渡嘉敷ペーク 褒美の片荷 鴨汁 片袖着物(シマグチ)

概要

坊主御主といってね、その王様の時代であったらしい。その坊主御主という人は、かんしゃく持ちであったって。だけど、あの渡嘉敷ペークととっても友だちされて、渡嘉敷ペークはまた、冬瓜の苗がまだ小さくて、花はまだ蕾にならないものがあるころに、冬瓜がこんなに花が咲いているのを馬に乗せてね、「花シブイを買ってください。」と言って歩いたから、もう坊主御主がそれを聞いて、 「あのシブイ売りを呼びなさい。」と言われたから、渡嘉敷ペークが行ったそうだ。「こんなまだ花が咲いているシブイを持って来て売るのか。」「大きくなったのは下の者が食べるのですよ。野菜でも人が食べない前に王様に差し上げるんです。だから、王様に差し上げるには花も落ちない今がいいんですよ。」と言ったから、もう坊主御主は喜んだんですよ。「私が買うからここに下ろしなさい。」「お前は米をもらうか。」「どうも恐れ多いことで、あり難いことです。」と言っていると、米俵を一つ持たせてくださった。そしたら、ペークは、馬の片方の腹側にこれ一つだけを乗せたら片側だけが重いから、鞍は一方に流れてきて、もう馬は片方に引きずられて歩けなくなったそうですよ。「なんで、お前の馬は歩かないのだ。」「ハイ、二つだと両方に米を乗せられますからちゃんと歩いて行けますが、一つだから片側が重くて歩けない。こんなにして御城から家まで行くのはたいそうですよ。」「それならもう一つ持っていけ。二つ乗せたら歩るけるか。」と言うから、「ハイ、もちろん二つ乗せたら両方平均がとれてちゃんと歩けますよ。」と言うから、もう一俵出して、それで、二つ取らされた。そうしたから、「おう。」と喜んでね、ペークは、二俵の米を馬に積んで持って帰った。坊主御主は、かんしゃく持ちだが、ペークが行くとすぐもう喜んで、王様が着けておられる着物をくださったそうだね。「これはもうお前に着せるから。」「それはあり難いこと。」ともらって、それからまた坊主御主の屋敷に行くときには、わざと片袖をはずして、片袖で奉公に行っていたそうですよ。 「だ、お前は着物の袖がそんな片袖になって道を歩けるのか。」「もうこの着物は、あまりきれいな着物だから若い女たちが、こんなきれいな衣装もあるのかと片袖をひっ切って持って行ったんですよ。」「それなら、お前にまたこれとは別のものをもっと上げるから持って行きなさい。」と言って、またこんなにして持たせてあったって。またもうこの坊主御主という方はこの方はかんしゃく持ちであるが、ちょうど冗談半分で渡嘉敷ペークを試そうとして、「鷺の吸い物作るから来なさい。」と呼んだら、わざとこれとこのようにもう大根で汁を沸かして、ウブシーつくって、ペークに呉れたから、渡嘉敷ペークが、「へえ、これ鷺のお吸い物なのですか。」と変な顔をして聞いたんですよ。「そうだよ。」と坊主御主は、すました顔をして言っている。それで、渡嘉敷ペークは、沢山の矢を持って行って、坊主御主の畑に行くと、「鷺がいる。」と言って全部大根を射って壊してよ。「鷺をみんな取りました。」と言ったら、坊主御主は、それでまた汁を作って、「どうしたペークは、これこんなにほぐして分けてしまっているね。」と言っているから、渡嘉敷ペークは、「大きい鷺が入っていますよ。」と言ったそうです。坊主御主はすぐなにをやるにも、渡嘉敷ペークとたいへん楽しんでおられるが、かんしゃく持ちであられるから、少しの悪いことであってもすぐ太刀を抜きぱなしにして人に切りつけて、座にいた人たちに当たり散らしていたんですって。それでも、渡嘉敷ペークは逃げないから、「人は逃げるのにお前は逃げないのか。」と言うたら、「あなたの臣下ですから早く切ってください。」と言って切り抜けたからよ、「こいつはどうしょうもない。もうお前には負けてしまう。」と言って、褒美されたってよ。

再生時間:4:45

民話詳細DATA

レコード番号 47O361499
CD番号 47O36C056
決定題名 渡嘉敷ペーク 褒美の片荷 鴨汁 片袖着物(シマグチ)
話者がつけた題名
話者名 宮城ウシ
話者名かな みやぎうし
生年月日 19001217
性別
出身地 沖縄県那覇市首里
記録日 19810923
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 北中城村字渡口調査2班T19B15
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 13
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料 北中城の民話 P561
キーワード シブイ,褒美の片荷,坊主御主と,渡嘉敷ペーク,冬瓜,米俵,馬,片袖,鷺の吸い物,大根,鷺
梗概(こうがい) 坊主御主といってね、その王様の時代であったらしい。その坊主御主という人は、かんしゃく持ちであったって。だけど、あの渡嘉敷ペークととっても友だちされて、渡嘉敷ペークはまた、冬瓜の苗がまだ小さくて、花はまだ蕾にならないものがあるころに、冬瓜がこんなに花が咲いているのを馬に乗せてね、「花シブイを買ってください。」と言って歩いたから、もう坊主御主がそれを聞いて、 「あのシブイ売りを呼びなさい。」と言われたから、渡嘉敷ペークが行ったそうだ。「こんなまだ花が咲いているシブイを持って来て売るのか。」「大きくなったのは下の者が食べるのですよ。野菜でも人が食べない前に王様に差し上げるんです。だから、王様に差し上げるには花も落ちない今がいいんですよ。」と言ったから、もう坊主御主は喜んだんですよ。「私が買うからここに下ろしなさい。」「お前は米をもらうか。」「どうも恐れ多いことで、あり難いことです。」と言っていると、米俵を一つ持たせてくださった。そしたら、ペークは、馬の片方の腹側にこれ一つだけを乗せたら片側だけが重いから、鞍は一方に流れてきて、もう馬は片方に引きずられて歩けなくなったそうですよ。「なんで、お前の馬は歩かないのだ。」「ハイ、二つだと両方に米を乗せられますからちゃんと歩いて行けますが、一つだから片側が重くて歩けない。こんなにして御城から家まで行くのはたいそうですよ。」「それならもう一つ持っていけ。二つ乗せたら歩るけるか。」と言うから、「ハイ、もちろん二つ乗せたら両方平均がとれてちゃんと歩けますよ。」と言うから、もう一俵出して、それで、二つ取らされた。そうしたから、「おう。」と喜んでね、ペークは、二俵の米を馬に積んで持って帰った。坊主御主は、かんしゃく持ちだが、ペークが行くとすぐもう喜んで、王様が着けておられる着物をくださったそうだね。「これはもうお前に着せるから。」「それはあり難いこと。」ともらって、それからまた坊主御主の屋敷に行くときには、わざと片袖をはずして、片袖で奉公に行っていたそうですよ。 「だ、お前は着物の袖がそんな片袖になって道を歩けるのか。」「もうこの着物は、あまりきれいな着物だから若い女たちが、こんなきれいな衣装もあるのかと片袖をひっ切って持って行ったんですよ。」「それなら、お前にまたこれとは別のものをもっと上げるから持って行きなさい。」と言って、またこんなにして持たせてあったって。またもうこの坊主御主という方はこの方はかんしゃく持ちであるが、ちょうど冗談半分で渡嘉敷ペークを試そうとして、「鷺の吸い物作るから来なさい。」と呼んだら、わざとこれとこのようにもう大根で汁を沸かして、ウブシーつくって、ペークに呉れたから、渡嘉敷ペークが、「へえ、これ鷺のお吸い物なのですか。」と変な顔をして聞いたんですよ。「そうだよ。」と坊主御主は、すました顔をして言っている。それで、渡嘉敷ペークは、沢山の矢を持って行って、坊主御主の畑に行くと、「鷺がいる。」と言って全部大根を射って壊してよ。「鷺をみんな取りました。」と言ったら、坊主御主は、それでまた汁を作って、「どうしたペークは、これこんなにほぐして分けてしまっているね。」と言っているから、渡嘉敷ペークは、「大きい鷺が入っていますよ。」と言ったそうです。坊主御主はすぐなにをやるにも、渡嘉敷ペークとたいへん楽しんでおられるが、かんしゃく持ちであられるから、少しの悪いことであってもすぐ太刀を抜きぱなしにして人に切りつけて、座にいた人たちに当たり散らしていたんですって。それでも、渡嘉敷ペークは逃げないから、「人は逃げるのにお前は逃げないのか。」と言うたら、「あなたの臣下ですから早く切ってください。」と言って切り抜けたからよ、「こいつはどうしょうもない。もうお前には負けてしまう。」と言って、褒美されたってよ。
全体の記録時間数 4:54
物語の時間数 4:45
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

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