんだなぁ〕。」親方は槍で運玉義留の腰を突いた。運玉義留が、「もう少しで突かれよったなぁ。」と言ったら、「あぁ、まだか。」と言って、槍を抜いて突きさしたら、柱を突いた。そのときに枕を盗んで逃げて言ったらしいんだよ。翌日は、今の大臣方が集まって、「こいつがこんな小さい琉球で暴れていたら琉球の国は危ないから、誰もこれを殺すことはできないから、具志頭親方来なさい。」と、具志頭に命じたらしい。具志頭親方は貧乏者で、運玉義留から金をもらって生活しているから、「私にはできません。」と。「どうしてできないか。」「私は運玉義留のおかげで成功していますから、できません。」「いくら借りてるか。」「いくら借りています。」「これを持って行って払ってから連れてこい。」と王様が言ったらしい。で、具志頭親方は運玉森に行った。そして、運玉義留に、「あい、義留、お前は近ごろ怪我(けが)をしたらしいな。薬代を持ってきたよ。」と言ってお金をやるけど取らない。具志頭親方は王様の命令だから、どうしても連れて行かないわけにはいかんが、すかしてもすかされない。運玉義留は、「私を連れにきているのは覚悟しているから、あんたと私が闘って、負けたら行きます。」と、やったらしいんだが、具志頭親方はかなわなかった。槍を投げたら、運玉義留は槍の先をつかんで、また具志頭親方の方まで投げた。そして、運玉義留は逃げて言った。それから、運玉義留は蓮小掘(りんぐむい)で管を鼻に通して水の中に沈んでいた。具志頭親方が回ってきて、「この槍で銀杏(ぎんなん)を突くように、運玉義留を突いてみようか。」とやったら、腰を突かれて、槍をつかんで出てくるんですよ。そこへ運玉義留のお父さんが来て、「お前が見つからないように私は今まで一年もがんばってきたけど、こうなればもう生きていけない。」と言って切腹した。で、具志頭親方は王様のところへ運玉義留を連れて行った。しかし、運玉義留は死刑ではなかったらしいね。 |
全体の記録時間数 | 14:51 |
物語の時間数 | 14:47 |
言語識別 | 混在 |
音源の質 | ◎ |
テープ番号 | - |
予備項目1 | - |