津堅赤人(シマグチ)

概要

昔は、沖縄は支那といろんな交際をしているでしょう。御冠船と言って、王様の位に就いたら一、二ヵ年はもう向こうから大使が来たんだよ。これが来ると首里、那覇は大変景気がよかったって。支那の役人たちが沖縄に来ると、ちょうど今のアメリカーたちが女を欲しがったときのように、そのときも女を欲しがるから、町では女の一人、二人歩きは出来ないことになった。そんなとき、那覇の壺屋をその支那の役人たちが歩いていたら、もう大変きれいな娘が歩いているんだよ。もう支那の役人たちは、この若い娘をもう無理に引っ張って行って、「自分の女にする。」と言っているですよ。もう沖縄は、今もアミリカーに文句を言ったら、監獄に入れられるでしょう。だから、みんな知らんふりをしていたら、この王様の護衛をしている武士の津堅赤人は、「お前たちはなにか。支那の一番の大将たちが、どういうわけで今こんな悪いことをするか。」と言ったらしい。この人は沖縄では悪いことをしたら、津堅の海の神様と言って人を守る方だから、「さあ、あなた方は今娘を引っ張って行って、なんの考えをするか。」と言ったらね、支那の役人が、「なんで、そんなことを言うか。琉球国で我々に悪い事をする者は捕まえられてここにおられなくなると伝えてあるはずだがな。」と文句をいったら、この支那の役人は津堅赤人に捕まえられて、海に取って投げられて死体も無くなっているんだよ。そしたらもう、支那人を殺した罰というものがあるから、津堅赤人はいつでもそこにいることはできないでしょう。津堅赤人というのは津堅の人なんだよ。もう自分の津堅に自分の友だちと一緒に帰って海に行っているんだよ。海に行ったら、この津堅赤人の乗ったくり船はもう暴風にあって転覆したから、この人は海でエークに縋ってただもうもたれていたら朝鮮に流れて行っているんだよ。流れて行ったら陸に着いたのがもう夜中だから山の中に入ったそうだよ。夜明け方になったから、すぐ、虎というのが出て来て、この津堅赤人を食べると言って、向かって来ているんだよ。それで、津堅赤人は櫂は持っているんだよ。これでパチんとやったら、もう向こうのほうでの虎はもう恐ろしいもんだから、意識不明になっているんだよ。そうしたから、津堅赤人は虎に股乗りになって、さんざん叩いて殺したから、虎はもう死体になっているんだよ。それで、夜が明けたらもうこれをつかんでから、村里に下りて行っているんだよ。「ああ、これは朝鮮という島ですかね。」言葉は分からない。手ぶりで聞いてから、「私たちが一番に困っていたのはこの虎だ。」と言って、この虎は人を喰ったり、退治に行った武士を喰ったりして、大変な問題になっていた虎だから、村中、どこからも人が集まって来ていたんだよ。それで、津堅赤人がそこにおるうちは、みんなで持てなしをされたから、なんの不自由もないんだが、それでも沖縄の人で、風にもまれて来ているのだから沖縄に帰ろうとしていると、昔は、朝鮮と沖縄とは貿易も盛んなところであった。ちょうど沖縄に行く船があるから、また沖縄に戻って来たとの話。

再生時間:5:51

民話詳細DATA

レコード番号 47O361618
CD番号 47O36C062
決定題名 津堅赤人(シマグチ)
話者がつけた題名
話者名 新垣徳章
話者名かな あらかきとくしょう
生年月日 19040105
性別
出身地 沖縄県北中城村字大城
記録日 19810924
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 北中城村字大城調査1班T25B11
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 20
発句(ほっく)
伝承事情 伊波南哲の本
文字化資料 北中城の民話 P340
キーワード 支那,御冠船,津堅赤人
梗概(こうがい) 昔は、沖縄は支那といろんな交際をしているでしょう。御冠船と言って、王様の位に就いたら一、二ヵ年はもう向こうから大使が来たんだよ。これが来ると首里、那覇は大変景気がよかったって。支那の役人たちが沖縄に来ると、ちょうど今のアメリカーたちが女を欲しがったときのように、そのときも女を欲しがるから、町では女の一人、二人歩きは出来ないことになった。そんなとき、那覇の壺屋をその支那の役人たちが歩いていたら、もう大変きれいな娘が歩いているんだよ。もう支那の役人たちは、この若い娘をもう無理に引っ張って行って、「自分の女にする。」と言っているですよ。もう沖縄は、今もアミリカーに文句を言ったら、監獄に入れられるでしょう。だから、みんな知らんふりをしていたら、この王様の護衛をしている武士の津堅赤人は、「お前たちはなにか。支那の一番の大将たちが、どういうわけで今こんな悪いことをするか。」と言ったらしい。この人は沖縄では悪いことをしたら、津堅の海の神様と言って人を守る方だから、「さあ、あなた方は今娘を引っ張って行って、なんの考えをするか。」と言ったらね、支那の役人が、「なんで、そんなことを言うか。琉球国で我々に悪い事をする者は捕まえられてここにおられなくなると伝えてあるはずだがな。」と文句をいったら、この支那の役人は津堅赤人に捕まえられて、海に取って投げられて死体も無くなっているんだよ。そしたらもう、支那人を殺した罰というものがあるから、津堅赤人はいつでもそこにいることはできないでしょう。津堅赤人というのは津堅の人なんだよ。もう自分の津堅に自分の友だちと一緒に帰って海に行っているんだよ。海に行ったら、この津堅赤人の乗ったくり船はもう暴風にあって転覆したから、この人は海でエークに縋ってただもうもたれていたら朝鮮に流れて行っているんだよ。流れて行ったら陸に着いたのがもう夜中だから山の中に入ったそうだよ。夜明け方になったから、すぐ、虎というのが出て来て、この津堅赤人を食べると言って、向かって来ているんだよ。それで、津堅赤人は櫂は持っているんだよ。これでパチんとやったら、もう向こうのほうでの虎はもう恐ろしいもんだから、意識不明になっているんだよ。そうしたから、津堅赤人は虎に股乗りになって、さんざん叩いて殺したから、虎はもう死体になっているんだよ。それで、夜が明けたらもうこれをつかんでから、村里に下りて行っているんだよ。「ああ、これは朝鮮という島ですかね。」言葉は分からない。手ぶりで聞いてから、「私たちが一番に困っていたのはこの虎だ。」と言って、この虎は人を喰ったり、退治に行った武士を喰ったりして、大変な問題になっていた虎だから、村中、どこからも人が集まって来ていたんだよ。それで、津堅赤人がそこにおるうちは、みんなで持てなしをされたから、なんの不自由もないんだが、それでも沖縄の人で、風にもまれて来ているのだから沖縄に帰ろうとしていると、昔は、朝鮮と沖縄とは貿易も盛んなところであった。ちょうど沖縄に行く船があるから、また沖縄に戻って来たとの話。
全体の記録時間数 6:21
物語の時間数 5:51
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

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