
昔はよ、六十の年寄りになったね、お婆さんがご飯だけ与えられてね、何もやらなかったらしい。今の老人は国から助け合いしているでしょう。昔はそうでない。「子供は、ご飯を少しずつ食べるが、大人はたくさん食べる。それでは駄目だから、山に持ってって捨てなさい。」と言うて。そうやっていたもんですから、いよいよお婆さんを山へ持って行って捨てなけりゃならない日が、来たわけさ。そのお婆さんは、長男に背負われてよ、お婆さんたちが帰ってこられないように、山を越えて行って山奥に持ってって捨てるんだから、その山行く間に日が暮れて、お婆さんは捨て場に捨てられて、いよいよ親子の別れの時に、「お前、今日ね、もう日も暮れているからね、家に帰るときは、私が何間ごとにね、柴を折って落としてあるから、落ちている所が歩く道だから。」と、良う見えるように木の枝を折って、飛び飛びにね、落として、置いてるわけさ。この長男が、帰るときにお婆さんがどうして教えてくれたかというとね、「それを辿ったら、お家に行けるがね、それを外したら、もうお前も、うちもおんなし。もう今日でお別れだ。」とお婆さんは言うたらしい。というので、長男はお婆さんを下ろして、捨て場に捨てて帰ってきた。これお婆さんも頭がいいでしょう。長男もこうこうして帰って来たという話を自分の口でね、方々に漏らしているわけさ。漏らしたら、これまた、偉い人たちが、「それであったら、何とかして、お婆さんの頓智を聞いてみたい。」ということで、この長男に聞いた。「こうこうでね、お母さんをあなたたちが、持って行って捨てなさいと言うたもんですから。何とかして、うちに、連れて帰って、一緒に暮らしてみたい。」と、気持ちを言うたもんだから、「そうですか、それであったら、お婆さんを案内して、頓智を聞いて見よう。やっぱし昔の人は、年(とぅし)ぬ甲(くー)や亀(かーみ)ぬ甲(くー)だ。」と、偉い人たちが、言ったから、お婆さんを連れ戻して、それから以後は、お婆さんを捨てずに、家庭でお婆さんから見たり聞いたりして、教えられて世の中を通ったと。
| レコード番号 | 47O381168 |
|---|---|
| CD番号 | 47O38C059 |
| 決定題名 | 姥捨て山(共通語) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 伊礼孝進 |
| 話者名かな | いれいこうしん |
| 生年月日 | 19110627 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県島尻郡伊平屋村字田名 |
| 記録日 | 19800907 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 島尻郡伊平屋村田名 T21 B06 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 12 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | - |
| キーワード | 年寄り,長男,柴,木の枝,捨て場,頓智,年ぬ甲,亀ぬ甲 |
| 梗概(こうがい) | 昔はよ、六十の年寄りになったね、お婆さんがご飯だけ与えられてね、何もやらなかったらしい。今の老人は国から助け合いしているでしょう。昔はそうでない。「子供は、ご飯を少しずつ食べるが、大人はたくさん食べる。それでは駄目だから、山に持ってって捨てなさい。」と言うて。そうやっていたもんですから、いよいよお婆さんを山へ持って行って捨てなけりゃならない日が、来たわけさ。そのお婆さんは、長男に背負われてよ、お婆さんたちが帰ってこられないように、山を越えて行って山奥に持ってって捨てるんだから、その山行く間に日が暮れて、お婆さんは捨て場に捨てられて、いよいよ親子の別れの時に、「お前、今日ね、もう日も暮れているからね、家に帰るときは、私が何間ごとにね、柴を折って落としてあるから、落ちている所が歩く道だから。」と、良う見えるように木の枝を折って、飛び飛びにね、落として、置いてるわけさ。この長男が、帰るときにお婆さんがどうして教えてくれたかというとね、「それを辿ったら、お家に行けるがね、それを外したら、もうお前も、うちもおんなし。もう今日でお別れだ。」とお婆さんは言うたらしい。というので、長男はお婆さんを下ろして、捨て場に捨てて帰ってきた。これお婆さんも頭がいいでしょう。長男もこうこうして帰って来たという話を自分の口でね、方々に漏らしているわけさ。漏らしたら、これまた、偉い人たちが、「それであったら、何とかして、お婆さんの頓智を聞いてみたい。」ということで、この長男に聞いた。「こうこうでね、お母さんをあなたたちが、持って行って捨てなさいと言うたもんですから。何とかして、うちに、連れて帰って、一緒に暮らしてみたい。」と、気持ちを言うたもんだから、「そうですか、それであったら、お婆さんを案内して、頓智を聞いて見よう。やっぱし昔の人は、年(とぅし)ぬ甲(くー)や亀(かーみ)ぬ甲(くー)だ。」と、偉い人たちが、言ったから、お婆さんを連れ戻して、それから以後は、お婆さんを捨てずに、家庭でお婆さんから見たり聞いたりして、教えられて世の中を通ったと。 |
| 全体の記録時間数 | 3:18 |
| 物語の時間数 | 3:14 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | ○ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |