
モーイ親方はたいへん優れておられたって。優れ者であるがこの人は、親の前ではぜったい勉強をされなかったそうだ。親たちが寝ているときにいつも床下に入ってやっていたといっているね。昔は蝋というのがなかったでしょう。松から取るトゥブシ火ってわかるだろう。これを付けて勉強してね。ときたまは豚の油をね、これも床下でつけて勉強していたって。また食べ物は、こんだけの布を縫って、それにご飯を入れるイーディルを入れてね、床下でとっても勉強なされたって。だから、父親が、「おい、モーイ。お前はいつも垢だらけなって遊んでばかりいて、なにも勉強もしないね。お前はなにしているか。」と言ったから、「勉強はしたくないんです。」と言ったんだろうね。父さんは王様のおそばにお勤めしているから、 「一人息子で、もう私の後を継がそうとしているがね、ばか者になってね、もう一大事だ。これはこんなだったらどうしようかね。」と心配しなさっていたが、けっきょくは、「こいつはどうなるかね。こんなにしてなにも言うことを聞かない。」と困っておりなさっておった。そしたら、あるときね、「お前は、私の代わりに御主加那志前のおそばに行きなさいよ。」とモーイは言われて、着物もなにもかも出して着せたが、出かけるとき、男の親が、「下駄履いていきなさいよ。」と言っていたそうです。また女の親が、「今日は草履がいいねえ。草履を履いて行きなさい。」と言ったから、「うー。」と言って出かけたそうですよ。それで、モーイは、片一方はお父さんの言いつけだから下駄、また片一方は女の親の言いつけだから草履を履いて勤めに行ったらしい。そうしたら、王様に、「どうしたモーイ。お前は片側の足は下駄を履いて、片側はお前は草履だよ。」と言われたら、「あのね、これは親の孝行です。私たちのターリーが、足駄を履いて行きなさいと言われたから、はいと言って下駄を履いてきました。そしてまたね、私のアヤーがね、草履を履いて行きなさいよ、と言ったから、草履履いて来ました。それでね、私は二人の親に孝行をしています。これは悪いんですか。」と言ったからね、「とお、お前がするとおりだよ。二人の親のことを聞いているからよろしい。」と言ってね、とっても褒められたそうだよ。
| レコード番号 | 47O361573 |
|---|---|
| CD番号 | 47O36C060 |
| 決定題名 | モーイ親方 勉強 下駄と草履(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 名嘉真敏子 |
| 話者名かな | なかまとしこ |
| 生年月日 | 19120429 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 沖縄県那覇市首里 |
| 記録日 | 19810926 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 北中城村字荻堂調査3班T23A02 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 13 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 北中城の民話 P526 |
| キーワード | モーイ親方,床下,勉強,御主加那志前,下駄,草履,親孝行 |
| 梗概(こうがい) | モーイ親方はたいへん優れておられたって。優れ者であるがこの人は、親の前ではぜったい勉強をされなかったそうだ。親たちが寝ているときにいつも床下に入ってやっていたといっているね。昔は蝋というのがなかったでしょう。松から取るトゥブシ火ってわかるだろう。これを付けて勉強してね。ときたまは豚の油をね、これも床下でつけて勉強していたって。また食べ物は、こんだけの布を縫って、それにご飯を入れるイーディルを入れてね、床下でとっても勉強なされたって。だから、父親が、「おい、モーイ。お前はいつも垢だらけなって遊んでばかりいて、なにも勉強もしないね。お前はなにしているか。」と言ったから、「勉強はしたくないんです。」と言ったんだろうね。父さんは王様のおそばにお勤めしているから、 「一人息子で、もう私の後を継がそうとしているがね、ばか者になってね、もう一大事だ。これはこんなだったらどうしようかね。」と心配しなさっていたが、けっきょくは、「こいつはどうなるかね。こんなにしてなにも言うことを聞かない。」と困っておりなさっておった。そしたら、あるときね、「お前は、私の代わりに御主加那志前のおそばに行きなさいよ。」とモーイは言われて、着物もなにもかも出して着せたが、出かけるとき、男の親が、「下駄履いていきなさいよ。」と言っていたそうです。また女の親が、「今日は草履がいいねえ。草履を履いて行きなさい。」と言ったから、「うー。」と言って出かけたそうですよ。それで、モーイは、片一方はお父さんの言いつけだから下駄、また片一方は女の親の言いつけだから草履を履いて勤めに行ったらしい。そうしたら、王様に、「どうしたモーイ。お前は片側の足は下駄を履いて、片側はお前は草履だよ。」と言われたら、「あのね、これは親の孝行です。私たちのターリーが、足駄を履いて行きなさいと言われたから、はいと言って下駄を履いてきました。そしてまたね、私のアヤーがね、草履を履いて行きなさいよ、と言ったから、草履履いて来ました。それでね、私は二人の親に孝行をしています。これは悪いんですか。」と言ったからね、「とお、お前がするとおりだよ。二人の親のことを聞いているからよろしい。」と言ってね、とっても褒められたそうだよ。 |
| 全体の記録時間数 | 2:36 |
| 物語の時間数 | 2:35 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ○ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |