
テーラシカマグチという人は、あの世で生まれたそうだが、それは(母親が)妊娠しているときに亡くなったので、そのまま墓に葬られた。そして、あの世でテーラシカマグチは生まれたという話は聞いているが、こうだったそうだ。母親は墓に葬られたが、そこで生まれているということは(話も)分からない。分からなかったようだ。その女の親は、亡くなった母親は、いつも町に品物を買いに行っていた。そして子供はそこら中を這いまわるほど、だいぶ大きくなっていたようだ。そうしているうちに、那覇の町の店の人たちは、「珍しいことだ。私が売った品物はどれとどれを売ったが、おかしいことにお金の勘定が合わない。珍しいことだ。」と。また隣の人も、「そうだね、私も同じことだ。不思議なことだね。」と言った。その女が来ると、みんな一回、二回と巡って売ってお金は取っているが、そのたびになくなっていた。売る人は、生きているほんとうの人間であるわけだよ。だから町の人は全員、不思議がっていた。みんなのお金がなくなるものだからしだいに感づいてきて、「それでは、その人が来たら、必ず後を追ってみようね。」ということになった。〈それもそのはず、女の人からは打ち紙(注)を取っているのだからね。〉(後をつけると)墓に来て、その中に子供がいた。そして、その子供は家に連れて行き、育てたということである。この人はあの世とこの世を行き来していた。テーラシカマグチという人は。それで、(テーラシカマグチは)七人兄弟であった。「それでは、あなたたちは私の言うことを聞けば、あの世に連れて行くが、そうしなければあなたたちの命はなくなるよ。」と言うと、「そうします。」と言って、七人連れて、あの世へ行った。兄さん達三人は、「珍しい物もあり、美しい女もいるけど、どこも振り返って見るな。ずっとまっすぐに歩くんだよ。そうすれば連れて行くよ。」と教えてあった。テーラシカマグチがそのように言ってあったので、兄たち三人は、「はい」と聞いた。七人兄弟の残りの弟達はまだ若かったので、美しい女や踊りする所をあっちこっち見ながら歩いていた。そればかりに気を取られてよそ見ばかりしていた。そうして家に帰ってみると、弟たちは魂を取られていた。兄たち三人は生き残ったが、あとの四人の弟たちは亡くなったという話である。
| レコード番号 | 47O372208 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C096 |
| 決定題名 | 子育て幽霊(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | テーラシカマグチの話 |
| 話者名 | 福地祭良 |
| 話者名かな | ふくじさいりょう |
| 生年月日 | 18941206 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村渡慶次 |
| 記録日 | 19840328 |
| 記録者の所属組織 | 読谷ゆうがおの会 |
| 元テープ番号 | 読谷村渡慶次T09A02 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 12 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 読谷村民話資料集7渡慶次の民話 P56 |
| キーワード | テーラシカマグチ,あの世で生まれた,妊娠したまま墓に葬られた,町に買い物,打ち紙,七人兄弟 |
| 梗概(こうがい) | テーラシカマグチという人は、あの世で生まれたそうだが、それは(母親が)妊娠しているときに亡くなったので、そのまま墓に葬られた。そして、あの世でテーラシカマグチは生まれたという話は聞いているが、こうだったそうだ。母親は墓に葬られたが、そこで生まれているということは(話も)分からない。分からなかったようだ。その女の親は、亡くなった母親は、いつも町に品物を買いに行っていた。そして子供はそこら中を這いまわるほど、だいぶ大きくなっていたようだ。そうしているうちに、那覇の町の店の人たちは、「珍しいことだ。私が売った品物はどれとどれを売ったが、おかしいことにお金の勘定が合わない。珍しいことだ。」と。また隣の人も、「そうだね、私も同じことだ。不思議なことだね。」と言った。その女が来ると、みんな一回、二回と巡って売ってお金は取っているが、そのたびになくなっていた。売る人は、生きているほんとうの人間であるわけだよ。だから町の人は全員、不思議がっていた。みんなのお金がなくなるものだからしだいに感づいてきて、「それでは、その人が来たら、必ず後を追ってみようね。」ということになった。〈それもそのはず、女の人からは打ち紙(注)を取っているのだからね。〉(後をつけると)墓に来て、その中に子供がいた。そして、その子供は家に連れて行き、育てたということである。この人はあの世とこの世を行き来していた。テーラシカマグチという人は。それで、(テーラシカマグチは)七人兄弟であった。「それでは、あなたたちは私の言うことを聞けば、あの世に連れて行くが、そうしなければあなたたちの命はなくなるよ。」と言うと、「そうします。」と言って、七人連れて、あの世へ行った。兄さん達三人は、「珍しい物もあり、美しい女もいるけど、どこも振り返って見るな。ずっとまっすぐに歩くんだよ。そうすれば連れて行くよ。」と教えてあった。テーラシカマグチがそのように言ってあったので、兄たち三人は、「はい」と聞いた。七人兄弟の残りの弟達はまだ若かったので、美しい女や踊りする所をあっちこっち見ながら歩いていた。そればかりに気を取られてよそ見ばかりしていた。そうして家に帰ってみると、弟たちは魂を取られていた。兄たち三人は生き残ったが、あとの四人の弟たちは亡くなったという話である。 |
| 全体の記録時間数 | 5:14 |
| 物語の時間数 | 5:14 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |