
ある支那の夫婦の話ですけど、男も美男子でね、女もきれいな人で、もうたいへんな金持ちの人なんですよ。それで、二人は大変仲がよい夫婦で、夫は妻をとっても可愛がっていたんですね。そうしているうちに、夫が病気になり、この女はね、夫を一心に看病していて、看病の無理のためか肺病にかかったんだよ。妻の肺病は、どんな医者にかかっても、治らなくなって、だんだん悪くなったから、「私は、いよいよ病気に負けて、死にますからね。」と言ったから、夫は泣いてね、「私はお前を死なせたらなにを楽しむか。お前のようなきれいな女もいない。お前のような心持ちの人もいないから、私はどうして暮していくのか。」と言うたらね、妻は、「私が死んだとしても、あなたを寂しくはさせません。私がこの世を去ってもね、あとに残すものがあるから心配することはないですよ。」と言っていたそうですから、「どうやって。」と言ったからね、「どうか月の夜になったらね、お庭に出てよね。」って言うているんですよ。「そして、お庭に出てからね、月眺めをするときに、私はきれいな花になって咲いて、あなたに見せるから、そのときは、 『あは、私の妻は生きているな。ここに生きて来ているなあ』と思ってくださいよ。この花は月のある間、ずっと咲いているから私と思って眺めて見てね、そして長生きして成功してくださいね。」という遺言を残して妻は亡くなったって。男は、妻が亡くなったことをたいそう悲しんでね、毎日暮らしていたそうです。そして、妻の言う月夜の夜になったから、その男が庭におりて行って、さびしそうに座っていたら、妻の言ったとおりにきれいな花が男の目のそばで咲いて心をなぐさめてくれたって。それから、その男はね、「アイエー、私の妻はきれいな花になったんだね。」と言って涙も流さないでね、それからは、その美人の花と話をしながら暮らしたっていうことですね。妻はたいへんきれいな女で、その妻のように美しい花が月の下で咲くから、その花の名を月下美人と付けたって。あの花は、字で書いたら月の下と書いて、美人と書くでしょう。それで、月下美人と言われている。
| レコード番号 | 47O361588 |
|---|---|
| CD番号 | 47O36C061 |
| 決定題名 | 月下美人由来(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 名嘉真敏子 |
| 話者名かな | なかまとしこ |
| 生年月日 | 19120429 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 沖縄県那覇市首里 |
| 記録日 | 19810926 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 北中城村字荻堂調査3班T23B02 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 12 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 北中城の民話 P411 |
| キーワード | 月下美人由来,月下美人 |
| 梗概(こうがい) | ある支那の夫婦の話ですけど、男も美男子でね、女もきれいな人で、もうたいへんな金持ちの人なんですよ。それで、二人は大変仲がよい夫婦で、夫は妻をとっても可愛がっていたんですね。そうしているうちに、夫が病気になり、この女はね、夫を一心に看病していて、看病の無理のためか肺病にかかったんだよ。妻の肺病は、どんな医者にかかっても、治らなくなって、だんだん悪くなったから、「私は、いよいよ病気に負けて、死にますからね。」と言ったから、夫は泣いてね、「私はお前を死なせたらなにを楽しむか。お前のようなきれいな女もいない。お前のような心持ちの人もいないから、私はどうして暮していくのか。」と言うたらね、妻は、「私が死んだとしても、あなたを寂しくはさせません。私がこの世を去ってもね、あとに残すものがあるから心配することはないですよ。」と言っていたそうですから、「どうやって。」と言ったからね、「どうか月の夜になったらね、お庭に出てよね。」って言うているんですよ。「そして、お庭に出てからね、月眺めをするときに、私はきれいな花になって咲いて、あなたに見せるから、そのときは、 『あは、私の妻は生きているな。ここに生きて来ているなあ』と思ってくださいよ。この花は月のある間、ずっと咲いているから私と思って眺めて見てね、そして長生きして成功してくださいね。」という遺言を残して妻は亡くなったって。男は、妻が亡くなったことをたいそう悲しんでね、毎日暮らしていたそうです。そして、妻の言う月夜の夜になったから、その男が庭におりて行って、さびしそうに座っていたら、妻の言ったとおりにきれいな花が男の目のそばで咲いて心をなぐさめてくれたって。それから、その男はね、「アイエー、私の妻はきれいな花になったんだね。」と言って涙も流さないでね、それからは、その美人の花と話をしながら暮らしたっていうことですね。妻はたいへんきれいな女で、その妻のように美しい花が月の下で咲くから、その花の名を月下美人と付けたって。あの花は、字で書いたら月の下と書いて、美人と書くでしょう。それで、月下美人と言われている。 |
| 全体の記録時間数 | 2:03 |
| 物語の時間数 | 1:33 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ○ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |