黄金の瓜種(共通語)

概要

首里城の王様が、久高島に勤めにおいでになった時に、あんまり別嬪の女がおって、もう恋におちて縁を結んだそうです。「私の妻になってくれ。」「はい。」と言って妻になってね。妊娠もして子供もできたそうですよ。あるとき、みんなが集まったところで、その妻がおならをしたそうです。王様は、「あなたはもうしまりがないから、私は別れますからね。恥ずかしくて、私は王としてそんなにしまりがない女を妻にすると勤めに出ることもできんから、これでさようならします。」と言ってね。王様はそこで何年勤めたか、子供ができるまでもおったそうですが、そのあと、王様は首里に登ったそうです。しだいしだいに子供が大きくなって、五つ六つになったから、「お父さんはどうしたの。」と聞くので、母親は「お父さんは、首里にいるよ。」って。いつもいつもこんなにして、子供が、「いつ来るのか。」と聞いたら、「あなたが学校出るまでには、おいでになる。」と嘘ばっかしついていたそうです。が、何年たっても、学校卒業するまで待っても、父親は来なかったそうです。「お母さんは嘘をついて、みんなお父さんがいるのにね、何年待ったら来るの。」「どこどこにおるよ。」「嘘ばかりついてどうするのか。」と言って。しだいしだいに彼が一二、三になる頃からは、いつもいつもお父さんのことばかり言うたもんですから、「あんまりあなたが聞くから私がお父さんとの過ちのことを言うから、聞きなさいよ。」「はい。」「私は、首里の王様がこっちに勤めにおいでになったときに、あの人の妻になってあなたを産みました。けれども、人が集まっているところでおならをしたために恥になってしまって、お父さんは首里に逃げてしまったんです。もし私が亡くなっても、お父さんからいただいた着物があります。あんたは王様の子だから、その着物は、親に会わせるために置いてありますからね。私がもし亡くなったときには、この着物で親を探しなさい。首里のどこどこにいるから。」と言うたそうですよ。だけど、子供は、「お母さんがおるときに、私が捜しに行く。」と言ったそうです。「一人で行けるか。」「はい、私は行きます。」してから、その風呂敷包みにその着物を立派に包んで行かせたそうです。行かせたら、その子も王様の子だから頭が勝っておったはずだよ。知恵をだして、「黄金の瓜種(うりざね)を買いなさい。」と言いながら、その城の周りをなんべんも歩いていたから、家来どもが、不思議な子だねえと思って、「お前は何者か。」と言ったそうです。「黄金の瓜種を売りにきましたから、買って下さい。」「黄金の瓜種というのは、どんなものか。」「こんなものだ。」と言って、子供は着物を見せたそうです。「それは黄金の瓜種ではないよ。」「いや、これは黄金ですよ。」と言って嘘ついてね。「もう帰りなさい。」と言ったら、「いや、私は帰りません。私は売りものをして、これでお父さんを捜しておりますから。私のお父さんはこの城の中においでになる。どうか私を、この着物でお父さんに会わせて下さい。」と言ったから、不思議な子供だと言ってね。王様のところまで家来が行って、 「いくつぐらいになる子供でありますが、『黄金の瓜実を買いなさい』と言って、なんべんも来ましたので、追いやっても追いやっても行きません。『いや、私はこっちにいてお父さんを捜すから、行かない。』と言っておりますが、どうしますか。こちらに通しますか。」と。そしたら、「連れてきなさい。」と王様が言うたそうです。子供が王様の前に通されると、「私は誰がお父さんであるかわかりませんが、私が生まれたときに、お母さんがおならをしたためにお父さんに捨てられてしまいました。もうお父さんを見ることもできません。『お父さんはどうしたか』とお母さんに聞けば、『お父さんはどこに行っている』と、そんな嘘ばっかしついてね。何年たってもお父さんは来ませんでした。あとになって、とうとう教えてくれて、 『私はおならをしたためにお父さんに捨てられました。もしあなたが大きくなってお父さんを捜すなら、この着物で捜せるから、首里城に行って、お父さんを捜しなさい』とおっしゃったんです。大きくなってからと言いましたけれども、私は待てなくて、今来ました。誰が私のお父さんでございますか。この着物はお父さんがお母さんにあげた着物ですが、この着物でお父さんが分かりますか。私のお父さんは誰ですか。」と着物を広げたそうだ。そのときに王様は、これは私の子だと分かったそうです。「久高島にいるときに私の子供が生まれて、けれども妻がおならしたために恥になったから逃げてしまって。そのときから会いもせん。子供もどのくらい大きくなっているかも分からないが、もうそのくらいにはなっていると思うけれども、だからお母さんが言うたように、お前は本当に私の子供だから、ここで引き取るよ。」と言ってね。その子の子孫に代々位を継がしたそうです。そのことから、とこをきらずという話はあるそうです。

再生時間:9:17

民話詳細DATA

レコード番号 47O410317
CD番号 47O41C002
決定題名 黄金の瓜種(共通語)
話者がつけた題名
話者名 喜友名トシ
話者名かな きゆうなとし
生年月日 19020305
性別
出身地
記録日 19720806
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 与那城村T3B6
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 12
発句(ほっく)
伝承事情 夫のカメイさんは大工をしていて、夫から話を聞いたのが多い。
文字化資料 与那城の民話P160
キーワード 首里城の王様,久高島,別嬪の女,子供,おなら,王様の子,売りもの
梗概(こうがい) 首里城の王様が、久高島に勤めにおいでになった時に、あんまり別嬪の女がおって、もう恋におちて縁を結んだそうです。「私の妻になってくれ。」「はい。」と言って妻になってね。妊娠もして子供もできたそうですよ。あるとき、みんなが集まったところで、その妻がおならをしたそうです。王様は、「あなたはもうしまりがないから、私は別れますからね。恥ずかしくて、私は王としてそんなにしまりがない女を妻にすると勤めに出ることもできんから、これでさようならします。」と言ってね。王様はそこで何年勤めたか、子供ができるまでもおったそうですが、そのあと、王様は首里に登ったそうです。しだいしだいに子供が大きくなって、五つ六つになったから、「お父さんはどうしたの。」と聞くので、母親は「お父さんは、首里にいるよ。」って。いつもいつもこんなにして、子供が、「いつ来るのか。」と聞いたら、「あなたが学校出るまでには、おいでになる。」と嘘ばっかしついていたそうです。が、何年たっても、学校卒業するまで待っても、父親は来なかったそうです。「お母さんは嘘をついて、みんなお父さんがいるのにね、何年待ったら来るの。」「どこどこにおるよ。」「嘘ばかりついてどうするのか。」と言って。しだいしだいに彼が一二、三になる頃からは、いつもいつもお父さんのことばかり言うたもんですから、「あんまりあなたが聞くから私がお父さんとの過ちのことを言うから、聞きなさいよ。」「はい。」「私は、首里の王様がこっちに勤めにおいでになったときに、あの人の妻になってあなたを産みました。けれども、人が集まっているところでおならをしたために恥になってしまって、お父さんは首里に逃げてしまったんです。もし私が亡くなっても、お父さんからいただいた着物があります。あんたは王様の子だから、その着物は、親に会わせるために置いてありますからね。私がもし亡くなったときには、この着物で親を探しなさい。首里のどこどこにいるから。」と言うたそうですよ。だけど、子供は、「お母さんがおるときに、私が捜しに行く。」と言ったそうです。「一人で行けるか。」「はい、私は行きます。」してから、その風呂敷包みにその着物を立派に包んで行かせたそうです。行かせたら、その子も王様の子だから頭が勝っておったはずだよ。知恵をだして、「黄金の瓜種(うりざね)を買いなさい。」と言いながら、その城の周りをなんべんも歩いていたから、家来どもが、不思議な子だねえと思って、「お前は何者か。」と言ったそうです。「黄金の瓜種を売りにきましたから、買って下さい。」「黄金の瓜種というのは、どんなものか。」「こんなものだ。」と言って、子供は着物を見せたそうです。「それは黄金の瓜種ではないよ。」「いや、これは黄金ですよ。」と言って嘘ついてね。「もう帰りなさい。」と言ったら、「いや、私は帰りません。私は売りものをして、これでお父さんを捜しておりますから。私のお父さんはこの城の中においでになる。どうか私を、この着物でお父さんに会わせて下さい。」と言ったから、不思議な子供だと言ってね。王様のところまで家来が行って、 「いくつぐらいになる子供でありますが、『黄金の瓜実を買いなさい』と言って、なんべんも来ましたので、追いやっても追いやっても行きません。『いや、私はこっちにいてお父さんを捜すから、行かない。』と言っておりますが、どうしますか。こちらに通しますか。」と。そしたら、「連れてきなさい。」と王様が言うたそうです。子供が王様の前に通されると、「私は誰がお父さんであるかわかりませんが、私が生まれたときに、お母さんがおならをしたためにお父さんに捨てられてしまいました。もうお父さんを見ることもできません。『お父さんはどうしたか』とお母さんに聞けば、『お父さんはどこに行っている』と、そんな嘘ばっかしついてね。何年たってもお父さんは来ませんでした。あとになって、とうとう教えてくれて、 『私はおならをしたためにお父さんに捨てられました。もしあなたが大きくなってお父さんを捜すなら、この着物で捜せるから、首里城に行って、お父さんを捜しなさい』とおっしゃったんです。大きくなってからと言いましたけれども、私は待てなくて、今来ました。誰が私のお父さんでございますか。この着物はお父さんがお母さんにあげた着物ですが、この着物でお父さんが分かりますか。私のお父さんは誰ですか。」と着物を広げたそうだ。そのときに王様は、これは私の子だと分かったそうです。「久高島にいるときに私の子供が生まれて、けれども妻がおならしたために恥になったから逃げてしまって。そのときから会いもせん。子供もどのくらい大きくなっているかも分からないが、もうそのくらいにはなっていると思うけれども、だからお母さんが言うたように、お前は本当に私の子供だから、ここで引き取るよ。」と言ってね。その子の子孫に代々位を継がしたそうです。そのことから、とこをきらずという話はあるそうです。
全体の記録時間数 9:54
物語の時間数 9:17
言語識別 共通語
音源の質
テープ番号
予備項目1

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