
さても世の中、不思議なことがある。粟国八重村 神里が作物を作ると人に勝る。粟国原名の糸喜納に、黍をたくさん蒔いておいて、下葉も二、三度取り除く。丈が一様に三尺になり、一穂も残らず皆揃って。風がそよそよ吹いてくると、海は波立ち荒れてきて、風が吹くと見極めて、鎌や鍬などの道具を持ち、棒を担いで黍の畑に立ち寄って、鎌を引き抜き棒を立て、黍畑の隅々まで回って見ると、(黍の穂はまだ青く)刈るか刈らんか迷ったが、風が止みそうにもないので先ず刈って、十穂、二十穂と刈っているうちに、天地豊ます物音がして、天の神様が降りて来られた。どうしたのだ百姓、もの知らん。あんな青黍を刈り取るか。風がそよそよ吹いてくるし、海は波立ちが激しくなってくるし、風が吹くと見極めて、このような青黍を刈り取っている。(この時期に)荒れる風なのだ、風に荒れている波なのだ。今年は嵐はないから家に帰りなさい。二度も拝んだ天の神様、このまま戻ることはできません。天の手印を賜ってください。お前の願いどおり取らせてやるが、親にも子にも話すなよ。翌年末の三月に、お前の畑の端々に、ぐるりと回りに植え付けなさい。開けて六月二十日ごろ、私が降りてきて詳細に話を聞かすから。別れにお暇の言葉を申し上げて、宿に戻っていく途中だが、目元が急に暗くなって、闇になって、明るさ暗さも拝めない。仲の良い友人にぱったり行き会った。天の神様が降りて来られて、詳細に話を聞くと、今年は嵐はない、宿に戻っていくところなんだが、目元が暗くなって、闇になって、明るさも暗さも拝めない。神里、そういうことならば天に向かって拝んだら明るい光が拝まれるよ。天に向かって拝んだので、明るい光が拝まれて、大急ぎで家に戻って、思わず懐を探ってみると天の手印は落としてしまい、なくなっていた。恨んでみてもどうしようもない。
| レコード番号 | 47O230549 |
|---|---|
| CD番号 | 47O23C029 |
| 決定題名 | 神里口説(方言) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 与那全福 |
| 話者名かな | よなぜんふく |
| 生年月日 | 19031215 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県粟国村字浜 |
| 記録日 | 19810518 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄国際大学口承研 |
| 元テープ番号 | 粟国T21A02 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 60 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 粟国島の民話P356 |
| キーワード | 神里,神様,黍,暴風,手印 |
| 梗概(こうがい) | さても世の中、不思議なことがある。粟国八重村 神里が作物を作ると人に勝る。粟国原名の糸喜納に、黍をたくさん蒔いておいて、下葉も二、三度取り除く。丈が一様に三尺になり、一穂も残らず皆揃って。風がそよそよ吹いてくると、海は波立ち荒れてきて、風が吹くと見極めて、鎌や鍬などの道具を持ち、棒を担いで黍の畑に立ち寄って、鎌を引き抜き棒を立て、黍畑の隅々まで回って見ると、(黍の穂はまだ青く)刈るか刈らんか迷ったが、風が止みそうにもないので先ず刈って、十穂、二十穂と刈っているうちに、天地豊ます物音がして、天の神様が降りて来られた。どうしたのだ百姓、もの知らん。あんな青黍を刈り取るか。風がそよそよ吹いてくるし、海は波立ちが激しくなってくるし、風が吹くと見極めて、このような青黍を刈り取っている。(この時期に)荒れる風なのだ、風に荒れている波なのだ。今年は嵐はないから家に帰りなさい。二度も拝んだ天の神様、このまま戻ることはできません。天の手印を賜ってください。お前の願いどおり取らせてやるが、親にも子にも話すなよ。翌年末の三月に、お前の畑の端々に、ぐるりと回りに植え付けなさい。開けて六月二十日ごろ、私が降りてきて詳細に話を聞かすから。別れにお暇の言葉を申し上げて、宿に戻っていく途中だが、目元が急に暗くなって、闇になって、明るさ暗さも拝めない。仲の良い友人にぱったり行き会った。天の神様が降りて来られて、詳細に話を聞くと、今年は嵐はない、宿に戻っていくところなんだが、目元が暗くなって、闇になって、明るさも暗さも拝めない。神里、そういうことならば天に向かって拝んだら明るい光が拝まれるよ。天に向かって拝んだので、明るい光が拝まれて、大急ぎで家に戻って、思わず懐を探ってみると天の手印は落としてしまい、なくなっていた。恨んでみてもどうしようもない。 |
| 全体の記録時間数 | 3:29 |
| 物語の時間数 | 3:19 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |