
昔は、夜、機織りしていけないと言ったが、それは、この池城親方という方の話からだよ。池城親方は、幽霊ともよく話しよったもんで、そんで、池城親方が後生の人のふりをして、幽霊と一緒になって、この歩いているときに幽霊からね、「これはもう生きた人に間違いない。」と言われたもんで、「いや、僕は幽霊だよ。さあ、頭触ってごらん。」と池城親方は、頭にこの木釜よ、これを被って、そいで、「それ触ってごらん。あんたの頭と同じでしょう。」と言ったらしいよ。そいでまた、浜を歩くときに、潮の中を歩くと、人間が歩くと潮がパタパタ音がするでしょう。そいで、「あんたは生きた人間である。」と言っているから、「いいや、そうじゃないよ。あんたと一緒よ。」と言って杖に触らせて、「間違いないでしょう。」って言ったら、「ああ、そうだな。」と言って幽霊が納得したわけさ。ほんで、ある夜に幽霊が夜機を織る女のところに行って、魂を取ることになったから、池城親方は、行きながら、幽霊に聞いたわけさ。「あんたは一番なにが怖いか。」と聞いたら、「一番、鶏(どり)。」って言うから、また、「なんで。」って聞いたら、幽霊は、「鶏が鳴いたら、生きた人間が起きてきて人足(ひとあし)が多くなるからそれ一番怖い。」って。んでまた、「二番目はなにか。」って聞いたら、「藁で火燃やした藁火。それが怖い。」と言うそうだ。そいで、また、「藁火が怖かったら、あんたどこに隠れるかあ。」と聞いたら、「黒石の下のほうに。」と答えている。黒石といってありますよね、あの黒石の下に逃げると。「そうか。」と、池城親方は、言ってからに、ほんで、幽霊が池城親方を待たしておって、夜まで機織りしている娘のところまで行ったから、その間に池城親方は、扇二つ持ってからに、屋根の上に登ってパタパターして、この鶏の鳴くようにしてね、やったそうですよ。そいで、それを見たら、なるほど幽霊は逃げていないわけさ。「たぶんこの黒石の下に入っているだろう。」と言って、藁火をつけて、その黒石を焼いてしまって、それから、その女の人に、「夜は、織るもんでないよ。あんたの精取りに幽霊が来ておるから、魂取りに来ておるから、これからは、そういうことをしてはいけない。」と言って教えたそうですよ。それから、夜は、機を織るのはやっていかないという話もありますがね。それ本当か嘘か、これはお父さんから昔話ですが。また、この池城親方が亡くなってから後には、一週間ぐらい家族の人がお茶をまきにって、行かれたらしい。それで、これが始まったのはなにからかと言うと、この池城親方は、もうなにも怖がらない人だからね、自分の家に鳥が入って、もう家族はみんなは、すぐ隣の親戚のところにみんな泊まっに行って浜下りしたときに、「これは、そんなばかなことがあるか。いいや私は、どんなしても自分の家から出ない。」って言って、もう家から出なかったらしい。それで、家にいたら、夜になると、もうそこにウーシヌハナマグラーから、御茶当真五郎から、こんな頑丈者たちのマジムンがだんだん出て来たから、そのマジムンと転ばし合いをしていたそうだが、「これは、大変になっているなあ。」ってマジムンを押し込めてとって転ばしたら、家の棟木からチョンチョンと血が垂れよったって。「アギジャビェー。」って、天井を見上げたら、池城親方は、そのときに魂を取られてしまってね、やがて身体が弱って死んだんだが、その死ぬときに、「さあ、私が死んで、墓に葬るときは、棺桶の側に太刀を飾りなさいよ。」って言っていたから、それで、死んでしまった後、墓の中に太刀を置いたら、もうまた、後生のウーシヌハナマグラーと御茶当真五郎は、「これかこのまま後生に来たら、一人残らず大変なことになる。」と言って、後生に入れなかったから、また後生から生き返って来たらしい。それで、ねえ、この池城親方のように、死んだ人が生き返って来る場合もあるでしょう。それで、そのときから、このナーチャミーというのは始まったって。また、昔は、家を買ったら、池城親方が棟木を見ているときに魂を取られてしまったからね、家の棟木は持って来るものでないよって。このような話があったらしいよ。
| レコード番号 | 47O361434 |
|---|---|
| CD番号 | 47O36C054 |
| 決定題名 | 池城親方(共通語) |
| 話者がつけた題名 | 夜機織りをしてはいけないという話 |
| 話者名 | 大城善光 |
| 話者名かな | おおしろぜんこう |
| 生年月日 | 19400910 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県北中城村和仁屋 |
| 記録日 | 19810923 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 北中城村字和仁屋調査11班T17B02 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 20 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | 父親から聞いた |
| 文字化資料 | 北中城の民話 P355 |
| キーワード | 池城親方,幽霊,機織り |
| 梗概(こうがい) | 昔は、夜、機織りしていけないと言ったが、それは、この池城親方という方の話からだよ。池城親方は、幽霊ともよく話しよったもんで、そんで、池城親方が後生の人のふりをして、幽霊と一緒になって、この歩いているときに幽霊からね、「これはもう生きた人に間違いない。」と言われたもんで、「いや、僕は幽霊だよ。さあ、頭触ってごらん。」と池城親方は、頭にこの木釜よ、これを被って、そいで、「それ触ってごらん。あんたの頭と同じでしょう。」と言ったらしいよ。そいでまた、浜を歩くときに、潮の中を歩くと、人間が歩くと潮がパタパタ音がするでしょう。そいで、「あんたは生きた人間である。」と言っているから、「いいや、そうじゃないよ。あんたと一緒よ。」と言って杖に触らせて、「間違いないでしょう。」って言ったら、「ああ、そうだな。」と言って幽霊が納得したわけさ。ほんで、ある夜に幽霊が夜機を織る女のところに行って、魂を取ることになったから、池城親方は、行きながら、幽霊に聞いたわけさ。「あんたは一番なにが怖いか。」と聞いたら、「一番、鶏(どり)。」って言うから、また、「なんで。」って聞いたら、幽霊は、「鶏が鳴いたら、生きた人間が起きてきて人足(ひとあし)が多くなるからそれ一番怖い。」って。んでまた、「二番目はなにか。」って聞いたら、「藁で火燃やした藁火。それが怖い。」と言うそうだ。そいで、また、「藁火が怖かったら、あんたどこに隠れるかあ。」と聞いたら、「黒石の下のほうに。」と答えている。黒石といってありますよね、あの黒石の下に逃げると。「そうか。」と、池城親方は、言ってからに、ほんで、幽霊が池城親方を待たしておって、夜まで機織りしている娘のところまで行ったから、その間に池城親方は、扇二つ持ってからに、屋根の上に登ってパタパターして、この鶏の鳴くようにしてね、やったそうですよ。そいで、それを見たら、なるほど幽霊は逃げていないわけさ。「たぶんこの黒石の下に入っているだろう。」と言って、藁火をつけて、その黒石を焼いてしまって、それから、その女の人に、「夜は、織るもんでないよ。あんたの精取りに幽霊が来ておるから、魂取りに来ておるから、これからは、そういうことをしてはいけない。」と言って教えたそうですよ。それから、夜は、機を織るのはやっていかないという話もありますがね。それ本当か嘘か、これはお父さんから昔話ですが。また、この池城親方が亡くなってから後には、一週間ぐらい家族の人がお茶をまきにって、行かれたらしい。それで、これが始まったのはなにからかと言うと、この池城親方は、もうなにも怖がらない人だからね、自分の家に鳥が入って、もう家族はみんなは、すぐ隣の親戚のところにみんな泊まっに行って浜下りしたときに、「これは、そんなばかなことがあるか。いいや私は、どんなしても自分の家から出ない。」って言って、もう家から出なかったらしい。それで、家にいたら、夜になると、もうそこにウーシヌハナマグラーから、御茶当真五郎から、こんな頑丈者たちのマジムンがだんだん出て来たから、そのマジムンと転ばし合いをしていたそうだが、「これは、大変になっているなあ。」ってマジムンを押し込めてとって転ばしたら、家の棟木からチョンチョンと血が垂れよったって。「アギジャビェー。」って、天井を見上げたら、池城親方は、そのときに魂を取られてしまってね、やがて身体が弱って死んだんだが、その死ぬときに、「さあ、私が死んで、墓に葬るときは、棺桶の側に太刀を飾りなさいよ。」って言っていたから、それで、死んでしまった後、墓の中に太刀を置いたら、もうまた、後生のウーシヌハナマグラーと御茶当真五郎は、「これかこのまま後生に来たら、一人残らず大変なことになる。」と言って、後生に入れなかったから、また後生から生き返って来たらしい。それで、ねえ、この池城親方のように、死んだ人が生き返って来る場合もあるでしょう。それで、そのときから、このナーチャミーというのは始まったって。また、昔は、家を買ったら、池城親方が棟木を見ているときに魂を取られてしまったからね、家の棟木は持って来るものでないよって。このような話があったらしいよ。 |
| 全体の記録時間数 | 3:36 |
| 物語の時間数 | 3:07 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | ○ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |