首里ソンガー殿内の話(方言)

概要

首里にソンガー殿内といってあったらしいよ。昔々、ソンガー殿内に使用人だった十六歳になる女の子が居た。その女の子というのは私達私の先祖になっている女の子です。その殿内の女主人が、「今日は豆腐を作るので、海で潮水を汲んで来なさい」と、海に潮水を汲みに行ったようだね、その女の人は。その途中で、道中で蛇が、野焼きをしている所で、苦しんでいる所に出くわしたので、その汲んで来た潮水をかけたらしい。潮水をかけたらこのハブの命は助かったわけさ。蛇を思う心があって潮水をかけたら、その蛇は命が助かり逃げて行ったそうだ。その蛇にかけた潮水は、また海に戻って行って汲んで来ないといけないでしょう。汲みに行ったら、そこの女主人にひどく怒られて勘当さられたようだ。その時には私達の祖先のお祖母さんは、殿内の女中だからね。潮水を入れると豆腐は固まって実になるでしょう。しかし(潮水の入ってない)その豆腐は固まらず上の方に浮いていて固まらなかったってよ。それで、そこの主人は非常に怒ってね。そしてもう、したたかな根性を出してその女に当たった。その女はもう非常に辛い思いをして、泣いたりしたのだが。今度はその夜に、そのハブは神様だったので、主人がこの女を怒るのが分かっていたんでしょう。怒られて苦しんでいる所に、そのハブは来て軒下に潜んでいた。そして、主人は便所にでも行こうとしたのか、昔は外にしか便所はなかったでしょう。出ようとしたら軒下で足を噛まれてよ、ハブにさあ。足を噛まれたので、とても痛がり「痛い、痛い、痛い」と夜通し転げ回って泣いていたので、その女は「そんなに痛いんですか、アヤーメー」と、女中が上座まで行くとすっかり治って。また台所に戻って仕事をすると「またも痛いよーウトゥーよ、ウトゥーよ。お前が来たら治るのに、お前はもう私の側から離れるな。台所は誰かに任せなさい、他にも女中はいるからさせなさい。お前は私が治るまで私の看病をしてくれ。お前は命の恩人なんだから」と。神様からの知らせさあね、命の恩人ね。「お前には確かに何か事情があるはずだ。私はハブに噛まれてこんなに苦しんでいるのはお前を叱ったからだね。お前には必ず事情があるはずだから話を聞かせてくれないか」、「私は実はこうこうで、貴方に怒られた時は、ハブを助ける為に潮水をこぼし遅くなり、豆腐は出来なかったんですよ」と言った。すると「それは私が悪かったんだね。ハブは神様の使いだからお前を怒ったのは私の落ち度だね」と。その時から「もうお前は私の側から離れないでくれ、お前は私の足が治ったら、借りているお金や身代金も返さなくてもいいから、取らなくてもいいからよ。着物も準備してやるから立身しなさいよ」と、褒美を貰って行かされたらしいよ、私達の祖先のお祖母さんは。そうしたら、その人はいつも自分の子や孫への遺言に、「私はハブを助けて、殿内からお金も与えられたので助かり、私もハブへの恩義もあるし、またハブも私に助けられたのでお互い様である。それで私の子や孫がハブを見たらね、ハブにはジナーアヤーと言っていたって。ハブはジラジラとしている模様をしているからね。ジナーアヤーよ 縦になっても横になっても  ソンガーミンガニの ウトゥーの  子や孫だよ 子や孫だよ  潮水を汲んでの戻りだよ 戻りだよ と言うと感づいて噛まれる事はなく側に除けるはずだから、そういうふうに唱えなさいねと。ハブを見たらそのようにして呪文を唱えなさいというわけさあ。そうしなさいという話は遺言にあったって。私はそれは聞いたよ。

再生時間:4:49

民話詳細DATA

レコード番号 47O375040
CD番号 47O37C215
決定題名 首里ソンガー殿内の話(方言)
話者がつけた題名 首里ソンガー殿内の話
話者名 仲宗根カマ
話者名かな なかそねかま
生年月日 19060125
性別
出身地 沖縄県読谷村渡具知
記録日 19770224
記録者の所属組織 読谷村民話調査団第10班
元テープ番号 読谷村渡具知T06B02
元テープ管理者 読谷村立歴史民俗資料館
分類 20
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料 読谷村民話資料集15渡具知・比謝・比謝矼の民話 P59
キーワード 首里にソンガー殿内といってあったらしいよ。昔々、ソンガー殿内に使用人だった十六歳になる女の子が居た。その女の子というのは私達私の先祖になっている女の子です。その殿内の女主人が、「今日は豆腐を作るので、海で潮水を汲んで来なさい」と、海に潮水を汲みに行ったようだね、その女の人は。その途中で、道中で蛇が、野焼きをしている所で、苦しんでいる所に出くわしたので、その汲んで来た潮水をかけたらしい。潮水をかけたらこのハブの命は助かったわけさ。蛇を思う心があって潮水をかけたら、その蛇は命が助かり逃げて行ったそうだ。その蛇にかけた潮水は、また海に戻って行って汲んで来ないといけないでしょう。汲みに行ったら、そこの女主人にひどく怒られて勘当さられたようだ。その時には私達の祖先のお祖母さんは、殿内の女中だからね。潮水を入れると豆腐は固まって実になるでしょう。しかし(潮水の入ってない)その豆腐は固まらず上の方に浮いていて固まらなかったってよ。それで、そこの主人は非常に怒ってね。そしてもう、したたかな根性を出してその女に当たった。その女はもう非常に辛い思いをして、泣いたりしたのだが。今度はその夜に、そのハブは神様だったので、主人がこの女を怒るのが分かっていたんでしょう。怒られて苦しんでいる所に、そのハブは来て軒下に潜んでいた。そして、主人は便所にでも行こうとしたのか、昔は外にしか便所はなかったでしょう。出ようとしたら軒下で足を噛まれてよ、ハブにさあ。足を噛まれたので、とても痛がり「痛い、痛い、痛い」と夜通し転げ回って泣いていたので、その女は「そんなに痛いんですか、アヤーメー」と、女中が上座まで行くとすっかり治って。また台所に戻って仕事をすると「またも痛いよーウトゥーよ、ウトゥーよ。お前が来たら治るのに、お前はもう私の側から離れるな。台所は誰かに任せなさい、他にも女中はいるからさせなさい。お前は私が治るまで私の看病をしてくれ。お前は命の恩人なんだから」と。神様からの知らせさあね、命の恩人ね。「お前には確かに何か事情があるはずだ。私はハブに噛まれてこんなに苦しんでいるのはお前を叱ったからだね。お前には必ず事情があるはずだから話を聞かせてくれないか」、「私は実はこうこうで、貴方に怒られた時は、ハブを助ける為に潮水をこぼし遅くなり、豆腐は出来なかったんですよ」と言った。すると「それは私が悪かったんだね。ハブは神様の使いだからお前を怒ったのは私の落ち度だね」と。その時から「もうお前は私の側から離れないでくれ、お前は私の足が治ったら、借りているお金や身代金も返さなくてもいいから、取らなくてもいいからよ。着物も準備してやるから立身しなさいよ」と、褒美を貰って行かされたらしいよ、私達の祖先のお祖母さんは。そうしたら、その人はいつも自分の子や孫への遺言に、「私はハブを助けて、殿内からお金も与えられたので助かり、私もハブへの恩義もあるし、またハブも私に助けられたのでお互い様である。それで私の子や孫がハブを見たらね、ハブにはジナーアヤーと言っていたって。ハブはジラジラとしている模様をしているからね。ジナーアヤーよ,縦になっても横になっても,ソンガーミンガニの,ウトゥーの,子や孫だよ,子や孫だよ,潮水を汲んでの戻りだよ,戻りだよ,と言うと感づいて噛まれる事はなく側に除けるはずだから、そういうふうに唱えなさいねと。ハブを見たらそのようにして呪文を唱えなさいというわけさあ。そうしなさいという話は遺言にあったって。私はそれは聞いたよ。
梗概(こうがい) 首里にソンガー殿内といってあったらしいよ。昔々、ソンガー殿内に使用人だった十六歳になる女の子が居た。その女の子というのは私達私の先祖になっている女の子です。その殿内の女主人が、「今日は豆腐を作るので、海で潮水を汲んで来なさい」と、海に潮水を汲みに行ったようだね、その女の人は。その途中で、道中で蛇が、野焼きをしている所で、苦しんでいる所に出くわしたので、その汲んで来た潮水をかけたらしい。潮水をかけたらこのハブの命は助かったわけさ。蛇を思う心があって潮水をかけたら、その蛇は命が助かり逃げて行ったそうだ。その蛇にかけた潮水は、また海に戻って行って汲んで来ないといけないでしょう。汲みに行ったら、そこの女主人にひどく怒られて勘当さられたようだ。その時には私達の祖先のお祖母さんは、殿内の女中だからね。潮水を入れると豆腐は固まって実になるでしょう。しかし(潮水の入ってない)その豆腐は固まらず上の方に浮いていて固まらなかったってよ。それで、そこの主人は非常に怒ってね。そしてもう、したたかな根性を出してその女に当たった。その女はもう非常に辛い思いをして、泣いたりしたのだが。今度はその夜に、そのハブは神様だったので、主人がこの女を怒るのが分かっていたんでしょう。怒られて苦しんでいる所に、そのハブは来て軒下に潜んでいた。そして、主人は便所にでも行こうとしたのか、昔は外にしか便所はなかったでしょう。出ようとしたら軒下で足を噛まれてよ、ハブにさあ。足を噛まれたので、とても痛がり「痛い、痛い、痛い」と夜通し転げ回って泣いていたので、その女は「そんなに痛いんですか、アヤーメー」と、女中が上座まで行くとすっかり治って。また台所に戻って仕事をすると「またも痛いよーウトゥーよ、ウトゥーよ。お前が来たら治るのに、お前はもう私の側から離れるな。台所は誰かに任せなさい、他にも女中はいるからさせなさい。お前は私が治るまで私の看病をしてくれ。お前は命の恩人なんだから」と。神様からの知らせさあね、命の恩人ね。「お前には確かに何か事情があるはずだ。私はハブに噛まれてこんなに苦しんでいるのはお前を叱ったからだね。お前には必ず事情があるはずだから話を聞かせてくれないか」、「私は実はこうこうで、貴方に怒られた時は、ハブを助ける為に潮水をこぼし遅くなり、豆腐は出来なかったんですよ」と言った。すると「それは私が悪かったんだね。ハブは神様の使いだからお前を怒ったのは私の落ち度だね」と。その時から「もうお前は私の側から離れないでくれ、お前は私の足が治ったら、借りているお金や身代金も返さなくてもいいから、取らなくてもいいからよ。着物も準備してやるから立身しなさいよ」と、褒美を貰って行かされたらしいよ、私達の祖先のお祖母さんは。そうしたら、その人はいつも自分の子や孫への遺言に、「私はハブを助けて、殿内からお金も与えられたので助かり、私もハブへの恩義もあるし、またハブも私に助けられたのでお互い様である。それで私の子や孫がハブを見たらね、ハブにはジナーアヤーと言っていたって。ハブはジラジラとしている模様をしているからね。ジナーアヤーよ 縦になっても横になっても  ソンガーミンガニの ウトゥーの  子や孫だよ 子や孫だよ  潮水を汲んでの戻りだよ 戻りだよ と言うと感づいて噛まれる事はなく側に除けるはずだから、そういうふうに唱えなさいねと。ハブを見たらそのようにして呪文を唱えなさいというわけさあ。そうしなさいという話は遺言にあったって。私はそれは聞いたよ。
全体の記録時間数 4:49
物語の時間数 4:49
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

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