
夫婦二人がですね、非常に親しい間柄であったと。夫は漁師であったらしい。そして、夫は漁に出て、浜まで帰って来たら、そこの浜で居眠りしておったらしいんだな。この男は、はっとして起きてみたら、あくる朝になって、「これは、大変だなあ。忘れていたなあ。」と言って、家に帰ったら、またこの家内は、一生懸命あっちこっち歩いて夫を捜しておったけれども、家内が家にいないから、この男は後はやけをおこして酒を飲んでおってですね、家内が家に帰って来たら、「なんで、お前、そんなことをするか。お前は、もう私の家内じゃない。」と言うて、そしたら、一人の友だちが、「いや、そうじゃない。お前を捜しにあっちこっち歩いて、そういうふうにして、時間だけ経過して、こうだから。」と言うても、この男は聞かないで、酒を飲んで、「もう、お前出ていけ。私の家内じゃないから。」と言って、喧嘩して別れたらしい。そして、この女はね、「もう、うちは村にはいられないから、山に登って、爺さんと一緒に炭焼きをして、生活は食べるだけでいいからやろう。」と言って、山に登って、山の炭焼きの爺さんのところに行って、仕事をして、爺さんと一緒になって所帯を持ったらしい。爺さんと二人、炭焼きをしている間に、この夫はもう年をとって、それから一人暮らしで、後は目が見えなくなったらしいんだ。そして、バーキジクヤー〔籠を作る人〕をして、竹で籠を作ってね、ようやく日常の生活をしておったらしい。そして、その男は、山に炭焼き爺さんらがいるというのを聞いて、ある日、バーキを売りに行ったときに、家内がそこにおるわけ。男は目が見えないから、家内とはわからない。そして、女は、「自分の夫であるなあ。」ということを気付いてね、「この人は、うちの罰をかぶって、こんなになっておるなあ。」と思っておるわけ。だけれども、昔のこの愛情があるから、そのバーキを買って、飯もくれて、話をするうちにですね、とうとう一日、二日、そこに泊めてやったらしんだ。そして、この女も咳がこんこんでてですね、非常に不自由な体であったらしんだ。そしたら、男はね、女のところで死んでしまったわけ。死んでしまったんだから、「ああ、自分の昔の夫であるけども、遠くに持って行って捨てるわけにもいかないし、この家の庭に葬っておこう。」と言って、そこに葬っておいたらしい。そして、一ヶ年ぐらいたってから、その女はね、夢をみたらしいんだ。「お前が葬ってくれて非常にありがとう。お前がうちを葬った上には草の葉っぱが生えるから、その葉っぱを日干しにして吸うたら、お前の咳も治るから、そうしなさい。」と夢を見たわけだ、「あら、不思議な夢だなあ。」と言って、その女は、その夢を見たあくる日にね、その埋めた土の上にいたら、やっぱしこの煙草の葉が咲いておったらしいんだ。「はあ、これは本当の本物であるなあ、あの人は、まだ私の愛情を忘れんで、こんなにしておるなあ。」と言うて、「それじゃ、これを乾かして吸ってみよう。」と、この煙草を吸って、後は咳も治ってしまったと。それからが、煙草が沖縄に流行したのはこれが始めてということ。
| レコード番号 | 47O380867 |
|---|---|
| CD番号 | 47O38C044 |
| 決定題名 | 炭焼き長者(共通語) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 宮城松助 |
| 話者名かな | みやぎまつすけ |
| 生年月日 | 19000204 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県島尻郡伊平屋村字前泊 |
| 記録日 | 19800907 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 島尻郡伊平屋村前泊 T07 B01 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 12 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | 集まりの時や船員だった頃におもに年寄りから聞いた。 |
| 文字化資料 | 伊平屋村民話集 P156 |
| キーワード | 漁師,喧嘩,炭焼き,バーキジクヤー,罰,葬った,葉っぱ,夢,煙草の葉 |
| 梗概(こうがい) | 夫婦二人がですね、非常に親しい間柄であったと。夫は漁師であったらしい。そして、夫は漁に出て、浜まで帰って来たら、そこの浜で居眠りしておったらしいんだな。この男は、はっとして起きてみたら、あくる朝になって、「これは、大変だなあ。忘れていたなあ。」と言って、家に帰ったら、またこの家内は、一生懸命あっちこっち歩いて夫を捜しておったけれども、家内が家にいないから、この男は後はやけをおこして酒を飲んでおってですね、家内が家に帰って来たら、「なんで、お前、そんなことをするか。お前は、もう私の家内じゃない。」と言うて、そしたら、一人の友だちが、「いや、そうじゃない。お前を捜しにあっちこっち歩いて、そういうふうにして、時間だけ経過して、こうだから。」と言うても、この男は聞かないで、酒を飲んで、「もう、お前出ていけ。私の家内じゃないから。」と言って、喧嘩して別れたらしい。そして、この女はね、「もう、うちは村にはいられないから、山に登って、爺さんと一緒に炭焼きをして、生活は食べるだけでいいからやろう。」と言って、山に登って、山の炭焼きの爺さんのところに行って、仕事をして、爺さんと一緒になって所帯を持ったらしい。爺さんと二人、炭焼きをしている間に、この夫はもう年をとって、それから一人暮らしで、後は目が見えなくなったらしいんだ。そして、バーキジクヤー〔籠を作る人〕をして、竹で籠を作ってね、ようやく日常の生活をしておったらしい。そして、その男は、山に炭焼き爺さんらがいるというのを聞いて、ある日、バーキを売りに行ったときに、家内がそこにおるわけ。男は目が見えないから、家内とはわからない。そして、女は、「自分の夫であるなあ。」ということを気付いてね、「この人は、うちの罰をかぶって、こんなになっておるなあ。」と思っておるわけ。だけれども、昔のこの愛情があるから、そのバーキを買って、飯もくれて、話をするうちにですね、とうとう一日、二日、そこに泊めてやったらしんだ。そして、この女も咳がこんこんでてですね、非常に不自由な体であったらしんだ。そしたら、男はね、女のところで死んでしまったわけ。死んでしまったんだから、「ああ、自分の昔の夫であるけども、遠くに持って行って捨てるわけにもいかないし、この家の庭に葬っておこう。」と言って、そこに葬っておいたらしい。そして、一ヶ年ぐらいたってから、その女はね、夢をみたらしいんだ。「お前が葬ってくれて非常にありがとう。お前がうちを葬った上には草の葉っぱが生えるから、その葉っぱを日干しにして吸うたら、お前の咳も治るから、そうしなさい。」と夢を見たわけだ、「あら、不思議な夢だなあ。」と言って、その女は、その夢を見たあくる日にね、その埋めた土の上にいたら、やっぱしこの煙草の葉が咲いておったらしいんだ。「はあ、これは本当の本物であるなあ、あの人は、まだ私の愛情を忘れんで、こんなにしておるなあ。」と言うて、「それじゃ、これを乾かして吸ってみよう。」と、この煙草を吸って、後は咳も治ってしまったと。それからが、煙草が沖縄に流行したのはこれが始めてということ。 |
| 全体の記録時間数 | 6:04 |
| 物語の時間数 | 5:43 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |