
やんばる(山原)の女を妻(関係)にして、その女が妊娠した。その女が子供を産む頃だと思ったのか、神山里之子は病気になった。それで、臣下たちが座っていた。(その女の)叔父さんが子供といっしょに立っている姪の姿を見て、「これは、何か思い悩んでいることがあるに違いない。毎日、着物を被って人に顔を見せないでいる」と言って、台所に来て、 。するとこのやんばるの女は、男が着物を被って座っているので、中前(ナカメー)に足を入れようとすると、本妻が「田舎やんばるもん(山原者)が、この殿内に足入れるのか。下がりなさい」と言った。女が下がると本妻は、「お前はここに何しに来たのか」と言った。女は「このウミン子をあなたに預けに来ました」と言った。「なんと、これは驚いたことだ。私はお前に約束しなければならないからこっちに来なさい」と言って、「お前はこのウミン子が成長する間シマ(故郷)に帰るか。どうするのか」と言うと、(女は)「ここに置いてください。この子が成長するまでは」と答えた。「それではここで女中として働くか」ときくと、女はそうすると言った。その子が17歳くらいの青年になった時、本妻がその子に、「おい、タルガニー、尾類を呼んだり酒を飲んだりするのが親孝行だから、母さんがお金もやるので、尾類遊びをしなさい。これだけのお金を使い切るまでは家に帰って来るなよ」と言って遊郭へやった。そして、その子が朝家に帰って来ると、また金をやって遊郭へ行くよう勧める。すると、その本妻の実子は「私にもくれ」と言う。本妻は「あの子は田舎やんばる者で、あの子に学問をさせないために遊郭にやっているのだから、お前は学問をしなさい」と言って、自分の子は家の中においた。その後、妾の子が酔ってフラフラ歩いて返ってくると、実の母親はほうきを持って掃除をしているところだったが、その子に「里之子ぐゎ、あなたは侍のウミン子でありながら、そんなに(酔って)フラフラしていていいのですか」と言った。それを聞いた本妻が、「タルガニー、田舎やんばる者が侍に向かってムンナラーシ(物習わし)するから懲らしめてやりなさい」と言う。それで、その子は実の親をさんざん痛めつけた。そこへ下男が出て来て、「エーサイ、あなたはこの人が産んだ子供ですよ。あなたは親を痛めつけるのですか」と言った。すると、その子は泣きながら、「お母さんよ、私は知らなくてお母さんを痛めつけたのだから許してください。いっしょにお母さんのシマ(故郷)へ行こう」と言うと、母親は「お前は、お義母さんの側にいなさい。やんばるへ行くと、田舎やんばる者といって、向こうの人たちにいじめられることになるのだから」と言う。しかし、その子は「お母さんが畑に行くときは私も鍬を持ち、またお母さんが豚小屋の掃除をするときは、私もいっしょにやります。私はお母さんといっしょです」と言った。本妻の子は「兄さん、行かないでください」と言うが、その子は実の母親といっしょに行った。そして、やんばるへ帰って、その人は船長になった。それで弟は母親に、船長になった兄を迎えに行こうと誘う。本妻は女中ひとりを連れて、一袋だけの芋を持ち、みすぼらしい身なりで行った。田舎に下った母親は気付いて、「どうしてそのような格好をなさっているのですか」と言ったが(本妻は)何も言えない。侍の子は船長になり、本妻はその母子に助けられた。
| レコード番号 | 47O230098 |
|---|---|
| CD番号 | 47O23C006 |
| 決定題名 | 神山里之子(方言) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 末吉カマ |
| 話者名かな | すえよしかま |
| 生年月日 | 18900000 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 沖縄県粟国村浜 |
| 記録日 | 19760818 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄国際大学口承研 |
| 元テープ番号 | 粟国T04B02 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 20 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | - |
| キーワード | 継子,出世, |
| 梗概(こうがい) | やんばる(山原)の女を妻(関係)にして、その女が妊娠した。その女が子供を産む頃だと思ったのか、神山里之子は病気になった。それで、臣下たちが座っていた。(その女の)叔父さんが子供といっしょに立っている姪の姿を見て、「これは、何か思い悩んでいることがあるに違いない。毎日、着物を被って人に顔を見せないでいる」と言って、台所に来て、 。するとこのやんばるの女は、男が着物を被って座っているので、中前(ナカメー)に足を入れようとすると、本妻が「田舎やんばるもん(山原者)が、この殿内に足入れるのか。下がりなさい」と言った。女が下がると本妻は、「お前はここに何しに来たのか」と言った。女は「このウミン子をあなたに預けに来ました」と言った。「なんと、これは驚いたことだ。私はお前に約束しなければならないからこっちに来なさい」と言って、「お前はこのウミン子が成長する間シマ(故郷)に帰るか。どうするのか」と言うと、(女は)「ここに置いてください。この子が成長するまでは」と答えた。「それではここで女中として働くか」ときくと、女はそうすると言った。その子が17歳くらいの青年になった時、本妻がその子に、「おい、タルガニー、尾類を呼んだり酒を飲んだりするのが親孝行だから、母さんがお金もやるので、尾類遊びをしなさい。これだけのお金を使い切るまでは家に帰って来るなよ」と言って遊郭へやった。そして、その子が朝家に帰って来ると、また金をやって遊郭へ行くよう勧める。すると、その本妻の実子は「私にもくれ」と言う。本妻は「あの子は田舎やんばる者で、あの子に学問をさせないために遊郭にやっているのだから、お前は学問をしなさい」と言って、自分の子は家の中においた。その後、妾の子が酔ってフラフラ歩いて返ってくると、実の母親はほうきを持って掃除をしているところだったが、その子に「里之子ぐゎ、あなたは侍のウミン子でありながら、そんなに(酔って)フラフラしていていいのですか」と言った。それを聞いた本妻が、「タルガニー、田舎やんばる者が侍に向かってムンナラーシ(物習わし)するから懲らしめてやりなさい」と言う。それで、その子は実の親をさんざん痛めつけた。そこへ下男が出て来て、「エーサイ、あなたはこの人が産んだ子供ですよ。あなたは親を痛めつけるのですか」と言った。すると、その子は泣きながら、「お母さんよ、私は知らなくてお母さんを痛めつけたのだから許してください。いっしょにお母さんのシマ(故郷)へ行こう」と言うと、母親は「お前は、お義母さんの側にいなさい。やんばるへ行くと、田舎やんばる者といって、向こうの人たちにいじめられることになるのだから」と言う。しかし、その子は「お母さんが畑に行くときは私も鍬を持ち、またお母さんが豚小屋の掃除をするときは、私もいっしょにやります。私はお母さんといっしょです」と言った。本妻の子は「兄さん、行かないでください」と言うが、その子は実の母親といっしょに行った。そして、やんばるへ帰って、その人は船長になった。それで弟は母親に、船長になった兄を迎えに行こうと誘う。本妻は女中ひとりを連れて、一袋だけの芋を持ち、みすぼらしい身なりで行った。田舎に下った母親は気付いて、「どうしてそのような格好をなさっているのですか」と言ったが(本妻は)何も言えない。侍の子は船長になり、本妻はその母子に助けられた。 |
| 全体の記録時間数 | 7:40 |
| 物語の時間数 | 7:30 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | 〇 |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |