
安谷屋といったら中城若松と言って、必ず話が出るはずです。この中城若松は士族ですよ。若いころ中城若松は、昔の首里の中山王、あそこにお使いに行ったそうだがね、昔は乗物がないし、歩いて行くことになった。夜が暮れたからね、やっぱり昔は夜は歩くのも歩けないですから、女の住む家に宿を借りたそうですよ。「首里に行く途中だが怖くて歩かれないから、一夜宿を貸してちょうだい。」って言うたそうだ。そうしたら、女は、宿を借りた士族は中城若松で、これはあまり綺麗かったそうだ。だから、もう中城若松に惚れてね、「もうこの男と結婚してもよい。」と言って、女が泣いたけど、女の方がそれを言うたら、中城若松の方は、「あんたとは出来ない。」というて逃げようとしたがね、女の方が、中城若松に、「いきが生まれとって、恋知らんものが〔男に生まれていながら 恋を知らん者は〕玉ぬ杯ぬ底や見らん〔玉の杯の底は見えない〕。」と言ってね、また中城若松が、「女生まれとーてぃ義理知らんむぬや〔女に生まれて 義理を知らん者は〕まことくぅぬゆのじぐくさだみ〔まことこの世の地獄さだめ〕。」って言ってね、中城若松の方もこういう話してね、問答をやっているもんだが、もうこの女は、男を非常に愛してね、あきらめないそうだ。後は、中城若松は、夜が明けたから出て行ったら、「いつまでも話たい。内心を打ち明けよう。」と女はどこまでも追いかけて行ったらしい。追いかけて行ったから、中城若松は、お寺へ行ってね、「隠してくれ。」と頼んだら、坊さんがね、沖縄の橦鐘と言ってあるでしょう。そこに隠しておるんだけど、女は、ジャーという化け物に化けて来るんだよ。女がそこに忍び込んで来てね、「あの男を出せ。」と言ったけど、坊さんがお経で追っ払うんだよ。女はお経に負けて逃げたんだよね。これは執心鐘入りって、組踊にあるんですよ。
| レコード番号 | 47O361876 |
|---|---|
| CD番号 | 47O36C071 |
| 決定題名 | 執心鐘入(共通語) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 比嘉秀亮 |
| 話者名かな | - |
| 生年月日 | 19110525 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県沖縄市字山内 |
| 記録日 | 19811213 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 北中城村字島袋調査15班T35B08 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 12 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | - |
| キーワード | 安谷屋,中城若松,執心鐘入,組踊,鬼,鐘,坊主,寺 |
| 梗概(こうがい) | 安谷屋といったら中城若松と言って、必ず話が出るはずです。この中城若松は士族ですよ。若いころ中城若松は、昔の首里の中山王、あそこにお使いに行ったそうだがね、昔は乗物がないし、歩いて行くことになった。夜が暮れたからね、やっぱり昔は夜は歩くのも歩けないですから、女の住む家に宿を借りたそうですよ。「首里に行く途中だが怖くて歩かれないから、一夜宿を貸してちょうだい。」って言うたそうだ。そうしたら、女は、宿を借りた士族は中城若松で、これはあまり綺麗かったそうだ。だから、もう中城若松に惚れてね、「もうこの男と結婚してもよい。」と言って、女が泣いたけど、女の方がそれを言うたら、中城若松の方は、「あんたとは出来ない。」というて逃げようとしたがね、女の方が、中城若松に、「いきが生まれとって、恋知らんものが〔男に生まれていながら 恋を知らん者は〕玉ぬ杯ぬ底や見らん〔玉の杯の底は見えない〕。」と言ってね、また中城若松が、「女生まれとーてぃ義理知らんむぬや〔女に生まれて 義理を知らん者は〕まことくぅぬゆのじぐくさだみ〔まことこの世の地獄さだめ〕。」って言ってね、中城若松の方もこういう話してね、問答をやっているもんだが、もうこの女は、男を非常に愛してね、あきらめないそうだ。後は、中城若松は、夜が明けたから出て行ったら、「いつまでも話たい。内心を打ち明けよう。」と女はどこまでも追いかけて行ったらしい。追いかけて行ったから、中城若松は、お寺へ行ってね、「隠してくれ。」と頼んだら、坊さんがね、沖縄の橦鐘と言ってあるでしょう。そこに隠しておるんだけど、女は、ジャーという化け物に化けて来るんだよ。女がそこに忍び込んで来てね、「あの男を出せ。」と言ったけど、坊さんがお経で追っ払うんだよ。女はお経に負けて逃げたんだよね。これは執心鐘入りって、組踊にあるんですよ。 |
| 全体の記録時間数 | 6:05 |
| 物語の時間数 | 4:39 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | ○ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |