
それは百姓の話だよ。昔は農業する人には百姓といっていた。あなた達は粟というのを知っているかね。昔は粟をたくさん作っていたよ。あるところに粟を作っている人が二人いた。畑に行けば、こっちも農業をしている人がいるし、また遠く離れたところにも農業している人はたくさんいるでしょう。その中の一人であるが、みんながは普通の人間と考えていたようだ。すると、その百姓の粟は豊作で、大変青々と勢いの良い粟であった。その人は神様であったらしい。昔は神様に精霊といっており、精霊が出たという昔話である。たとえば、地上の人間ではなくて、(神様であったという)話だよ。そして「はい青年よ、豊作になるよ。」とおっしゃった。すると「私達みたいな腕の人がやるのに、豊作にならないはずがない。」と、少々自信過剰であった。「豊作になるよ。」と、その神様はおっしゃった。(その神様は)次は、粟を作っているもう一人の若い男の人のところへわざわざ歩いて行った。もうその人が作っている粟は、小さくて葉の色も赤っぽくしており、かわいそうなほどの粟であった。「もう(お前の)粟は弱いね、青年よ。」「もう今は私の粟は弱いんですが、一生懸命頑張りますよ。」と言った。「豊作になるよ、豊作にさせるよ。」とおっしゃったそうだ。「あなたのものは、あのずっと向こうに粟を作っている人がいるでしょう。あなたはあの粟も見ておきなさいよ。あれは(今)大変豊作だよ、今成長しているよ。」と。また「お前のものは今は低くてかわいそうな粟だけど、それは実にならないと分からないから、(今に)お前の粟は人間が見上げる程に(なるよ)、一生懸命頑張りなさいよ、青年。」と、行かれたそうだ。そうしたらその実がつく頃になっても、木は高いんだが実は全くつかなかった。植物は実がつけば、その木の枝は細いんだから、折れ曲がるでしょう。(その人の作った粟は)実がついてないんだから、折れ曲がらずに上の方を向いていた。またこの人のは、実がなる頃になったので、ゆらゆらと風にあたると今にも倒れんばかりに実がついたという話。私たちも実際に農作物を作っていたんだが、それは自分一人でできるものではない。天災、天からの恵みの作物であるよ。自分だけの自信だけでは、あらゆる植物も作られるわけがない。神様はうやまわないといけない。(その人達は)神様がいるとは知らずに、みはなされたわけだ。
| レコード番号 | 47O373023 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C130 |
| 決定題名 | 神の美作(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | 百姓の話 |
| 話者名 | 当山三次郎 |
| 話者名かな | とうやまさんじろう |
| 生年月日 | 19010810 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村座喜味 |
| 記録日 | 19770227 |
| 記録者の所属組織 | 読谷村民話調査団 |
| 元テープ番号 | 読谷村座喜味T03A04 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 12 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 読谷村民話資料集10座喜味の民話 P145 |
| キーワード | 百姓,粟は豊作,神様,精霊,折れ曲がる |
| 梗概(こうがい) | それは百姓の話だよ。昔は農業する人には百姓といっていた。あなた達は粟というのを知っているかね。昔は粟をたくさん作っていたよ。あるところに粟を作っている人が二人いた。畑に行けば、こっちも農業をしている人がいるし、また遠く離れたところにも農業している人はたくさんいるでしょう。その中の一人であるが、みんながは普通の人間と考えていたようだ。すると、その百姓の粟は豊作で、大変青々と勢いの良い粟であった。その人は神様であったらしい。昔は神様に精霊といっており、精霊が出たという昔話である。たとえば、地上の人間ではなくて、(神様であったという)話だよ。そして「はい青年よ、豊作になるよ。」とおっしゃった。すると「私達みたいな腕の人がやるのに、豊作にならないはずがない。」と、少々自信過剰であった。「豊作になるよ。」と、その神様はおっしゃった。(その神様は)次は、粟を作っているもう一人の若い男の人のところへわざわざ歩いて行った。もうその人が作っている粟は、小さくて葉の色も赤っぽくしており、かわいそうなほどの粟であった。「もう(お前の)粟は弱いね、青年よ。」「もう今は私の粟は弱いんですが、一生懸命頑張りますよ。」と言った。「豊作になるよ、豊作にさせるよ。」とおっしゃったそうだ。「あなたのものは、あのずっと向こうに粟を作っている人がいるでしょう。あなたはあの粟も見ておきなさいよ。あれは(今)大変豊作だよ、今成長しているよ。」と。また「お前のものは今は低くてかわいそうな粟だけど、それは実にならないと分からないから、(今に)お前の粟は人間が見上げる程に(なるよ)、一生懸命頑張りなさいよ、青年。」と、行かれたそうだ。そうしたらその実がつく頃になっても、木は高いんだが実は全くつかなかった。植物は実がつけば、その木の枝は細いんだから、折れ曲がるでしょう。(その人の作った粟は)実がついてないんだから、折れ曲がらずに上の方を向いていた。またこの人のは、実がなる頃になったので、ゆらゆらと風にあたると今にも倒れんばかりに実がついたという話。私たちも実際に農作物を作っていたんだが、それは自分一人でできるものではない。天災、天からの恵みの作物であるよ。自分だけの自信だけでは、あらゆる植物も作られるわけがない。神様はうやまわないといけない。(その人達は)神様がいるとは知らずに、みはなされたわけだ。 |
| 全体の記録時間数 | 4:11 |
| 物語の時間数 | 4:11 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |