
昔、大変仲の良い夫婦がいたそうだ。そうして夫が妻に、「お前と私とはいつまでも一緒だよ。」と言ったんでしょうね。そして妻も「それでいいよ。」と。そこで、夫が妻の鼻を切ってしまったようだ。すると鼻は穴があいて、醜くなってしまったので、夫はだんだん妻への愛情が冷めてきてね。別の女性を好きになるようになってしまった。すると、妻はもう夫に惚れているものだから、そこで焦がれ死んだようだ。夫に見捨てられてしまったのでね。夫が別の女性と一緒になったので、妻は焦がれ死んでしまった。多分そこに行って、その女性に病でももたらしたんでしょうね。それから夫も病気になってしまった。この鼻を切られた妻の怨念がそうしたものだから、池城親方という方がこのままではいけないと思ってね。その人に会いに行ったようだ。すると、その鼻を切られた女性は幽霊になって、そこに立っていたって。それで、「どうしてあなたはそのように立っているのか、あなたはそんなことをしてはいけないよ。後生の者となって、このように人(命)を取っているそうだね。」と聞くと、「私が人の命を取っているのではありません。私を見た者が病気になるのですよ。」と答えた。「それであなたは何のために立っているのか。」と聞いたらね。「実はこうこうですよ。」と、話をしたようだ。「夫は薄情な男で、私がこのような姿になったら、妻にしてはおけないということで捨てられてしまったのです。それで、私は世間に顔向けもできなくなって、死んでしまったんですよ。是非、この男に仇を討ちたいと思っているが、あそこの家には護符が貼られているので、入って行こうにも行くことができないのですよ。だからあの二人の魂を取ることもできません。」と言った。「そうか、そんな薄情な男だったら、じゃあ、そういうことだったら私が護符を剥いでやろう。」(護符というのは、そこに貼られているのさあ。坊主が書いたのを貼ってあるから、悪者が来ないわけさあ)。それから、池城親方が行って護符を剥いでしまった。そうしたら、その家は滅びてしまったって。
今度は、女性が池城親方に「貴方に何もして差し上げられないから、お礼に貴方の墓の風水を見てさしあげましょう。」と言ったようだね。そうして女性は池城親方のマカンジャーの風水をみて上げたそうだね。そこには湧泉があったようで、三匹の鯉が入っていたようだ。女性が言うには、「そこを掘る時に、鯉を一匹も殺さずに掘ることができたら、貴方方は三代三司官が続きます。しかし、一匹でも殺してしまったら一代の頭で終わりますよ。」ということだったって。もう昔の三司官といえば大変な役職だったわけさあ。それが三代も続くというのだが、もし一匹でも殺してしまったら一代ですよと言われた。「ああ、そうか。」と。もう実際に掘ってみたら、石大工が誤って鯉を一匹殺してしまったようだね。そうしたらもう、この三司官は一代かぎりだったんだって。そこはそういう風水が出たんだって。私達は一回行ってみたが、墓は立派に造られていたがね。そういう話さ。マカンジャーの幽霊というのは。
| レコード番号 | 47O374364 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C189 |
| 決定題名 | 逆立ち幽霊(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 仲程亀 |
| 話者名かな | なかほどかめ |
| 生年月日 | 18951010 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村牧原 |
| 記録日 | 19770508 |
| 記録者の所属組織 | 読谷村民話調査団 |
| 元テープ番号 | 読谷村牧原T02A13 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | - |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 読谷村民話資料集13 大木・長田・牧原の民話P231 |
| キーワード | 大変仲の良い夫婦,夫が妻,夫が妻の鼻を切ってしまった,醜くなった,妻への愛情が冷めた,別の女性を好きになっった,妻は焦がれ死んだ,病,妻の怨念,池城親方,幽霊,男に仇を討ちたい,護符,二人の魂,墓の風水,マカンジャーの風水,湧泉,三匹の鯉,掘る時に鯉を一匹も殺さずに掘る,石大工 |
| 梗概(こうがい) | 昔、大変仲の良い夫婦がいたそうだ。そうして夫が妻に、「お前と私とはいつまでも一緒だよ。」と言ったんでしょうね。そして妻も「それでいいよ。」と。そこで、夫が妻の鼻を切ってしまったようだ。すると鼻は穴があいて、醜くなってしまったので、夫はだんだん妻への愛情が冷めてきてね。別の女性を好きになるようになってしまった。すると、妻はもう夫に惚れているものだから、そこで焦がれ死んだようだ。夫に見捨てられてしまったのでね。夫が別の女性と一緒になったので、妻は焦がれ死んでしまった。多分そこに行って、その女性に病でももたらしたんでしょうね。それから夫も病気になってしまった。この鼻を切られた妻の怨念がそうしたものだから、池城親方という方がこのままではいけないと思ってね。その人に会いに行ったようだ。すると、その鼻を切られた女性は幽霊になって、そこに立っていたって。それで、「どうしてあなたはそのように立っているのか、あなたはそんなことをしてはいけないよ。後生の者となって、このように人(命)を取っているそうだね。」と聞くと、「私が人の命を取っているのではありません。私を見た者が病気になるのですよ。」と答えた。「それであなたは何のために立っているのか。」と聞いたらね。「実はこうこうですよ。」と、話をしたようだ。「夫は薄情な男で、私がこのような姿になったら、妻にしてはおけないということで捨てられてしまったのです。それで、私は世間に顔向けもできなくなって、死んでしまったんですよ。是非、この男に仇を討ちたいと思っているが、あそこの家には護符が貼られているので、入って行こうにも行くことができないのですよ。だからあの二人の魂を取ることもできません。」と言った。「そうか、そんな薄情な男だったら、じゃあ、そういうことだったら私が護符を剥いでやろう。」(護符というのは、そこに貼られているのさあ。坊主が書いたのを貼ってあるから、悪者が来ないわけさあ)。それから、池城親方が行って護符を剥いでしまった。そうしたら、その家は滅びてしまったって。 今度は、女性が池城親方に「貴方に何もして差し上げられないから、お礼に貴方の墓の風水を見てさしあげましょう。」と言ったようだね。そうして女性は池城親方のマカンジャーの風水をみて上げたそうだね。そこには湧泉があったようで、三匹の鯉が入っていたようだ。女性が言うには、「そこを掘る時に、鯉を一匹も殺さずに掘ることができたら、貴方方は三代三司官が続きます。しかし、一匹でも殺してしまったら一代の頭で終わりますよ。」ということだったって。もう昔の三司官といえば大変な役職だったわけさあ。それが三代も続くというのだが、もし一匹でも殺してしまったら一代ですよと言われた。「ああ、そうか。」と。もう実際に掘ってみたら、石大工が誤って鯉を一匹殺してしまったようだね。そうしたらもう、この三司官は一代かぎりだったんだって。そこはそういう風水が出たんだって。私達は一回行ってみたが、墓は立派に造られていたがね。そういう話さ。マカンジャーの幽霊というのは。 |
| 全体の記録時間数 | 4:51 |
| 物語の時間数 | 4:51 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | 〇 |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |