
屋良ムルチの由来記というのは鰻だったという話だが。それでもう兄弟が二人か三人、男兄弟がいたらしい。とてもつきあいが悪く、兄弟三人は仲が良くなかった。それで兄弟よりも深い友人がいた。そして、今度はもう屋良ムルチに鰻が出て、作物を喰い荒らしてしまってね。粟、マージン、それから別の野菜、作物みんな喰い荒らすので、「不思議な事だ。これは人が盗んでいるんだったら、まさかこれだけ忍びこんでいるのだから見つかるはずだが、一度も見たことがない。」と。あとは、「この作物を喰っているのが動物でも人だとしても、捕まえた人にはもう部落から褒美を出す。」ということになった。そうして布令が配られたので、鉄砲を持ってきて、「こんなに沢山の人々の作物を荒らすので、人でも何でもいいから捕まえることが出来たら捕まえてくれないか。」「それは私がやります。」と申し出てね。鉄砲を持って行ったら、行くやいなや鰻が出て喰っていたらしい。それで、もっとよく確かめて人だったら立つから分かるでしょう。でもこの大きな動物は這ってから喰うので、それで確かめて、鉄砲で射って、その鰻を見てみたらもう鰻が二百斤ぐらいもあったんだって。そうして、家に帰って、友人に、「私は、今度は大変な事になってしまったよ。」と言うと、「どうした。」と言うので、「お前達も分かるように、私はムルチバルの作物をみんな盗られてしまってね。これを捕まえようと、人でもいい、何でもいいからという事だったが、人を射ってしまった。もう大変な事になった。助けてくれないだろうか。」と言ったが、「はあ、お前は一大事だよ、人を撃つなんて。」と、すぐ断わられたって。それで兄弟の所に行ったら、「それは大変なことだ。じゃあ、みんなで人に知られないうちに片付けてこよう。」と、棒と畚、綱を持って行ってみた。すると鰻だったので担いで来て、兄弟揃ってお祝いしたんでしょう。そしたら、この友人は門のところから歩いていたそうだ。「どこの誰がしかは、屋良ムルチの作物を喰い荒らす鰻をやっつけて、兄弟みんな揃ってお祝いしているよ。」と言いながら門から歩いたそうだ。そのときからはもう知らぬふりをしていたんだって。それ以来、「指はどこに折れるの。肉は切れても寄り合うことができる。」と、どんなに仲が悪い兄弟でも、いざという時には兄弟が面倒を見るんだから、仲良くしなさいよと、この話からきたということだよ。「指は折れたらどこに折れるの、後に折れる指というのもあるのか。」というのは、そういう意味だって。これは屋良ムルチの由来記だと思うよ。
| レコード番号 | 47O373860 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C169 |
| 決定題名 | 兄弟の仲直り(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 城間正二 |
| 話者名かな | しろましょうじ |
| 生年月日 | 18980715 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村上地 |
| 記録日 | 19770227 |
| 記録者の所属組織 | 読谷村民話調査団 |
| 元テープ番号 | 読谷村上地T01A21 T01B01 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 12 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 読谷村民話資料集12上地の民話 P22 |
| キーワード | 屋良ムルチの由来記,鰻,兄弟,つきあいが悪い,仲が悪い,兄弟よりも深い友人,屋良ムルチ,鰻,作物を喰い荒らす,粟,マージン,野菜,人が盗んでいる,褒美,布令,鉄砲,人を射ってしまった,鰻,兄弟みんな揃ってお祝い,指はどこに折れるの,肉は切れても寄り合う |
| 梗概(こうがい) | 屋良ムルチの由来記というのは鰻だったという話だが。それでもう兄弟が二人か三人、男兄弟がいたらしい。とてもつきあいが悪く、兄弟三人は仲が良くなかった。それで兄弟よりも深い友人がいた。そして、今度はもう屋良ムルチに鰻が出て、作物を喰い荒らしてしまってね。粟、マージン、それから別の野菜、作物みんな喰い荒らすので、「不思議な事だ。これは人が盗んでいるんだったら、まさかこれだけ忍びこんでいるのだから見つかるはずだが、一度も見たことがない。」と。あとは、「この作物を喰っているのが動物でも人だとしても、捕まえた人にはもう部落から褒美を出す。」ということになった。そうして布令が配られたので、鉄砲を持ってきて、「こんなに沢山の人々の作物を荒らすので、人でも何でもいいから捕まえることが出来たら捕まえてくれないか。」「それは私がやります。」と申し出てね。鉄砲を持って行ったら、行くやいなや鰻が出て喰っていたらしい。それで、もっとよく確かめて人だったら立つから分かるでしょう。でもこの大きな動物は這ってから喰うので、それで確かめて、鉄砲で射って、その鰻を見てみたらもう鰻が二百斤ぐらいもあったんだって。そうして、家に帰って、友人に、「私は、今度は大変な事になってしまったよ。」と言うと、「どうした。」と言うので、「お前達も分かるように、私はムルチバルの作物をみんな盗られてしまってね。これを捕まえようと、人でもいい、何でもいいからという事だったが、人を射ってしまった。もう大変な事になった。助けてくれないだろうか。」と言ったが、「はあ、お前は一大事だよ、人を撃つなんて。」と、すぐ断わられたって。それで兄弟の所に行ったら、「それは大変なことだ。じゃあ、みんなで人に知られないうちに片付けてこよう。」と、棒と畚、綱を持って行ってみた。すると鰻だったので担いで来て、兄弟揃ってお祝いしたんでしょう。そしたら、この友人は門のところから歩いていたそうだ。「どこの誰がしかは、屋良ムルチの作物を喰い荒らす鰻をやっつけて、兄弟みんな揃ってお祝いしているよ。」と言いながら門から歩いたそうだ。そのときからはもう知らぬふりをしていたんだって。それ以来、「指はどこに折れるの。肉は切れても寄り合うことができる。」と、どんなに仲が悪い兄弟でも、いざという時には兄弟が面倒を見るんだから、仲良くしなさいよと、この話からきたということだよ。「指は折れたらどこに折れるの、後に折れる指というのもあるのか。」というのは、そういう意味だって。これは屋良ムルチの由来記だと思うよ。 |
| 全体の記録時間数 | 3:00 |
| 物語の時間数 | 3:00 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | 〇 |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |