
金持ちと貧乏人がいた。年の晩に貧乏人が金持ちの家へカマスを貸してくれと頼みに行ったが、「お前たちに貸すカマスはない」といって断られた。家に帰り、食べる物もないので、兄妹二人で泣いていた。すると、天の人が入ってきた。「どうしたのか、あなたたちは」というので、「はい。年の晩というのに食べるものがなくて、隣から米の入っていたカマスを借りて、米粒を集めてそれを食べる積もりだったが、貸してくれず食べる物がなくて泣いているんです」といった。「ああ、そうか。あなたたちは何が欲しいか」ときく。「ご飯、おかず」というと、天の人が、「それでは釜に水を入れてお湯を沸かしなさい」といった。天の人がその中に小さなさじでほんの少し何かを入れると、鍋いっぱいにご飯が出来た。おかずも同じように鍋いっぱいに出来た。天の人が食べるようにといったので食べた。そして、天の人が、「若くなるのと金持ちになるのとどれがいいのか」ときいた。貧乏人は、私たちは美味しいものを食べるより若くなる方がいいです」と答えた。天の人が鍋にお湯を沸かしなさいというので、お湯を沸かし、そのお湯で浴びると、(二人は)もとのような若者と娘になった。天の人は今度は隣の金持ちの家に行った。そして「あなたたちはどんなか」ときくと、(隣の金持ちは)「私たちも金持ちになるより、若くなる方がいい」といった。天の人は、「ああそうか。ではお湯を沸かしなさい」といって、鍋の中に薬を入れ、金持ちはこのお湯で浴びた。すると猿になった。金持ちは悪い心を持っているので、この時から猿になってしまった。貧乏人(若くなった人)に、「隣の人は猿になって何も分からないから、あなたたちはその家に住みなさい」と天の人がいった。はい、そうします、といって隣の家に住むことにした。猿になっても自分の家は分かっていた。貧乏人が自分の家に住んでいたので、猿は不思議に思っていた。夕方6時か7時になると、家にやって来た。天の人がまた訪ねて来た。猿が来ることを天の人に話した。「だったらクルマー石(黒石)を焼いて、猿が座りそうな三つ角に置きなさい」と天の人はいった。猿は時間になったのでやって来た。そしていつものように石の上に座ったので、お尻を焼いてしまった。貧乏人は裕福になった。「人は心が第一よ。磨いて治めて世を渡り・・・・」と昔の歌がある。
| レコード番号 | 47O230337 |
|---|---|
| CD番号 | 47O23C018 |
| 決定題名 | 猿長者(方言) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 与那城カマ |
| 話者名かな | よなしろかま |
| 生年月日 | 18961104 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 沖縄県粟国村字西 |
| 記録日 | 19760817 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄国際大学口承研 |
| 元テープ番号 | 粟国T12B01 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 12 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | - |
| キーワード | 火正月,神様,猿の尻 |
| 梗概(こうがい) | 金持ちと貧乏人がいた。年の晩に貧乏人が金持ちの家へカマスを貸してくれと頼みに行ったが、「お前たちに貸すカマスはない」といって断られた。家に帰り、食べる物もないので、兄妹二人で泣いていた。すると、天の人が入ってきた。「どうしたのか、あなたたちは」というので、「はい。年の晩というのに食べるものがなくて、隣から米の入っていたカマスを借りて、米粒を集めてそれを食べる積もりだったが、貸してくれず食べる物がなくて泣いているんです」といった。「ああ、そうか。あなたたちは何が欲しいか」ときく。「ご飯、おかず」というと、天の人が、「それでは釜に水を入れてお湯を沸かしなさい」といった。天の人がその中に小さなさじでほんの少し何かを入れると、鍋いっぱいにご飯が出来た。おかずも同じように鍋いっぱいに出来た。天の人が食べるようにといったので食べた。そして、天の人が、「若くなるのと金持ちになるのとどれがいいのか」ときいた。貧乏人は、私たちは美味しいものを食べるより若くなる方がいいです」と答えた。天の人が鍋にお湯を沸かしなさいというので、お湯を沸かし、そのお湯で浴びると、(二人は)もとのような若者と娘になった。天の人は今度は隣の金持ちの家に行った。そして「あなたたちはどんなか」ときくと、(隣の金持ちは)「私たちも金持ちになるより、若くなる方がいい」といった。天の人は、「ああそうか。ではお湯を沸かしなさい」といって、鍋の中に薬を入れ、金持ちはこのお湯で浴びた。すると猿になった。金持ちは悪い心を持っているので、この時から猿になってしまった。貧乏人(若くなった人)に、「隣の人は猿になって何も分からないから、あなたたちはその家に住みなさい」と天の人がいった。はい、そうします、といって隣の家に住むことにした。猿になっても自分の家は分かっていた。貧乏人が自分の家に住んでいたので、猿は不思議に思っていた。夕方6時か7時になると、家にやって来た。天の人がまた訪ねて来た。猿が来ることを天の人に話した。「だったらクルマー石(黒石)を焼いて、猿が座りそうな三つ角に置きなさい」と天の人はいった。猿は時間になったのでやって来た。そしていつものように石の上に座ったので、お尻を焼いてしまった。貧乏人は裕福になった。「人は心が第一よ。磨いて治めて世を渡り・・・・」と昔の歌がある。 |
| 全体の記録時間数 | 8:07 |
| 物語の時間数 | 6:00 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |