
伊江島の地頭代の息子、アフィ小(グヮー)という人が、伊江島から辺土名の方に航海中、台風に遭って、辺土名の浜に流れ着き、ハンドゥー小(グヮー)と、そのお母さんと二人に助けられた。ハンドゥー小が面倒をみているうちに、二人仲良くなった。アフィ小は「妻もいない、子どももない」と言ったので、ハンドゥー小は一緒になってもいいと思って、仲の良い夫婦同然になっていた。その時、伊江島の地頭代は、息子が帰って来ないので心配して、連れ戻すようにと辺土名に使いをよこした。使いの者がハンドゥー小の家に行くと、アフィ小が一人でいたので、「お父さんが早く帰って来いといっている」と伝える。アフィ小は、ハンドゥー小にこれだけ面倒みられているのに、嘘をついている気持ちもあって気の毒に思ったが、とうとう連れられて行った。それを、隣の従兄のマツ小(グヮー)が見ていて、急いで畑に行って、ハンドゥー小に、「あなたのアフィ小は伊江島に帰ったよー」と告げる。ハンドゥー小は、最初信じなかったが、マツ小に森に上に連れて行かれて、アフィ小が乗っている舟を見せられると、何も言えず泣き崩れた。ちょうどその時、向こうから伊江島を航海している船頭主がみえたから、マツ小は、船頭主に頼んで、「是非ともに、このハンドゥー小を伊江島に連れていって、思いを果たさせてください」と言った。船頭主は「連れて行ってもいいが、万一、君が向こう行って過ちでも起こしたら、この罪は僕にかかるから、大変だから連れて行かない」と言った。マツ小とハンドゥー小二人で泣き崩れて頼んだから、船頭主は、「伊江島は、自分の島だから、食べるものも何も、宿も僕の家にあるから心配しないでくれ」といって、ハンドゥー小に言い聞かせて、すぐに舟を出したそうだ。伊江島に行ったら、ハンドゥー小は、夜に、船頭主の家から一人で、アフィ小の家を訪ねてゆく途中に、青年達がモーアシビしているところに出会った。「君はどこの者か」と青年達が聞いてきた。「私の生まれは辺土名だが」「歳はいくつなるか」「十七」と答えると、美しい女だなあと思って、青年達は、「一緒に遊ぼう、一緒に楽しくやろう」と言った。「私の田舎では遊ぶということは知らないから」言った。そうこうしているところに、モーアシビーの取り締まりをする村の締まり役が来たので、青年達はみんな散らばって行った。ハンドゥー小は、この村役に、地頭代主の長男のアフィ小との事情を話して、会わしてくれるよう頼む。「それなら、僕が会わすから」といって、村の役人は、「アフィ小はいつもこの道を通るから、君はここで待っておけ。会わすから」と言った。そこへ、ちょうどアフィ小が向こうからやってきた。「君は今は隠れておけ。僕が合図する場合に出て来なさい」と、村役が言った。そうして、アフィ小が来たもんだから、村役は話をして、その途中に、持っている棒でポンポンと合図した。それで、ハンドゥー小が出て行って、握りしめようとすると、アフィ小は、「この女は知らない」と言った。ハンドゥー小はもう心が燃え上がって、大変なことになった。アフィ小はもう、「許してくれ、許してくれ」と言うが、これを恐れて、家まで連れて行った。すると、アフィ小の親が、辺土名に女がいるって聞いていたから、「ここまで来て、サングヮナー(街娼)しに来たか。あんな遠い所から来たか。ここには家内もいるものを、君はあんな遠い所からサングヮナーしに来たか」と言った。ハンドゥー小は、「いいや、私はこの一言葉でも言いたいために来たんです」と言うと、この親は、「早く帰れ」と言って、蹴ったり殴ったりしていじめて追い返した。ハンドゥー小が船頭主の家に帰る途中、船頭主は心配して「何と言いよったか」聞いた。「こんな遠い所まで来てサングヮナーしに来たかといって、蹴ったりされた」と言うと、「こんな人間か、これはただは許しておけない。もう殺してくる」と、船頭主が怒って言った。ハンドゥー小は、「いや、私が悪いから、こんな手を使わなくてもいい。もうあきらめているから、ここを眺めてから、心を休めてからゆっくり家に帰るから、船頭主は先に帰っておきなさい」と言った。「そうか。君がそう言うならば」といって、船頭主は先に家に帰った。しかし、ハンドゥー小は、向こうでもう、自分の洗い髪で(首を絞めて)自殺するんですよ。船頭主は、ハンドゥー小の帰りが遅いので、「今まで来ないが」といって、迎えに行ったら、もう死んでいた。「こうなるとは思わなかった」といって、船頭主はアフィ小の家に行って、「線香一本でも立ててやってくれ」と言う。アフィ小の家では、「こんなものには線香立てる必要はない」といって、立てさせなかった。その後、ハンドゥー小は幽霊になって、アフィ小は病気になった。アフィ小の親は、火になったハンドゥー小の幽霊に気を取られて、息子を切ってしまい、アフィ小は死んでしまう。またこの親は、自分の嫁も殺してしまう。この船頭主は、「あー、もう僕が言う通りに線香の一本でも立てていたなら、こういう運命には遭わなかったはずなのにねえ」と言うて、親はもう、「うちが悪かった。」と言って、頭下げていたそうだ。その時から、辺土名と伊江島の間に遺念火が飛ぶようになったという話。
| レコード番号 | 47O220286 |
|---|---|
| CD番号 | 47O22C014 |
| 決定題名 | 伊江島ハンドゥ小(共通語) |
| 話者がつけた題名 | 伊江島ハンドゥ小 |
| 話者名 | 平良応太郎 |
| 話者名かな | たいら |
| 生年月日 | 19100603 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県大宜味村喜如嘉 |
| 記録日 | 19830303 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄県口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 大宜味村喜如嘉13A10 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 20 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | 老人から聞いたり、芝居伝承など |
| 文字化資料 | - |
| キーワード | 伊江島,地頭代の息子,アフィ小(グヮー),辺土名,航海中,台風に遭う,浜に流れ着く,ハンドゥー小(グヮー),助けられ,二人仲良くなる,妻もいない、子どももないと言う,連れ戻す,使いをよこす,隣の従兄のマツ小(グヮー),帰った,告げる,信じない,森の上,乗っている舟,泣き崩れた,船頭主,舟を出す,青年達,モーアシビ,取り締まり,村の役人,棒でポンポン,合図,サングヮナー(街娼),蹴ったり殴ったり,いじめて追い返す,洗い髪,自殺する,線香一本,幽霊,病気,火になる,運命,遺念火 |
| 梗概(こうがい) | 伊江島の地頭代の息子、アフィ小(グヮー)という人が、伊江島から辺土名の方に航海中、台風に遭って、辺土名の浜に流れ着き、ハンドゥー小(グヮー)と、そのお母さんと二人に助けられた。ハンドゥー小が面倒をみているうちに、二人仲良くなった。アフィ小は「妻もいない、子どももない」と言ったので、ハンドゥー小は一緒になってもいいと思って、仲の良い夫婦同然になっていた。その時、伊江島の地頭代は、息子が帰って来ないので心配して、連れ戻すようにと辺土名に使いをよこした。使いの者がハンドゥー小の家に行くと、アフィ小が一人でいたので、「お父さんが早く帰って来いといっている」と伝える。アフィ小は、ハンドゥー小にこれだけ面倒みられているのに、嘘をついている気持ちもあって気の毒に思ったが、とうとう連れられて行った。それを、隣の従兄のマツ小(グヮー)が見ていて、急いで畑に行って、ハンドゥー小に、「あなたのアフィ小は伊江島に帰ったよー」と告げる。ハンドゥー小は、最初信じなかったが、マツ小に森に上に連れて行かれて、アフィ小が乗っている舟を見せられると、何も言えず泣き崩れた。ちょうどその時、向こうから伊江島を航海している船頭主がみえたから、マツ小は、船頭主に頼んで、「是非ともに、このハンドゥー小を伊江島に連れていって、思いを果たさせてください」と言った。船頭主は「連れて行ってもいいが、万一、君が向こう行って過ちでも起こしたら、この罪は僕にかかるから、大変だから連れて行かない」と言った。マツ小とハンドゥー小二人で泣き崩れて頼んだから、船頭主は、「伊江島は、自分の島だから、食べるものも何も、宿も僕の家にあるから心配しないでくれ」といって、ハンドゥー小に言い聞かせて、すぐに舟を出したそうだ。伊江島に行ったら、ハンドゥー小は、夜に、船頭主の家から一人で、アフィ小の家を訪ねてゆく途中に、青年達がモーアシビしているところに出会った。「君はどこの者か」と青年達が聞いてきた。「私の生まれは辺土名だが」「歳はいくつなるか」「十七」と答えると、美しい女だなあと思って、青年達は、「一緒に遊ぼう、一緒に楽しくやろう」と言った。「私の田舎では遊ぶということは知らないから」言った。そうこうしているところに、モーアシビーの取り締まりをする村の締まり役が来たので、青年達はみんな散らばって行った。ハンドゥー小は、この村役に、地頭代主の長男のアフィ小との事情を話して、会わしてくれるよう頼む。「それなら、僕が会わすから」といって、村の役人は、「アフィ小はいつもこの道を通るから、君はここで待っておけ。会わすから」と言った。そこへ、ちょうどアフィ小が向こうからやってきた。「君は今は隠れておけ。僕が合図する場合に出て来なさい」と、村役が言った。そうして、アフィ小が来たもんだから、村役は話をして、その途中に、持っている棒でポンポンと合図した。それで、ハンドゥー小が出て行って、握りしめようとすると、アフィ小は、「この女は知らない」と言った。ハンドゥー小はもう心が燃え上がって、大変なことになった。アフィ小はもう、「許してくれ、許してくれ」と言うが、これを恐れて、家まで連れて行った。すると、アフィ小の親が、辺土名に女がいるって聞いていたから、「ここまで来て、サングヮナー(街娼)しに来たか。あんな遠い所から来たか。ここには家内もいるものを、君はあんな遠い所からサングヮナーしに来たか」と言った。ハンドゥー小は、「いいや、私はこの一言葉でも言いたいために来たんです」と言うと、この親は、「早く帰れ」と言って、蹴ったり殴ったりしていじめて追い返した。ハンドゥー小が船頭主の家に帰る途中、船頭主は心配して「何と言いよったか」聞いた。「こんな遠い所まで来てサングヮナーしに来たかといって、蹴ったりされた」と言うと、「こんな人間か、これはただは許しておけない。もう殺してくる」と、船頭主が怒って言った。ハンドゥー小は、「いや、私が悪いから、こんな手を使わなくてもいい。もうあきらめているから、ここを眺めてから、心を休めてからゆっくり家に帰るから、船頭主は先に帰っておきなさい」と言った。「そうか。君がそう言うならば」といって、船頭主は先に家に帰った。しかし、ハンドゥー小は、向こうでもう、自分の洗い髪で(首を絞めて)自殺するんですよ。船頭主は、ハンドゥー小の帰りが遅いので、「今まで来ないが」といって、迎えに行ったら、もう死んでいた。「こうなるとは思わなかった」といって、船頭主はアフィ小の家に行って、「線香一本でも立ててやってくれ」と言う。アフィ小の家では、「こんなものには線香立てる必要はない」といって、立てさせなかった。その後、ハンドゥー小は幽霊になって、アフィ小は病気になった。アフィ小の親は、火になったハンドゥー小の幽霊に気を取られて、息子を切ってしまい、アフィ小は死んでしまう。またこの親は、自分の嫁も殺してしまう。この船頭主は、「あー、もう僕が言う通りに線香の一本でも立てていたなら、こういう運命には遭わなかったはずなのにねえ」と言うて、親はもう、「うちが悪かった。」と言って、頭下げていたそうだ。その時から、辺土名と伊江島の間に遺念火が飛ぶようになったという話。 |
| 全体の記録時間数 | 18:25 |
| 物語の時間数 | 18:25 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | 〇 |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |