黄金の瓜実(シマグチ)

概要

この人は、按司の奥さんであったらしいがね、屁をしたためにみんなで、「按司の妻が屁をへるかあ。」と言ってね、みんなで吊るし上げて、「これでも妻にするのか。按司の妻が屁をへるか。こんな女は出しなさい。」と言って、それで、その女は妊娠して六ヶ月になるが、「こんな女は按司の妻には出来ない。」と出されてね、この人は離れ島で男の子を産んだからね、この子が九つになって学校行っていたら、蟹が這うのを見たから、みんなで奪い合いして、この子どもが先につかんでね、「私の。私のだよ。」と言ったら、ほかの子が、「父親のいないような者がこれ取るか。」と、みんなでたいへん軽蔑したらしいんだよ。そんなに言われたから、家に帰って来てからね、「人の家はお父さんがいるが私にはなんでいないのか。亡くなっているのかあ。」と言ってよ、この子が質問したからね、「そうじゃないよ。さあ、それじゃあ、明日見せようね。」と言ってね、昔は歩いてだろう。あんな離れから渡って来て、それから、夜通し歩いたんだろう。首里城の前に来ているんだよ。首里城には三ヵ所の門があるから、門番は三ヵ所にいるって、そして、ここの門でね、お母さんが、「お前はね、入れないと言われてもね、私は種物を売りに来ていると言って入れてもらうんだよ。」とこの親が教えてね、やはり門番が、「お前はなんだ。子どもはここから入ないよ。」ともう入れないようにしたからね、「私は種物を売りに来たんだからもう必ず入る。」と言ったから、もうあんまりこんな子どもが、どうしても入るというからね、「それなら、まず按司加那志に尋ねてこよう。」と、按司加那志に言ったら、「ああ、それならここに連れて来なさい。」と按司加那志が言うのでこの子どもを按司加那志の前に連れて行ったら、「ねえ、人は屁をへらないかなあ。」と問うたらね、「屁をへらない人がいるか。みんな屁はする。」と按司加那志が言ったからね、「それなのに私のお母さんは、屁をへったためにここから出されたんでしょう。」それを聞いたら、按司加那志がもうこの子どもをつかまえようとしてね、「それじゃあ、お前は私の子なのだね。」と言って抱いて、たいへん泣いてね。この按司加那志は、この時までまだ子どは恵まれななかったって。そうしたからよ、「誰がお前をここまで連れて来たのか。」と聞いたら、もう昔は向こうの人はお母さんをアヤーメーと言ったからね、「私はアヤーメーと来ました。」と言ったからね、「それなら、ここに連れて来なさい。」と言ったからね、母親を呼ぼうとして門に出てきたらね、お母さんはもう向こうに行ってしまってよ、「今、そこにこういう人がいたはずだが。」と言うと、「今、あそこにいったよ。」と言う。見るとずっと南に歩いて行っているから、後を追いかけて行って、「まだここら辺だよう。」と言っても、もう後を追えないでいるうちに、お母さんは知念まで行ったから、畑の人がね、「ほら、今は向こうに行ったよ。」と言って教えてくれたけどね、分からなくなって、また人に聞いたら、知念に斉場御嶽と言ってあるでしょう。この斉場御嶽に、「そこに入って行ったよ。」と言ったから、向こうの人に聞いて捜したがどこに行ったか、あっというまに行ってしまって捜せなくなってね、そうして、もう母親は本当の人であったら死体でもあるはずだがなにもないってよ。だからさ、この母親はもう神だったんだよ。そうだから、斉場御嶽は女の神といって、今でも皆で信じて拝んでいるさね。

再生時間:3:46

民話詳細DATA

レコード番号 47O361797
CD番号 47O36C068
決定題名 黄金の瓜実(シマグチ)
話者がつけた題名
話者名 大城カマド
話者名かな おおしろかまど
生年月日 19020620
性別
出身地 沖縄県北中城村字熱田
記録日 19811213
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 北中城調査字熱田調査13班T33A15
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 12
発句(ほっく)
伝承事情 おばあちゃんから糸を紡ぎながら聞いた
文字化資料
キーワード 按司,屁,首里城,種物,按司加那志,知念,斉場御嶽,神
梗概(こうがい) この人は、按司の奥さんであったらしいがね、屁をしたためにみんなで、「按司の妻が屁をへるかあ。」と言ってね、みんなで吊るし上げて、「これでも妻にするのか。按司の妻が屁をへるか。こんな女は出しなさい。」と言って、それで、その女は妊娠して六ヶ月になるが、「こんな女は按司の妻には出来ない。」と出されてね、この人は離れ島で男の子を産んだからね、この子が九つになって学校行っていたら、蟹が這うのを見たから、みんなで奪い合いして、この子どもが先につかんでね、「私の。私のだよ。」と言ったら、ほかの子が、「父親のいないような者がこれ取るか。」と、みんなでたいへん軽蔑したらしいんだよ。そんなに言われたから、家に帰って来てからね、「人の家はお父さんがいるが私にはなんでいないのか。亡くなっているのかあ。」と言ってよ、この子が質問したからね、「そうじゃないよ。さあ、それじゃあ、明日見せようね。」と言ってね、昔は歩いてだろう。あんな離れから渡って来て、それから、夜通し歩いたんだろう。首里城の前に来ているんだよ。首里城には三ヵ所の門があるから、門番は三ヵ所にいるって、そして、ここの門でね、お母さんが、「お前はね、入れないと言われてもね、私は種物を売りに来ていると言って入れてもらうんだよ。」とこの親が教えてね、やはり門番が、「お前はなんだ。子どもはここから入ないよ。」ともう入れないようにしたからね、「私は種物を売りに来たんだからもう必ず入る。」と言ったから、もうあんまりこんな子どもが、どうしても入るというからね、「それなら、まず按司加那志に尋ねてこよう。」と、按司加那志に言ったら、「ああ、それならここに連れて来なさい。」と按司加那志が言うのでこの子どもを按司加那志の前に連れて行ったら、「ねえ、人は屁をへらないかなあ。」と問うたらね、「屁をへらない人がいるか。みんな屁はする。」と按司加那志が言ったからね、「それなのに私のお母さんは、屁をへったためにここから出されたんでしょう。」それを聞いたら、按司加那志がもうこの子どもをつかまえようとしてね、「それじゃあ、お前は私の子なのだね。」と言って抱いて、たいへん泣いてね。この按司加那志は、この時までまだ子どは恵まれななかったって。そうしたからよ、「誰がお前をここまで連れて来たのか。」と聞いたら、もう昔は向こうの人はお母さんをアヤーメーと言ったからね、「私はアヤーメーと来ました。」と言ったからね、「それなら、ここに連れて来なさい。」と言ったからね、母親を呼ぼうとして門に出てきたらね、お母さんはもう向こうに行ってしまってよ、「今、そこにこういう人がいたはずだが。」と言うと、「今、あそこにいったよ。」と言う。見るとずっと南に歩いて行っているから、後を追いかけて行って、「まだここら辺だよう。」と言っても、もう後を追えないでいるうちに、お母さんは知念まで行ったから、畑の人がね、「ほら、今は向こうに行ったよ。」と言って教えてくれたけどね、分からなくなって、また人に聞いたら、知念に斉場御嶽と言ってあるでしょう。この斉場御嶽に、「そこに入って行ったよ。」と言ったから、向こうの人に聞いて捜したがどこに行ったか、あっというまに行ってしまって捜せなくなってね、そうして、もう母親は本当の人であったら死体でもあるはずだがなにもないってよ。だからさ、この母親はもう神だったんだよ。そうだから、斉場御嶽は女の神といって、今でも皆で信じて拝んでいるさね。
全体の記録時間数 4:03
物語の時間数 3:46
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

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