
モーイ親方は、親が勉強しなさいと言っても、絶対にしなかった。親が寝てから、台所に行って、チョーチン袋というものに字を書いて勉強して、床下に隠していた。あだ名は灰坊(ふぇーばー)と言われていた。ある時、家の掃除するといって家敷を全部掃除したら、台所の床下から、勉強して字を書いたものがいっぱいあった。親は、「ああ、この子は、これはちょっといけるなあ」と思って、それからはもう絶対叱らなかった。それで、昔薩摩から、藁綱(わらじな)とか、於茂登岳を持ってこいとか、いろいろの難題がきたとき、伊野波親方は三司官だから、これに非常に困って思案していると、このモーヤが、「そのくらいのものは問題でない」言った。最初は、「雄鶏の卵持ってこい」と言われた。雄物(うーむん)が卵産むわけない、でしょう。「よし、これは僕に行かせて下さい」と、モーイは自分で薩摩に上った。「あんた何か」と言うと、「私は、モーイ親方の子供。代理で来ました」言った。「あんた代理で来て、これを果たし得るか」「はい、十分果たし得る」「じゃあ、雄鶏の卵持ってきたのか」「男が子を産みますか」と言うと、むこうもびっくりして、「もうあなたに敵わん。よし」と言って。それからまたこの二年後に、「藁灰綱(わらあくじな)を持ってこい」というわけ。これもまた非常に困って。こっちから縄綯って、向こうまで持って行って、その綯った綱を燃やして、「はい、これを持ってきました」と。また向こうも、「これはもう一つ何とかいじめよう」と思って、「今度は、八重山の於茂登岳を持ってこい」と。親はもう、「おい、モーヤー。お前にしかできないよ。向こうに行きなさい」と。「いいさー」と行った。「於茂登岳を持ってきたか」と言うと、「沖縄には、これだけの山を積む船がないから、あんたなんかが船を造って下さい。そんなら持ってきましょう」と言ったら、それで向こうもびっくりして。そのまま帰って来た。その時から親も認めて、これを公儀勤めさせて、いろいろやったらしい。
| レコード番号 | 47O220383 |
|---|---|
| CD番号 | 47O22C019 |
| 決定題名 | モーイ親方 勉強 殿様の難題(共通語) |
| 話者がつけた題名 | モーイ親方 勉強 殿様の難題 |
| 話者名 | 根路銘安直 |
| 話者名かな | ねろめあんちょく |
| 生年月日 | 19031217 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県大宜味村上原 |
| 記録日 | 19830304 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 大宜味村上原T17A01 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 13 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 『おおぎみの昔話』(平成10年3月31日 大宜味村教育委員会発行)P200 |
| キーワード | モーイ親方,親,勉強,台所,チョーチン袋,床下に隠す,あだ名,灰坊(ふぇーばー),叱らなかった,薩摩藁綱,於茂登岳,難題,伊野波親方,三司官,困って思案,モーヤ,雄鶏の卵,代理で来た,藁灰綱(わらあくじな),山を積む船,公儀勤め |
| 梗概(こうがい) | モーイ親方は、親が勉強しなさいと言っても、絶対にしなかった。親が寝てから、台所に行って、チョーチン袋というものに字を書いて勉強して、床下に隠していた。あだ名は灰坊(ふぇーばー)と言われていた。ある時、家の掃除するといって家敷を全部掃除したら、台所の床下から、勉強して字を書いたものがいっぱいあった。親は、「ああ、この子は、これはちょっといけるなあ」と思って、それからはもう絶対叱らなかった。それで、昔薩摩から、藁綱(わらじな)とか、於茂登岳を持ってこいとか、いろいろの難題がきたとき、伊野波親方は三司官だから、これに非常に困って思案していると、このモーヤが、「そのくらいのものは問題でない」言った。最初は、「雄鶏の卵持ってこい」と言われた。雄物(うーむん)が卵産むわけない、でしょう。「よし、これは僕に行かせて下さい」と、モーイは自分で薩摩に上った。「あんた何か」と言うと、「私は、モーイ親方の子供。代理で来ました」言った。「あんた代理で来て、これを果たし得るか」「はい、十分果たし得る」「じゃあ、雄鶏の卵持ってきたのか」「男が子を産みますか」と言うと、むこうもびっくりして、「もうあなたに敵わん。よし」と言って。それからまたこの二年後に、「藁灰綱(わらあくじな)を持ってこい」というわけ。これもまた非常に困って。こっちから縄綯って、向こうまで持って行って、その綯った綱を燃やして、「はい、これを持ってきました」と。また向こうも、「これはもう一つ何とかいじめよう」と思って、「今度は、八重山の於茂登岳を持ってこい」と。親はもう、「おい、モーヤー。お前にしかできないよ。向こうに行きなさい」と。「いいさー」と行った。「於茂登岳を持ってきたか」と言うと、「沖縄には、これだけの山を積む船がないから、あんたなんかが船を造って下さい。そんなら持ってきましょう」と言ったら、それで向こうもびっくりして。そのまま帰って来た。その時から親も認めて、これを公儀勤めさせて、いろいろやったらしい。 |
| 全体の記録時間数 | 5:15 |
| 物語の時間数 | 4:35 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | ○ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |