運玉義留(シマグチ混じり)

概要

運玉義留という貧乏者助きやーは、こうだって。いつの日なのか分からないが、運玉義留が侍に聞いたのさ。「私らが働いて勉強したならあなたがたのように、草履を履いて、掟勤めできませんかね。」と言ったら、「うん、お前らはどん百姓だから決まってる。村役人まではなれるが、上の役にはつけないぞ。」と言ったら、「ええ、そこまでしかなれないのですか。それくらいなら、ならんでもいい。それなら、勉強するほどでもない。それなら、勉強しないで出来る仕事、金持の物を取って貧乏者にくれて後に名を残した方がいい。」そして、つまり、自分の名を残すために盗人になったようだ。この運玉義留は、もう頭はいいから、油喰坊主と言う弟子がいるのさあね。それと二人一緒に盗みに行って、そして、その金持の家に盗人しに入ってよ、すると、もう運玉義留は、言いつける親方だから先になって、油喰坊主は弟子だからいつも後なのさ。盗みに入って、油喰坊主に着物から何から包んで持たせてよ。その油喰坊主がどのくらい知恵があるかと試験をしたのさ。運玉義留は取れるだけ取って、油喰坊主は戸棚の中に押し込んでさ、外から鍵を入れているわけ。そして、運玉義留が、「盗人だよ。」と大声を出して逃げているのさ。そしたら、家主たちは驚いているさね。「とう、これはもう一大事、何を盗まれたのかなあ。」見たり、戸棚を触わって見たら鍵は入っているのだから、もうそこはそこからは盗まれてはいない。そのままにしているが、戸棚の中では油喰坊主が、「どうにかして、ここから出ていかなければならないが。」と考えているのさ。それで、鼠が入ってるふりして、もうあっちこっちかじってパチパチしているさあ。「うん、これは戸棚の中に鼠が入っているな、着物でも食いちぎられたら一大事。」と言って家主達はもう心配している。そして、戸棚の戸を開けたら、油喰坊主が、「わあ。」と叫んだから、そうしたらさ、主人は飛び上がってびっくりしている間に油喰坊主は一目散に逃げた。後で油喰坊主とこの運玉義留は盗んだ品物をゆっくり互いに分けようとすることになっているのさ。だけど、分けるときの計算まではしていないから、分けようとしたら、どれも値段が分からない。「もう、これは何がどれだけやら分からん。どんなして分けようか。」と計算が分からなくなったようだ。だから、油喰坊主は、まあ一日後なのか、四、五日後なのかそれは分からないが、盗みに入った家に油を売りに行った。そして、そこの家の前で、油壺をたたき割ってよ、そこに、油をこぼして、うぇーうぇー泣いているとね、家主が出てきて、「どうした。」と言ったから、「もうこんなして、これを割ったからもう元金も無くしてしまった。」「お前は、それくらいのものなんたなんだね、私達はこの間、盗まれて大変な損をしたよ。」と言って、家主が盗まれたものいっさいの値段を何がどれだけ、何がどれだけ、全部言って聞かせた。「ええ、そうだったんですか。そうだったら、私ぐらいの損は何でもありませんね。」と言って油喰坊主は、帰ってから運玉義留に、「はい、親方、もう今日は分けることができますよ。そんなら分けることにしましょう。」と言ったら、「そうだな、しかし、あそこに積んであるが値段が分からんもんをどんなして分けるのか。」「うん、私はあの主人にもう何はどれだけ、何はどれぐらいと言っていたのを聞いて調べてきましたから、もう間違い無いですよ。」それから運玉義留も、「これは偉いなあ。」と、油喰坊主の智恵におじけづいているわけさ。そのあと運玉義留と言う方は名高い盗人なっているのさ。今度は、御主加那志前の枕を盗もうとしたんだ。そして、これも御主加那志前に、「そのうちに御主加那志前の枕盗みに行きますよ。」とこの首里御城に知らせたのさ。「これはまたおかしなことになったようだ。」ともう御主加那志前は、そう思って、そうして、夜は番人泊まらせていたが、油喰坊主は家の上に登り、瓦家に砂を放って雨のような音をさせているのさ。そうして、その運玉義留は内に入って来たが、これたちには盗人の神がついているから、そこのその番人達も入ったのが分からんのさ。そうして、運玉義留は、茶碗小に水持って行ってよ、御主加那志前はどこの座敷にいらしゃっるかわかるので、そこに水小垂らしてるわけよ。御主加那志前は、水が落ちてきたから、「これは、この家は雨が漏るのかなあ。」と頭を持ちあげていらっしゃったのさ。そのとき、運玉義留は、御主加那志前の枕をかっぱらって、「どうだい。枕を盗んだぞう。」と言って逃げたのだが、そこはお供の者達が大勢いることだから、「はい、盗人だぞう。」と御主加那志前が叫ばれたから、お供の者達に追いかけられたのさ。そうしているのに、運玉義留は逃げて行って龍潭池に飛びこんだよ。それから皆は、「ここに入っているよ。」と知らせているが、運玉義留はこれまた何もかも用意し、準備して来ているので、鼻に管を通して息をし、イユグムイに沈んでいるわけ。そうしたら、御主加那志前が盗賊にやられたというのだから、騒動になって皆集まっているのだが、容易に捕えられない。後は、水から出て行こうとしたところを足のつけねを槍で抜かれてさ。その運玉義留と言うのは、やっぱり大したやつだよ。「はあ、やがてだったなあ。」とわざと言ったら、刺した方は、もう相手がそう言うから、「ええ違ったのか。」と、今度また槍抜いたから、運玉義留は、そのとき一目散に逃げだして、助かったと言う話だ。こいつは当然ながら欲があっての盗人ではない。貧乏者を助ける義賊だよ。侍はいつも仕事をしないで、御馳走を食べ、みなそうしているさね。だから、必ず侍の金が有る家の物を盗んで、盗んだらまた貧しい人々にいっぱい着物類も全部配って歩いたそうだよ。

再生時間:6:32

民話詳細DATA

レコード番号 47O383111
CD番号 47O38C160
決定題名 運玉義留(シマグチ混じり)
話者がつけた題名
話者名 玉城安亀
話者名かな たましろあんき
生年月日 18981005
性別
出身地 沖縄県中頭郡北中城村字喜舎場
記録日 19810623
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 中頭郡北中城村 T01 A14
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 12,20
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料 北中城の民話 P380
キーワード 運玉義留,貧乏者,侍,勉強,草履,村役人,金持,盗人,油喰坊主,弟子,知恵,鍵,鼠,油,油壺,損,御主加那志,枕,首里城,番人,瓦,砂,茶碗小,龍潭池,鼻,管,息,イユグムイ,盗賊,騒動,槍,義賊
梗概(こうがい) 運玉義留という貧乏者助きやーは、こうだって。いつの日なのか分からないが、運玉義留が侍に聞いたのさ。「私らが働いて勉強したならあなたがたのように、草履を履いて、掟勤めできませんかね。」と言ったら、「うん、お前らはどん百姓だから決まってる。村役人まではなれるが、上の役にはつけないぞ。」と言ったら、「ええ、そこまでしかなれないのですか。それくらいなら、ならんでもいい。それなら、勉強するほどでもない。それなら、勉強しないで出来る仕事、金持の物を取って貧乏者にくれて後に名を残した方がいい。」そして、つまり、自分の名を残すために盗人になったようだ。この運玉義留は、もう頭はいいから、油喰坊主と言う弟子がいるのさあね。それと二人一緒に盗みに行って、そして、その金持の家に盗人しに入ってよ、すると、もう運玉義留は、言いつける親方だから先になって、油喰坊主は弟子だからいつも後なのさ。盗みに入って、油喰坊主に着物から何から包んで持たせてよ。その油喰坊主がどのくらい知恵があるかと試験をしたのさ。運玉義留は取れるだけ取って、油喰坊主は戸棚の中に押し込んでさ、外から鍵を入れているわけ。そして、運玉義留が、「盗人だよ。」と大声を出して逃げているのさ。そしたら、家主たちは驚いているさね。「とう、これはもう一大事、何を盗まれたのかなあ。」見たり、戸棚を触わって見たら鍵は入っているのだから、もうそこはそこからは盗まれてはいない。そのままにしているが、戸棚の中では油喰坊主が、「どうにかして、ここから出ていかなければならないが。」と考えているのさ。それで、鼠が入ってるふりして、もうあっちこっちかじってパチパチしているさあ。「うん、これは戸棚の中に鼠が入っているな、着物でも食いちぎられたら一大事。」と言って家主達はもう心配している。そして、戸棚の戸を開けたら、油喰坊主が、「わあ。」と叫んだから、そうしたらさ、主人は飛び上がってびっくりしている間に油喰坊主は一目散に逃げた。後で油喰坊主とこの運玉義留は盗んだ品物をゆっくり互いに分けようとすることになっているのさ。だけど、分けるときの計算まではしていないから、分けようとしたら、どれも値段が分からない。「もう、これは何がどれだけやら分からん。どんなして分けようか。」と計算が分からなくなったようだ。だから、油喰坊主は、まあ一日後なのか、四、五日後なのかそれは分からないが、盗みに入った家に油を売りに行った。そして、そこの家の前で、油壺をたたき割ってよ、そこに、油をこぼして、うぇーうぇー泣いているとね、家主が出てきて、「どうした。」と言ったから、「もうこんなして、これを割ったからもう元金も無くしてしまった。」「お前は、それくらいのものなんたなんだね、私達はこの間、盗まれて大変な損をしたよ。」と言って、家主が盗まれたものいっさいの値段を何がどれだけ、何がどれだけ、全部言って聞かせた。「ええ、そうだったんですか。そうだったら、私ぐらいの損は何でもありませんね。」と言って油喰坊主は、帰ってから運玉義留に、「はい、親方、もう今日は分けることができますよ。そんなら分けることにしましょう。」と言ったら、「そうだな、しかし、あそこに積んであるが値段が分からんもんをどんなして分けるのか。」「うん、私はあの主人にもう何はどれだけ、何はどれぐらいと言っていたのを聞いて調べてきましたから、もう間違い無いですよ。」それから運玉義留も、「これは偉いなあ。」と、油喰坊主の智恵におじけづいているわけさ。そのあと運玉義留と言う方は名高い盗人なっているのさ。今度は、御主加那志前の枕を盗もうとしたんだ。そして、これも御主加那志前に、「そのうちに御主加那志前の枕盗みに行きますよ。」とこの首里御城に知らせたのさ。「これはまたおかしなことになったようだ。」ともう御主加那志前は、そう思って、そうして、夜は番人泊まらせていたが、油喰坊主は家の上に登り、瓦家に砂を放って雨のような音をさせているのさ。そうして、その運玉義留は内に入って来たが、これたちには盗人の神がついているから、そこのその番人達も入ったのが分からんのさ。そうして、運玉義留は、茶碗小に水持って行ってよ、御主加那志前はどこの座敷にいらしゃっるかわかるので、そこに水小垂らしてるわけよ。御主加那志前は、水が落ちてきたから、「これは、この家は雨が漏るのかなあ。」と頭を持ちあげていらっしゃったのさ。そのとき、運玉義留は、御主加那志前の枕をかっぱらって、「どうだい。枕を盗んだぞう。」と言って逃げたのだが、そこはお供の者達が大勢いることだから、「はい、盗人だぞう。」と御主加那志前が叫ばれたから、お供の者達に追いかけられたのさ。そうしているのに、運玉義留は逃げて行って龍潭池に飛びこんだよ。それから皆は、「ここに入っているよ。」と知らせているが、運玉義留はこれまた何もかも用意し、準備して来ているので、鼻に管を通して息をし、イユグムイに沈んでいるわけ。そうしたら、御主加那志前が盗賊にやられたというのだから、騒動になって皆集まっているのだが、容易に捕えられない。後は、水から出て行こうとしたところを足のつけねを槍で抜かれてさ。その運玉義留と言うのは、やっぱり大したやつだよ。「はあ、やがてだったなあ。」とわざと言ったら、刺した方は、もう相手がそう言うから、「ええ違ったのか。」と、今度また槍抜いたから、運玉義留は、そのとき一目散に逃げだして、助かったと言う話だ。こいつは当然ながら欲があっての盗人ではない。貧乏者を助ける義賊だよ。侍はいつも仕事をしないで、御馳走を食べ、みなそうしているさね。だから、必ず侍の金が有る家の物を盗んで、盗んだらまた貧しい人々にいっぱい着物類も全部配って歩いたそうだよ。
全体の記録時間数 7:10
物語の時間数 6:32
言語識別 混在
音源の質
テープ番号
予備項目1

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