
伊野波のモーイという大変利口な人がいたそうだが。いつも片足は草履、片足は下駄を履いて、雄鶏を持って遊んでばかりいたそうだ。そうしたら、出合う人達が「モーイ、どうして片足は草履を履き片足は下駄を履いて何か。」と言ったからね。「お母さんは、草履を履いて歩きなさいよモーイと言うし、お父さんは下駄を履いて歩きなさいとおっしゃるから、両方の親孝行ですよ。」と、歩いていた。それから歩こうとすると、そこに飲水に(使用している)井戸があった。その井戸の周辺には、「立ち小便をしてはいけない。」という立て札が立てられていた。しかしこのモーイは利口であるんだから、小便をしても五貫払えばよいということで、小便をしていたそうだ。今度は、自分の婚約者がいるんだが、侍の娘であるのでなかなか見ることができなかった。見ることができなかったので、(婚約者の家の)石垣に登り、庭に鶏を落としてパタパタさせたら、家族全員出て来て大騒動となった。するとモーイは、石垣の上から「今度は(自分の婚約者を)見たよ、見たよ。」と言った。そしたら侍というのは大変義理固いのでね、見られてはいけないのにと、大変困ってしまっていたという話。今度はね、唐の国からお父さんの所に難題事が来た。雄鶏の卵と灰縄とを持って来なさいとの難
題であった。そうすると、伊野波のモーイは大変利口であるんだからね、お父さんがは無理だからということで「自分の父親の代りに、私を行かせて下さい。」と、頼んだようだ。するとお父さんは「おまえはこんな大事な問題だのに、これだけの協議でおまえにできるのか。」と、言ったんだが「たやすいことですから、行かせて下さい。」と。それで支度をしてそこに行ったらね、「お父さんに来なさいといったのに、どうしておまえが来たのかモーイ。」と言われたからね、「お父さんは来るつもりで、那覇の港までは来たんだが急に産気づいてしまって、それでお父さんの代りに私が来ました。」と言ったようだ。「それで、おまえはこっちからの難題事の品物は持って来たか。」と言ったので、「ちゃんと持って来てありますよ。」とね。「どうして男が産気づくということがあるか。」と言ったからね、「じゃ貴方達は、(どうして)雄鶏の卵を持って来なさいとおっしゃるんですか。」ということになったらしい。それでもう一つは負けているさーね。それから今度はもう一問。「灰縄は持って来たか。」と言ったらね。「これもちゃんと持っています。」と言った。これだけの長さに切り、その場で鉄の上で焼いた。「はい、これもちゃんとできていますよ。」と。「おまえはちゃんとやったからね、おまえの好きなのを何でも褒美としてあげるからね。」「私は何も欲しくはないんですけど、殿様の座っていらっしゃるこの(椅子)に、ただ少しだけでよろしいですので座らせて下さい。」と言ってね。(殿様)は負けて、(モーイが)殿様の座に座っていた。
| レコード番号 | 47O372819 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C122 |
| 決定題名 | モーイ親方(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | モーイ親方 |
| 話者名 | 天久サダ子 |
| 話者名かな | あめくさだこ |
| 生年月日 | 19121215 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村波平 |
| 記録日 | 19860110 |
| 記録者の所属組織 | ゆうがおの会 |
| 元テープ番号 | 読谷村波平T08A04 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 13 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 読谷村民話資料集9波平の民話 P83 |
| キーワード | 伊野波のモーイ,利口,片足は草履,片足は下駄,雄鶏,両方の親孝行,立ち小便,五貫払えばよい,婚約者,侍の娘,庭に鶏,唐の国,お父さん,難題,雄鶏の卵,灰縄,父親の代り,褒美,殿様 |
| 梗概(こうがい) | 伊野波のモーイという大変利口な人がいたそうだが。いつも片足は草履、片足は下駄を履いて、雄鶏を持って遊んでばかりいたそうだ。そうしたら、出合う人達が「モーイ、どうして片足は草履を履き片足は下駄を履いて何か。」と言ったからね。「お母さんは、草履を履いて歩きなさいよモーイと言うし、お父さんは下駄を履いて歩きなさいとおっしゃるから、両方の親孝行ですよ。」と、歩いていた。それから歩こうとすると、そこに飲水に(使用している)井戸があった。その井戸の周辺には、「立ち小便をしてはいけない。」という立て札が立てられていた。しかしこのモーイは利口であるんだから、小便をしても五貫払えばよいということで、小便をしていたそうだ。今度は、自分の婚約者がいるんだが、侍の娘であるのでなかなか見ることができなかった。見ることができなかったので、(婚約者の家の)石垣に登り、庭に鶏を落としてパタパタさせたら、家族全員出て来て大騒動となった。するとモーイは、石垣の上から「今度は(自分の婚約者を)見たよ、見たよ。」と言った。そしたら侍というのは大変義理固いのでね、見られてはいけないのにと、大変困ってしまっていたという話。今度はね、唐の国からお父さんの所に難題事が来た。雄鶏の卵と灰縄とを持って来なさいとの難 題であった。そうすると、伊野波のモーイは大変利口であるんだからね、お父さんがは無理だからということで「自分の父親の代りに、私を行かせて下さい。」と、頼んだようだ。するとお父さんは「おまえはこんな大事な問題だのに、これだけの協議でおまえにできるのか。」と、言ったんだが「たやすいことですから、行かせて下さい。」と。それで支度をしてそこに行ったらね、「お父さんに来なさいといったのに、どうしておまえが来たのかモーイ。」と言われたからね、「お父さんは来るつもりで、那覇の港までは来たんだが急に産気づいてしまって、それでお父さんの代りに私が来ました。」と言ったようだ。「それで、おまえはこっちからの難題事の品物は持って来たか。」と言ったので、「ちゃんと持って来てありますよ。」とね。「どうして男が産気づくということがあるか。」と言ったからね、「じゃ貴方達は、(どうして)雄鶏の卵を持って来なさいとおっしゃるんですか。」ということになったらしい。それでもう一つは負けているさーね。それから今度はもう一問。「灰縄は持って来たか。」と言ったらね。「これもちゃんと持っています。」と言った。これだけの長さに切り、その場で鉄の上で焼いた。「はい、これもちゃんとできていますよ。」と。「おまえはちゃんとやったからね、おまえの好きなのを何でも褒美としてあげるからね。」「私は何も欲しくはないんですけど、殿様の座っていらっしゃるこの(椅子)に、ただ少しだけでよろしいですので座らせて下さい。」と言ってね。(殿様)は負けて、(モーイが)殿様の座に座っていた。 |
| 全体の記録時間数 | 4:06 |
| 物語の時間数 | 4:06 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |