
昔、海の神(海幸)と山の神(山幸)は兄弟だった。山の神は海が珍らしい、海の神は山が珍しいことだと言って、「だったら、二人交換して各々の所に行ってみよう」ということになった。山の神は海に行って、そこで、妻を娶った。妻が身ごもったので、山に帰ることにした。妻が大きなお腹をして帰る途中、浜で産気づいてお腹が痛くなって、もう家に帰るまでには間に合わないとのことだった。それではいけないと、お供の神様がみんなで、家を造りはじめたらしい。が、家を造る間も待てなくて、家を葺き終えないうちに、その子は生まれたって。それで、その子は、「ウガヤフキアエズヌミコト」と名付けたって。「ウガヤフキアエズ」というのは、自分の家を葺き終えないという意味。また、お産が大変軽かったので、それに習って、家を葺く時は今でも家のイリチャは覆わない。今、現在でもその習慣はある。また、山の神の妻がお産をするとき、イブキドの神という大変悪い神様が、女が子を産むというのはどんなだろうと見に来た。山の神の妻は大事なところを開けているから、そこを見られたら大変だと思った。子を産むということでカカン(女性の下着)も脱いであるから、それで、あわてて自分のカカンをとって覆い被せて、蟹を這わせて、「アガリカイ、アガリカイ(東に、東に)」というふうにして、東に逃がしたって。神々が囲っていたので、それをそのまま子に伝えたという。それから、子を産んだ後、名前を付ける時には、名付き蟹(なーちきがに)ぐゎーといって蟹を這わせ、頭にはカカンを被り、桑の枝で弓矢を作って、その枝に針をつけて、ミージョーキー(箕笊)を的にして、「ミーミーミー ミーミーミー ミーミーミー」と三回唱えて、ナージキー(名付け)をするようになった。カカンというのは昔の服装の下着である。スヌブジョウ(取納奉行)の歌に、「ドゥジン カラサワ イチュミ カカン カラサワ イチュミ」というのは、昔の神々が着ている服装を現わしているんだって。おおよそそんな伝説、これがひとつの話。
| レコード番号 | 47O220594 |
|---|---|
| CD番号 | 47O22C027 |
| 決定題名 | ナージキーの始まり(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | 家を造る時の話とお産の時の話 |
| 話者名 | 照屋保 |
| 話者名かな | てるやたもつ |
| 生年月日 | 19160603 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県大宜味村大保 |
| 記録日 | 19830305 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 大宜味村大保T24A03 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 20,40, |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | - |
| キーワード | 海の神,海幸,山の神,山幸,兄弟,二人交換して,海に行く,妻を娶った,身ごもった,帰る途中,浜で産気づく,間に合わない,お供の神様,家を造り,葺き終えない,子は生まれた,ウガヤフキアエズヌミコト,名付け,お産,軽かった,家を葺く,家のイリチャ,イブキドの神,カカン(女性の下着),蟹を這わせる,桑の枝,弓矢,枝に針をつけ,ミージョーキー,三回唱え,ナージキー |
| 梗概(こうがい) | 昔、海の神(海幸)と山の神(山幸)は兄弟だった。山の神は海が珍らしい、海の神は山が珍しいことだと言って、「だったら、二人交換して各々の所に行ってみよう」ということになった。山の神は海に行って、そこで、妻を娶った。妻が身ごもったので、山に帰ることにした。妻が大きなお腹をして帰る途中、浜で産気づいてお腹が痛くなって、もう家に帰るまでには間に合わないとのことだった。それではいけないと、お供の神様がみんなで、家を造りはじめたらしい。が、家を造る間も待てなくて、家を葺き終えないうちに、その子は生まれたって。それで、その子は、「ウガヤフキアエズヌミコト」と名付けたって。「ウガヤフキアエズ」というのは、自分の家を葺き終えないという意味。また、お産が大変軽かったので、それに習って、家を葺く時は今でも家のイリチャは覆わない。今、現在でもその習慣はある。また、山の神の妻がお産をするとき、イブキドの神という大変悪い神様が、女が子を産むというのはどんなだろうと見に来た。山の神の妻は大事なところを開けているから、そこを見られたら大変だと思った。子を産むということでカカン(女性の下着)も脱いであるから、それで、あわてて自分のカカンをとって覆い被せて、蟹を這わせて、「アガリカイ、アガリカイ(東に、東に)」というふうにして、東に逃がしたって。神々が囲っていたので、それをそのまま子に伝えたという。それから、子を産んだ後、名前を付ける時には、名付き蟹(なーちきがに)ぐゎーといって蟹を這わせ、頭にはカカンを被り、桑の枝で弓矢を作って、その枝に針をつけて、ミージョーキー(箕笊)を的にして、「ミーミーミー ミーミーミー ミーミーミー」と三回唱えて、ナージキー(名付け)をするようになった。カカンというのは昔の服装の下着である。スヌブジョウ(取納奉行)の歌に、「ドゥジン カラサワ イチュミ カカン カラサワ イチュミ」というのは、昔の神々が着ている服装を現わしているんだって。おおよそそんな伝説、これがひとつの話。 |
| 全体の記録時間数 | 4:23 |
| 物語の時間数 | 4:12 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◯ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |