城間仲(シマグチ)

概要

城間ナーカの話をしてみましょう。あるなーか城間ナーカという、昔の人の話がありますが。この城間ナーカは戦前・戦後を通じて、今でもたいそうな財産家であるわけさあ。城間ナーカはたいそうな金持ちで、大勢の下男も使っていた。ある大晦日のことなのだが、昔はもう金持ちの家に肉もたくさんあって、貧乏者は何もなく年も越せないほどだったからね。そうして、ある大変な貧乏者が、子供も大勢いるのだが、年を越すこともできない。大変な貧乏で、「今日は年の夜なのだが、私達は肉一斤(六百グラム)さえも買うこともできない。もう年を越すこともできないから、子供達よ、私が肉を取って来るからね。それで年越しをしようね、待っておけよ。」と。その父親は城間ナーカに忍び込んで、今日は肉を取って来なくてはいけないと考えた。それでもう夕方時分に城間ナーカに行ったようだね。そこではもう夕暮れ時になっていた。今はもう焜炉というのがあるが、昔は大竈というのがあって、それで芋や肉を煮たりしていた。昔はどこでも大竈があったわけさあ。大竈があって、その後ろに隠れていたようだね。そこの主は大変な良い人で、また金持ちでもあったらしい。盗人が、大竈の後ろに隠れるのを見ていらっしゃったので、下男達に、「今日は、早いうちに肉もたくさん煮なさいよ。あなた達の家族は何名か。」とおっしゃった。昔は、肉を使った料理で年越しするということで、人数分の肉を煮て準備させたそうだ。「はい、何名か、そこに全員分集めなさいよ。」、「余分にあとひとつ準備しなさい。」と言われたそうだ。それで、下男は「どうしてですか、私達の家族はこれだけしかいないのに、あとひとつというのはどういうことですか。誰の物ですか。」と言ったら、「かまわず、私の言うことを聞け。」と、そこの主は言われたようだ。そうして一つは立派に準備して、年越しができるように支度をした。「はいじゃあ、今日は大晦日だからみんな早く夕飯も腹いっぱい食べなさい。」と言った。「私は見て知っているのだが、竈の後ろにもう一人いるからね。そこに出て来て、お前もここで一緒に肉を食べて、年越しをしなさい。土産もたくさん持たせるから、年越ししなさいよ。早く竈の後ろから出なさい。」と言ったら、もう盗人は泥棒に入ったのだが、「ああ、どうしよう、大変な事になってしまった。」と。もう主の言うことを聞かないといけないさあ。ほろほろほろほろ出て来たようだね。そこで、金持ちの城間ナーカや家族と一緒にたくさんの肉も御馳走になった。「お前達の家族は何名か。」と聞かれたので、「子供も五人います。妻を合わせると、私と七人家族ですよ。」と答えた。「お前はここで腹いっぱい食べたから、だったら六人分の肉を持たそうね。」と、そこの主は大変良い人であったわけさあ。肉もたくさん担がせて行かせたって。すると家ではもう、妻や子供達が、「私達のお父さんはもう来るかなあ、もう来るかなあ、肉も取って来るかなあ、来るかなあ。」と、待ち兼ねていたらしい。すると、言うやいなやお父さんが帰って来たので、「お父さん、肉もたくさん取って来たか?。」と聞いたら、「今日はたくさん取って来たよ。今日は年越しの夕飯も取り、良い正月を迎えようね。」と。家族でご馳走を食べ、年越しをした。もうこの人は大変考えたんでしょうね。「私達は働きが足りなくてこのように貧乏なのだから、あるなーか城間ナーカというふうに、あそこは働きがあってあんなに金持ちなんだからね。私達も明日から一生懸命働いて金持ちになろうね、子供達よ。」と。お父さんが子供達に、「私達は働きが足りなくてこのように貧乏しているのだから、明日からは一生懸命働こうね、子供達よ。」と言った。すると子供達も性根を入れ替えて、そこも大変な金持ちになったって。元は盗人をするほどに貧乏だったのだがね。子供達も性根を入れ替えて、大金持ちになった。これはもう是非、城間ナーカにお礼をしなければいけないと、その人は子供達も成長したのでそう考えた。いろいろな物をたくさん買って行き、「貴方のおかげでね、私達は、子供達も心を入れ替えて、金持ちになることができました。昔、以前にあったことを覚えておいでですか。」と言うと、「うちに盗人に入ったのが、こんなに金持ちになったのか。」と。その人はもう、「お前にあんなことがあって、子供達はみんな性根が変わったのだったら大変良い事だよ。」と、そこの主は言われたそうだ。やっぱし戦前、戦後を通じて大変な金持ちだったって。今につけて、あの城間ナーカは財産家。あるなーか城間ナーカということでね。

再生時間:4:19

民話詳細DATA

レコード番号 47O374233
CD番号 47O37C184
決定題名 城間仲(シマグチ)
話者がつけた題名
話者名 比嘉静
話者名かな ひがしず
生年月日 19151017
性別
出身地 沖縄県嘉手納町屋良
記録日 19761219
記録者の所属組織 読谷村民話調査団
元テープ番号 読谷村大木T01B11
元テープ管理者 読谷村立歴史民俗資料館
分類 20
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料 読谷村民話資料集13 大木・長田・牧原の民話P94
キーワード 財産家,城間ナーカ,金持ち,大勢の下男,大晦日,肉,貧乏者,年も越せない,大変な貧乏者,子供も大勢いる,大竈,盗人,働きが足りない,子供達も性根を入れ替えた
梗概(こうがい) 城間ナーカの話をしてみましょう。あるなーか城間ナーカという、昔の人の話がありますが。この城間ナーカは戦前・戦後を通じて、今でもたいそうな財産家であるわけさあ。城間ナーカはたいそうな金持ちで、大勢の下男も使っていた。ある大晦日のことなのだが、昔はもう金持ちの家に肉もたくさんあって、貧乏者は何もなく年も越せないほどだったからね。そうして、ある大変な貧乏者が、子供も大勢いるのだが、年を越すこともできない。大変な貧乏で、「今日は年の夜なのだが、私達は肉一斤(六百グラム)さえも買うこともできない。もう年を越すこともできないから、子供達よ、私が肉を取って来るからね。それで年越しをしようね、待っておけよ。」と。その父親は城間ナーカに忍び込んで、今日は肉を取って来なくてはいけないと考えた。それでもう夕方時分に城間ナーカに行ったようだね。そこではもう夕暮れ時になっていた。今はもう焜炉というのがあるが、昔は大竈というのがあって、それで芋や肉を煮たりしていた。昔はどこでも大竈があったわけさあ。大竈があって、その後ろに隠れていたようだね。そこの主は大変な良い人で、また金持ちでもあったらしい。盗人が、大竈の後ろに隠れるのを見ていらっしゃったので、下男達に、「今日は、早いうちに肉もたくさん煮なさいよ。あなた達の家族は何名か。」とおっしゃった。昔は、肉を使った料理で年越しするということで、人数分の肉を煮て準備させたそうだ。「はい、何名か、そこに全員分集めなさいよ。」、「余分にあとひとつ準備しなさい。」と言われたそうだ。それで、下男は「どうしてですか、私達の家族はこれだけしかいないのに、あとひとつというのはどういうことですか。誰の物ですか。」と言ったら、「かまわず、私の言うことを聞け。」と、そこの主は言われたようだ。そうして一つは立派に準備して、年越しができるように支度をした。「はいじゃあ、今日は大晦日だからみんな早く夕飯も腹いっぱい食べなさい。」と言った。「私は見て知っているのだが、竈の後ろにもう一人いるからね。そこに出て来て、お前もここで一緒に肉を食べて、年越しをしなさい。土産もたくさん持たせるから、年越ししなさいよ。早く竈の後ろから出なさい。」と言ったら、もう盗人は泥棒に入ったのだが、「ああ、どうしよう、大変な事になってしまった。」と。もう主の言うことを聞かないといけないさあ。ほろほろほろほろ出て来たようだね。そこで、金持ちの城間ナーカや家族と一緒にたくさんの肉も御馳走になった。「お前達の家族は何名か。」と聞かれたので、「子供も五人います。妻を合わせると、私と七人家族ですよ。」と答えた。「お前はここで腹いっぱい食べたから、だったら六人分の肉を持たそうね。」と、そこの主は大変良い人であったわけさあ。肉もたくさん担がせて行かせたって。すると家ではもう、妻や子供達が、「私達のお父さんはもう来るかなあ、もう来るかなあ、肉も取って来るかなあ、来るかなあ。」と、待ち兼ねていたらしい。すると、言うやいなやお父さんが帰って来たので、「お父さん、肉もたくさん取って来たか?。」と聞いたら、「今日はたくさん取って来たよ。今日は年越しの夕飯も取り、良い正月を迎えようね。」と。家族でご馳走を食べ、年越しをした。もうこの人は大変考えたんでしょうね。「私達は働きが足りなくてこのように貧乏なのだから、あるなーか城間ナーカというふうに、あそこは働きがあってあんなに金持ちなんだからね。私達も明日から一生懸命働いて金持ちになろうね、子供達よ。」と。お父さんが子供達に、「私達は働きが足りなくてこのように貧乏しているのだから、明日からは一生懸命働こうね、子供達よ。」と言った。すると子供達も性根を入れ替えて、そこも大変な金持ちになったって。元は盗人をするほどに貧乏だったのだがね。子供達も性根を入れ替えて、大金持ちになった。これはもう是非、城間ナーカにお礼をしなければいけないと、その人は子供達も成長したのでそう考えた。いろいろな物をたくさん買って行き、「貴方のおかげでね、私達は、子供達も心を入れ替えて、金持ちになることができました。昔、以前にあったことを覚えておいでですか。」と言うと、「うちに盗人に入ったのが、こんなに金持ちになったのか。」と。その人はもう、「お前にあんなことがあって、子供達はみんな性根が変わったのだったら大変良い事だよ。」と、そこの主は言われたそうだ。やっぱし戦前、戦後を通じて大変な金持ちだったって。今につけて、あの城間ナーカは財産家。あるなーか城間ナーカということでね。
全体の記録時間数 4:19
物語の時間数 4:19
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

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