
昔の下男はよくできる人で五十銭、普通は二十銭か三十銭で雇われていた。だから気持ちにはいつも(賃金が安いという)のがあった。そこで、日雇しても借金はそのまま残っていた。利息の代わりであったのだろう。それで、ある田んぼを耕すときに、そこの主人が田圃のまん中に、徳久利を置いた。〈今はいろいろ酒の瓶もあるよ。壷屋で作っていたトゥックイといって、腹のところが大きくてね、それを持って酒を買いに行ったそうだ。カラカラーぐゎー(注)とかいって。 それで、この田んぼのまん中に徳久利を置いた。もう(賃金も)安かったので、それほどまでには働かなかったようだ。日雇いもね。田圃のまん中に(徳久利を)置いて朝食をあげて、出かけるときに、「今日は頑張る人のものだよ。」と主人が口に出した。「どうしてこう言うのだろう。」日雇いは言った。「そう言っても口だけのことだ。何なのか分かるか。帰って来て夕食を御馳走にするのか、何なのか分からない。」と(下男たちは)言い合っていた。田圃の中へ、四、五、六人で行ったようだ。ある一人の者は、いっしょうけんめい田を耕やして前へ前へ進んだようだ。すると、(田圃の中に)沈めないように酒が一升入っている徳久利を、田圃のまん中に置いてあった。そうなんだ。これは主人のかわりである。そうしたら頑張るだろうという考えだったのでしょうね。主人の言うことはただ聞いてはいけない。当たった人は働き者だったのでしょう。「これは今はあげないよ。」と、においをすれば分かるでしょう。今は飲まさないよ。終わってからあげるんだよと主人は言った。それから、頑張っていたそうである。それは主人の作戦で、どこの雇い主であったか知らないがこういう話があったそうだ。
| レコード番号 | 47O372501 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C110 |
| 決定題名 | 主人と下男の話(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | 主人と下男の話 |
| 話者名 | 知花ハツ |
| 話者名かな | ちばなはつ |
| 生年月日 | 19090609 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村高志保 |
| 記録日 | 19850301 |
| 記録者の所属組織 | 読谷村ゆうがおの会 |
| 元テープ番号 | 読谷村高志保T08A07 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 12 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 読谷村民話資料集8高志保の民話 P75 |
| キーワード | 下男,利息の代わり,田んぼ,徳久利,主人の作戦 |
| 梗概(こうがい) | 昔の下男はよくできる人で五十銭、普通は二十銭か三十銭で雇われていた。だから気持ちにはいつも(賃金が安いという)のがあった。そこで、日雇しても借金はそのまま残っていた。利息の代わりであったのだろう。それで、ある田んぼを耕すときに、そこの主人が田圃のまん中に、徳久利を置いた。〈今はいろいろ酒の瓶もあるよ。壷屋で作っていたトゥックイといって、腹のところが大きくてね、それを持って酒を買いに行ったそうだ。カラカラーぐゎー(注)とかいって。 それで、この田んぼのまん中に徳久利を置いた。もう(賃金も)安かったので、それほどまでには働かなかったようだ。日雇いもね。田圃のまん中に(徳久利を)置いて朝食をあげて、出かけるときに、「今日は頑張る人のものだよ。」と主人が口に出した。「どうしてこう言うのだろう。」日雇いは言った。「そう言っても口だけのことだ。何なのか分かるか。帰って来て夕食を御馳走にするのか、何なのか分からない。」と(下男たちは)言い合っていた。田圃の中へ、四、五、六人で行ったようだ。ある一人の者は、いっしょうけんめい田を耕やして前へ前へ進んだようだ。すると、(田圃の中に)沈めないように酒が一升入っている徳久利を、田圃のまん中に置いてあった。そうなんだ。これは主人のかわりである。そうしたら頑張るだろうという考えだったのでしょうね。主人の言うことはただ聞いてはいけない。当たった人は働き者だったのでしょう。「これは今はあげないよ。」と、においをすれば分かるでしょう。今は飲まさないよ。終わってからあげるんだよと主人は言った。それから、頑張っていたそうである。それは主人の作戦で、どこの雇い主であったか知らないがこういう話があったそうだ。 |
| 全体の記録時間数 | 2:25 |
| 物語の時間数 | 2:25 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | 〇 |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |