
金持ちの長男と、貧乏人の長男との話ね。この金持ちの長男と、貧乏人の長男とは、とても仲の良い友人であった。貧乏人の息子は、お金を持ってないでしょう。その金持ちの友人に、「ねえ、遊びに行こう、遊んでこよう。」と言い合い、どこにでも、「はい。」と一緒に行っていたようだね。その貧乏人も、そうして一緒に行ったら、その貧乏者はお金はないんだから、どうしようかと考えた。するとその金持ちの長男が、「私の家の床の間に、黄金が飾ってあるから、それをどこそこに隠しておくから、お前がそれを当てて、『どこそこにあるよ』といって、私の親からお金をもらうといいよ。」と、金持ちの長男と、貧乏者の長男と話し合ったようだ。そして、この貧乏者は、お金はないんだから、「それじゃあ、そうしよう。」ということになった。その金持ちの家の床の間に飾られている黄金(その黄金というのは、自分はどういうものかよく分からないが聴取その黄金を庭に穴を掘って隠しておいた。すると、「黄金が無いよ、無くなっているよ。」と大騒ぎになった。そこで金持ちの長男が、「私の友人に大そうな見通しがいるから、それを彼が当てるんであれば、お金を与えて下さいね。」と、話をしたら、「そいつが、捜してくれたならお金をあげよう。」ということになった。その貧乏者を、そこへ呼んだが、(その貧乏者は)すでに話は聞いているんだからね。「お前が捜し当てられるものなら、いくらいくらお金もあげよう。」と言ったら、「はい。」と答えた。その貧乏者は、「どこそこに埋められています。いうなれば、この家庭には徳の神がいらっしゃって、その黄金を外に出そうとしていたが、徳の神がお守りになって、持ち出すことができなかった。それでこの庭のどこそこに穴を掘って、埋めてあり、いつかは持ち出そうとしていると、見えていますよ。」と話した。「ああ、そうか。」と掘ってみると、その通りそこにあったそうだ。そうして、家に持って行って、お金をたいそうもらい、遊びに行ったそうだよ。もういつも二人は一緒になってね。(その二人が)遊びに行き通ううちに、そうこうしているうちに、もうあちらからも、こちらからも「たいそうな見通しがいるそうだよ。」といって、その話が評判になっていった。もう、嘘をついたわけだが黄金を捜し当てたからね。また、侍、王様ね、と今で考えれば私たち沖縄の首里城の王様が、病気になり床に伏せていらしたそうだ。そしてついには、首里城からその貧乏者の所に使いが来た。評判になるほどの見通しであったので、「王様が病気で床に伏せていらっしゃるので、見に来て下さい。」と、言われた。でも何も分からないんだから、そういうふうに(友達同志で嘘をついてやったことなので)分からないんだから、もうどうしたらいいのだろうと、またその金持ちの友人の所へ聞きに行ったわけだ。そこに行くと、「だいじょうぶだよ、まず行ってごらんなさい。」と、ただ励ますのみだった。それでも、行かないと打ちクビにされてしまうし、行ったところで分かるはずがないしね。しかしもう、トボトボと行ったそうだ。その首里城の近くに行く途中に、池からハブが化け出て来たそうだ。そのハブが化けて出て、「あなたは、何とかいう見通しでいらっしゃいますか。」と言ったらね、「はい、そうだよ。」と話をした。そうしたら「それじゃあ私の話はね、私は王様の住んでいる所の天井に住んでいて、何十ヵ年間そこに住み、王様のおこぼれを食べて私は生きているものだが、私のことは話さないで下さいよ。」と、そのハブは化けて、言ったようだ。そう言ったから、「はい分かっている。」とその貧乏人はただ通って行ったようだ。行ってみると、その王様は、この人が来るのを待ちかねていて、「痛い、痛い。」と転がっていたそうだよ。そうしてこの人が行ってみたら、(その人はもうすでに)途中でハブに会い、ハブが王様のおこぼれを食べていることは聞いて知っていたんだからね。行ってみると、「そんなことでいらっしゃるから、あなた様で治して下さい。」と話したら、「そういうことであなたたちの家の上で、ハブが化けて王様のおこぼれを食べているので、王様は病気になられているのだから、何も身体の内には、病気はかかってない。」と話した。そうして人夫を出して家の上を取り壊して、そのハブが巣くっているのを退治したので、もうそれからは王様の病気は治った。それからもう、また王様もその貧乏者に、お金をたくさん与えられ、その貧乏人も、金持ちもこうして同じようになり、いつもいっしょに遊んだという話だ。また、ユタというのは、たとえば生まれつきユタになれるものではなくて、自分の理屈によって、あれこれと、うまくいくんだよ。いえば自然に入ってくる、ここの家庭の習慣によってユタというものはなれるのだそうだ。
| レコード番号 | 47O373027 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C131 |
| 決定題名 | 高名な鼻きき(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | 高名な鼻きき |
| 話者名 | 山城盛吉 |
| 話者名かな | やましろせいきち |
| 生年月日 | 19110606 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村座喜味 |
| 記録日 | 19770227 |
| 記録者の所属組織 | 読谷村民話調査団 |
| 元テープ番号 | 読谷村座喜味T03B01 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 13 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 読谷村民話資料集10座喜味の民話 P91 |
| キーワード | 金持ちの長男,貧乏人の長男,仲の良い友人,床の間,黄金,庭に穴,見通し,徳の神,王様が病気,首里城,池からハブ,天井,ユタ |
| 梗概(こうがい) | 金持ちの長男と、貧乏人の長男との話ね。この金持ちの長男と、貧乏人の長男とは、とても仲の良い友人であった。貧乏人の息子は、お金を持ってないでしょう。その金持ちの友人に、「ねえ、遊びに行こう、遊んでこよう。」と言い合い、どこにでも、「はい。」と一緒に行っていたようだね。その貧乏人も、そうして一緒に行ったら、その貧乏者はお金はないんだから、どうしようかと考えた。するとその金持ちの長男が、「私の家の床の間に、黄金が飾ってあるから、それをどこそこに隠しておくから、お前がそれを当てて、『どこそこにあるよ』といって、私の親からお金をもらうといいよ。」と、金持ちの長男と、貧乏者の長男と話し合ったようだ。そして、この貧乏者は、お金はないんだから、「それじゃあ、そうしよう。」ということになった。その金持ちの家の床の間に飾られている黄金(その黄金というのは、自分はどういうものかよく分からないが聴取その黄金を庭に穴を掘って隠しておいた。すると、「黄金が無いよ、無くなっているよ。」と大騒ぎになった。そこで金持ちの長男が、「私の友人に大そうな見通しがいるから、それを彼が当てるんであれば、お金を与えて下さいね。」と、話をしたら、「そいつが、捜してくれたならお金をあげよう。」ということになった。その貧乏者を、そこへ呼んだが、(その貧乏者は)すでに話は聞いているんだからね。「お前が捜し当てられるものなら、いくらいくらお金もあげよう。」と言ったら、「はい。」と答えた。その貧乏者は、「どこそこに埋められています。いうなれば、この家庭には徳の神がいらっしゃって、その黄金を外に出そうとしていたが、徳の神がお守りになって、持ち出すことができなかった。それでこの庭のどこそこに穴を掘って、埋めてあり、いつかは持ち出そうとしていると、見えていますよ。」と話した。「ああ、そうか。」と掘ってみると、その通りそこにあったそうだ。そうして、家に持って行って、お金をたいそうもらい、遊びに行ったそうだよ。もういつも二人は一緒になってね。(その二人が)遊びに行き通ううちに、そうこうしているうちに、もうあちらからも、こちらからも「たいそうな見通しがいるそうだよ。」といって、その話が評判になっていった。もう、嘘をついたわけだが黄金を捜し当てたからね。また、侍、王様ね、と今で考えれば私たち沖縄の首里城の王様が、病気になり床に伏せていらしたそうだ。そしてついには、首里城からその貧乏者の所に使いが来た。評判になるほどの見通しであったので、「王様が病気で床に伏せていらっしゃるので、見に来て下さい。」と、言われた。でも何も分からないんだから、そういうふうに(友達同志で嘘をついてやったことなので)分からないんだから、もうどうしたらいいのだろうと、またその金持ちの友人の所へ聞きに行ったわけだ。そこに行くと、「だいじょうぶだよ、まず行ってごらんなさい。」と、ただ励ますのみだった。それでも、行かないと打ちクビにされてしまうし、行ったところで分かるはずがないしね。しかしもう、トボトボと行ったそうだ。その首里城の近くに行く途中に、池からハブが化け出て来たそうだ。そのハブが化けて出て、「あなたは、何とかいう見通しでいらっしゃいますか。」と言ったらね、「はい、そうだよ。」と話をした。そうしたら「それじゃあ私の話はね、私は王様の住んでいる所の天井に住んでいて、何十ヵ年間そこに住み、王様のおこぼれを食べて私は生きているものだが、私のことは話さないで下さいよ。」と、そのハブは化けて、言ったようだ。そう言ったから、「はい分かっている。」とその貧乏人はただ通って行ったようだ。行ってみると、その王様は、この人が来るのを待ちかねていて、「痛い、痛い。」と転がっていたそうだよ。そうしてこの人が行ってみたら、(その人はもうすでに)途中でハブに会い、ハブが王様のおこぼれを食べていることは聞いて知っていたんだからね。行ってみると、「そんなことでいらっしゃるから、あなた様で治して下さい。」と話したら、「そういうことであなたたちの家の上で、ハブが化けて王様のおこぼれを食べているので、王様は病気になられているのだから、何も身体の内には、病気はかかってない。」と話した。そうして人夫を出して家の上を取り壊して、そのハブが巣くっているのを退治したので、もうそれからは王様の病気は治った。それからもう、また王様もその貧乏者に、お金をたくさん与えられ、その貧乏人も、金持ちもこうして同じようになり、いつもいっしょに遊んだという話だ。また、ユタというのは、たとえば生まれつきユタになれるものではなくて、自分の理屈によって、あれこれと、うまくいくんだよ。いえば自然に入ってくる、ここの家庭の習慣によってユタというものはなれるのだそうだ。 |
| 全体の記録時間数 | 6:21 |
| 物語の時間数 | 6:21 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |