千年蛇(シマグチ)

概要

蛇が竜になったという話をします。ある首里の山での出来事だという話ですが。もうその男というのが、たいそうな貧乏者で、毎日、山から薪を取っては売って、日々の生活をしていたらしいが。ある時、山へ行って薪を取っている時に、すぐもうパチパチパチパチと音がして岩が割れた。たいそうびっくりして、「何事かなあ。」と思い見てみると、ハブが、とてつもなく大きいハブが出て来た。もう一目散に逃げようとしたら、ハブが、「私は今まで、何十年もの間人間に見られることがなかったので、天に昇って神様、竜になれるところであったが、あなた一人に見られてしまい、もう竜になることができなくなり、大変残念なことだ。しかし、あなたが他の人にこのことを一言も話さなければ、私は竜になって天に昇ることができる。代わりに、あなたとどこそこの山というふうに決め、あなたが行けば、私が天から宝物を落としてあげ、あなたを大金持にしてあげるから、どうか私の願いを聞いてくれないか。」と、ハブがその男にお願いをした。すると、男は「私はとても貧乏なために、ここで薪を取って暮らしている有様です。だからあなたの言うことは聞きます。他の人にはいっさい話をしませんので、その代りに私に宝物を落として下さい。」と言った。すると、もう薪取りをしていた男は、大変喜んで「今日からは薪を取らなくてもいいさ。竜が天から宝物を落として下さるとおっしゃっているからな。」と家に帰った。「どこそこの山に来なさい。」と約束はしていたので、その山へ行ってみると、竜が松の木の上にいた。そうして宝物ではないが、竜がその松の上に大変貴重な竜の糞をパラパラバラと落とした。すると男は、「何だ、これが宝物なのかなあ。」とびっくりした。すると竜が、「これは大変な宝物だよ。万能薬としても使うことができるし、これ以上の宝はないので、あなたはすぐその糞を拾って行って売ると、すぐにお金となって大層大金持になるからね。それに、あなたがそれを売り払ってなくなった時分には、またここに来なさいね。私が糞を落としてあげるから。」と。そうやって、もう毎年使い果たした時分には、その山へ行けば竜が糞を落としてくれたりしたので、その男は大金持になっていった。そして大変豊かな生活をするようになると、竜との約束をすっかり忘れてしまった。恩儀というものは苦しい時は忘れがたいが、自分が楽な生活をしていると、竜との約束も忘れてしまったようだね。ある日のこと、「どうしたんだ、あなた方は不思議だね。」と、ある人が「あんなに貧乏者だったのに、こんなに大金持になって、あっという間に大層豊かになっているが、どういうわけで、そんなに大金持になることができたのか。」と尋ねた。すると男は、「私は今までずっと言わないでいたのだが、あなただけに話すから、誰にも何も言うなよ。」と、竜との約束や昔の貧乏だった頃の苦しみはすっかり忘れて、もうその人に話してしまった。 するとすぐその竜が、「あんなに他の人に話をすると、あなたが約束を破ると私は大変なことになるよ。」と言ってあるのに、それをすっかり忘れて他の人に話してしまった。同時に、男の屋敷に天から竜が落ちてきて死んでしまった。「あなたは、あれほどまでに約束しても聞いてはくれなかった。私はもう竜になることはできない。とても残念だ。」というと、男は大変びっくりして「私が悪うございました。」と謝ったのだが、もう仕方のないことで、約束を守れなかったもんだから、その男は元の苦しい生活に戻り、貧乏者になったという話です。

再生時間:3:35

民話詳細DATA

レコード番号 47O374304
CD番号 47O37C187
決定題名 千年蛇(シマグチ)
話者がつけた題名
話者名 比嘉静
話者名かな ひがしず
生年月日 19151017
性別
出身地 沖縄県読谷村大湾
記録日 19770508
記録者の所属組織 読谷村民話調査団
元テープ番号 読谷村大木T04B04
元テープ管理者 読谷村立歴史民俗資料館
分類 12
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料 読谷村民話資料集13 大木・長田・牧原の民話P20
キーワード 蛇が竜になった,首里の山,男,貧乏者,山から薪,岩が割れた,大きいハブ,天,神様,天から宝物,大金持ち,大変貴重な竜の糞,万能薬,竜との約束を忘れた
梗概(こうがい) 蛇が竜になったという話をします。ある首里の山での出来事だという話ですが。もうその男というのが、たいそうな貧乏者で、毎日、山から薪を取っては売って、日々の生活をしていたらしいが。ある時、山へ行って薪を取っている時に、すぐもうパチパチパチパチと音がして岩が割れた。たいそうびっくりして、「何事かなあ。」と思い見てみると、ハブが、とてつもなく大きいハブが出て来た。もう一目散に逃げようとしたら、ハブが、「私は今まで、何十年もの間人間に見られることがなかったので、天に昇って神様、竜になれるところであったが、あなた一人に見られてしまい、もう竜になることができなくなり、大変残念なことだ。しかし、あなたが他の人にこのことを一言も話さなければ、私は竜になって天に昇ることができる。代わりに、あなたとどこそこの山というふうに決め、あなたが行けば、私が天から宝物を落としてあげ、あなたを大金持にしてあげるから、どうか私の願いを聞いてくれないか。」と、ハブがその男にお願いをした。すると、男は「私はとても貧乏なために、ここで薪を取って暮らしている有様です。だからあなたの言うことは聞きます。他の人にはいっさい話をしませんので、その代りに私に宝物を落として下さい。」と言った。すると、もう薪取りをしていた男は、大変喜んで「今日からは薪を取らなくてもいいさ。竜が天から宝物を落として下さるとおっしゃっているからな。」と家に帰った。「どこそこの山に来なさい。」と約束はしていたので、その山へ行ってみると、竜が松の木の上にいた。そうして宝物ではないが、竜がその松の上に大変貴重な竜の糞をパラパラバラと落とした。すると男は、「何だ、これが宝物なのかなあ。」とびっくりした。すると竜が、「これは大変な宝物だよ。万能薬としても使うことができるし、これ以上の宝はないので、あなたはすぐその糞を拾って行って売ると、すぐにお金となって大層大金持になるからね。それに、あなたがそれを売り払ってなくなった時分には、またここに来なさいね。私が糞を落としてあげるから。」と。そうやって、もう毎年使い果たした時分には、その山へ行けば竜が糞を落としてくれたりしたので、その男は大金持になっていった。そして大変豊かな生活をするようになると、竜との約束をすっかり忘れてしまった。恩儀というものは苦しい時は忘れがたいが、自分が楽な生活をしていると、竜との約束も忘れてしまったようだね。ある日のこと、「どうしたんだ、あなた方は不思議だね。」と、ある人が「あんなに貧乏者だったのに、こんなに大金持になって、あっという間に大層豊かになっているが、どういうわけで、そんなに大金持になることができたのか。」と尋ねた。すると男は、「私は今までずっと言わないでいたのだが、あなただけに話すから、誰にも何も言うなよ。」と、竜との約束や昔の貧乏だった頃の苦しみはすっかり忘れて、もうその人に話してしまった。 するとすぐその竜が、「あんなに他の人に話をすると、あなたが約束を破ると私は大変なことになるよ。」と言ってあるのに、それをすっかり忘れて他の人に話してしまった。同時に、男の屋敷に天から竜が落ちてきて死んでしまった。「あなたは、あれほどまでに約束しても聞いてはくれなかった。私はもう竜になることはできない。とても残念だ。」というと、男は大変びっくりして「私が悪うございました。」と謝ったのだが、もう仕方のないことで、約束を守れなかったもんだから、その男は元の苦しい生活に戻り、貧乏者になったという話です。
全体の記録時間数 3:35
物語の時間数 3:35
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

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