
この奥さんがね、王様の前にお座りになって、もう屁はがまんできないさあね。それで屁をブッとやったので、「だらしがない。お前は女なのに屁をするのか、どこかに行って屁をしないで、夫の前でこうして屁をするのか、お前をここに置いておくことはできない。」と言って、城から追い出したからね、妊娠をしたまま。それでこの奥さんはもう、奥山に行って暮らして、子も山で産んで、布を織ってその子を育てた。そして(この子が大きくなって)母親に尋ねたって。「どうして、私たちはこのように山で暮らしているのですか。」と母親に尋ねると、「あのね、お前を妊娠しているときにね、私が、お前の父親のところで屁をしたために『おまえをここに置いておくことはできない』と言って、追い出されて、ここでお前を産んで育てたんだよ。」と言うと、「人間、生まれてから屁をしない人もいるか。」と言った。「だあ、がまんできない屁をしたために、このように苦労しているさ。」と言ったので、この子がね、たぶん浜に降りていってでしょうね、 スクガラスというのがあるでしょう。あれを浜ですくってきて、この父親の家の門の前を、行ったり来たりしてね、「黄金のなる瓜種はいりませんか、黄金のなる瓜種はいりませんか。」と何回もここから通ったって。それでこの父親が、「やかましい。しょっちゅうここから行き来して叫んで。」と言って、この門番にね、「おい、あの子どもはいったい何をしているのか、ここに連れてこい。」と言ったので、この門番がその子を父親の前に連れて来た。「お前は、そんなに行き来して、買わないと言うのに、この前をそんなに、何回も行き来するのは、どういうつもりか。」と尋ねると、「んっ、これは何か。」と、この父親がね、「これは何というのか。」と聞いたので、「これは屁をしない薬。」と言った。「お前、人間に生まれて屁をしない人もいるか。」と言うと、「私の母親は屁をしたために、親子追い出されて、奥山に行って暮らしているんだ。」と言った。「そうか、それなら、お前は私の子だったのか。」と言ってね、それからすぐ、「それなら、お前のお母さんはどこにいらっしゃるのか。」と聞いたので、「奥山で布を織って暮らしています。」と言ったので、「ああ、そうか。」と言って、それから供のものを全員連れてね、鐘をグァラグァラ打ちながら馬に乗せようと、近づいて行くと、この母親は、「ああ、またも私を殺しに来たんだなあ。」と思ってね、すぐ織っている布をね、ずっと遠い別の国につないで、それの上を渡っていったとの話もあるよ。ん。
| レコード番号 | 47O382980 |
|---|---|
| CD番号 | 47O38C153 |
| 決定題名 | 黄金の瓜種(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | 屁をしない薬 |
| 話者名 | 末吉ウシ |
| 話者名かな | すえよしうし |
| 生年月日 | 19060000 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 沖縄県島尻郡伊是名村字伊是名 |
| 記録日 | 19810403 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 島尻郡伊是名村 T14 B05 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 12 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | いぜな島の民話 P139 |
| キーワード | 王様,屁,城,妊娠,奥山,スクガラス,黄金,瓜種,門番,鐘,馬,布 |
| 梗概(こうがい) | この奥さんがね、王様の前にお座りになって、もう屁はがまんできないさあね。それで屁をブッとやったので、「だらしがない。お前は女なのに屁をするのか、どこかに行って屁をしないで、夫の前でこうして屁をするのか、お前をここに置いておくことはできない。」と言って、城から追い出したからね、妊娠をしたまま。それでこの奥さんはもう、奥山に行って暮らして、子も山で産んで、布を織ってその子を育てた。そして(この子が大きくなって)母親に尋ねたって。「どうして、私たちはこのように山で暮らしているのですか。」と母親に尋ねると、「あのね、お前を妊娠しているときにね、私が、お前の父親のところで屁をしたために『おまえをここに置いておくことはできない』と言って、追い出されて、ここでお前を産んで育てたんだよ。」と言うと、「人間、生まれてから屁をしない人もいるか。」と言った。「だあ、がまんできない屁をしたために、このように苦労しているさ。」と言ったので、この子がね、たぶん浜に降りていってでしょうね、 スクガラスというのがあるでしょう。あれを浜ですくってきて、この父親の家の門の前を、行ったり来たりしてね、「黄金のなる瓜種はいりませんか、黄金のなる瓜種はいりませんか。」と何回もここから通ったって。それでこの父親が、「やかましい。しょっちゅうここから行き来して叫んで。」と言って、この門番にね、「おい、あの子どもはいったい何をしているのか、ここに連れてこい。」と言ったので、この門番がその子を父親の前に連れて来た。「お前は、そんなに行き来して、買わないと言うのに、この前をそんなに、何回も行き来するのは、どういうつもりか。」と尋ねると、「んっ、これは何か。」と、この父親がね、「これは何というのか。」と聞いたので、「これは屁をしない薬。」と言った。「お前、人間に生まれて屁をしない人もいるか。」と言うと、「私の母親は屁をしたために、親子追い出されて、奥山に行って暮らしているんだ。」と言った。「そうか、それなら、お前は私の子だったのか。」と言ってね、それからすぐ、「それなら、お前のお母さんはどこにいらっしゃるのか。」と聞いたので、「奥山で布を織って暮らしています。」と言ったので、「ああ、そうか。」と言って、それから供のものを全員連れてね、鐘をグァラグァラ打ちながら馬に乗せようと、近づいて行くと、この母親は、「ああ、またも私を殺しに来たんだなあ。」と思ってね、すぐ織っている布をね、ずっと遠い別の国につないで、それの上を渡っていったとの話もあるよ。ん。 |
| 全体の記録時間数 | 4:15 |
| 物語の時間数 | 4:01 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |