
むかし、福地夫地頭という人がね、唐旅をしている夫地頭という人が、道を歩いていると、糸満の人が亀を返してあったそうだ。亀を返してあったので、「どうしたのだろう、あの、糸満の人はあんなに騒いで、まず寄ってみよう。」と、寄ってみた。すると、亀を前にしてナタで殺そうとしているところであった。「これはちょっと待ってくれ。」と、夫地頭が止めた。「さあ、その亀は私が買おう。」と言うと、「えっ!あなたはこんなに大きな物が買えるのですか。」「どんなに大きい物でも私が買ってやろう。」「それじゃ、いくらだったら買われますか」と糸満の人は(福地夫地頭に亀を)売った。「では、買って下さい。」と、「それではあなた達で海まで持って行ってくれないか。海まで持って行ってちょうだい。」と言った。「また海に返すのですか。」と聞くと、「海に、これは、私はあなた方から買って海に放すんだよ。海まで持って行ってくれ。」と、頼んだ。海へ持って行って、「もうおまえは浜で、私がおまえを助けてあげるので、おまえは、きょうは殺されようとしていたが、私が助けてあげた。海でくらしなさい、竜宮でくらしなさい。」と言った。印、〈亀の甲は切ってないよ〉泳ぐ羽、泳ぐ羽をね、「これは、私が印を入れておこう。これは私が買ったものなので印を入れておこうね。」と、印を入れて、「それじゃ、海でくらしなさいね。」と行かせた。ところで、その夫地頭は唐旅をしている夫地頭である。山原(注2)を旅し、離島もどこもかも行ったようだ。そのうちに魔風にあった。船で往還をしていたので龍巻にあって、船が転覆してしまった。「どうしよう恐しい龍巻にあってしまって、私たるものが。」と、海へ投げ出されてしまった。船はひっくり返って風に流された。そうしているうちに、こんなに大きい赤い岩もあるのかと、赤い岩もあるんだなと、その岩に乗って、その上に立っておくことにした。それは亀の背中だった。福地夫地頭が助けた亀であった。その人はそれとは思わず、海のチブル石と思って乗ると、いよいよ浜口に寄ってきて、浜に着いたので、浅かったので降りた。「ちょっと待っておくれ、おまえ、まず待っておくれ、私が助けた亀に、私は印を入れておいたが、おまえはその印が入ってないか、確かに私が助けた亀かもしれない。まず、ちよっと見てみよう。」と、いうことになった。見ると、羽が切られていたので、「私の命を救ってくれたんだね、ありがとう。」と、また海へ行かせた。その時から亀を、福地門中の子、孫には、万代の子孫への遺言として、「たとえ、そこからどんな亀にせよ、『亀を買いませんか』と、売って歩く亀の肉は分けて食べるな。食べてはくれるな。」と言った。
| レコード番号 | 47O372143 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C092 |
| 決定題名 | 亀に助けられた話(共通語混) |
| 話者がつけた題名 | 亀に助けられた話 |
| 話者名 | 知花キヨ |
| 話者名かな | ちばなきよ |
| 生年月日 | 19121016 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村儀間 |
| 記録日 | 19770221 |
| 記録者の所属組織 | 読谷村民話調査団第14班 |
| 元テープ番号 | 読谷村渡慶次T06B02 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 12 |
| 発句(ほっく) | んかし |
| 伝承事情 | 同部落の福地祭考さんから聞いた。 |
| 文字化資料 | 読谷村民話資料集7渡慶次の民話 P40 |
| キーワード | 福地夫地頭,唐旅,糸満の人,亀をナタで殺そうとしている,夫地頭が助けた,竜宮,亀に印,龍巻,船が転覆,亀の背中,亀の肉は食べない |
| 梗概(こうがい) | むかし、福地夫地頭という人がね、唐旅をしている夫地頭という人が、道を歩いていると、糸満の人が亀を返してあったそうだ。亀を返してあったので、「どうしたのだろう、あの、糸満の人はあんなに騒いで、まず寄ってみよう。」と、寄ってみた。すると、亀を前にしてナタで殺そうとしているところであった。「これはちょっと待ってくれ。」と、夫地頭が止めた。「さあ、その亀は私が買おう。」と言うと、「えっ!あなたはこんなに大きな物が買えるのですか。」「どんなに大きい物でも私が買ってやろう。」「それじゃ、いくらだったら買われますか」と糸満の人は(福地夫地頭に亀を)売った。「では、買って下さい。」と、「それではあなた達で海まで持って行ってくれないか。海まで持って行ってちょうだい。」と言った。「また海に返すのですか。」と聞くと、「海に、これは、私はあなた方から買って海に放すんだよ。海まで持って行ってくれ。」と、頼んだ。海へ持って行って、「もうおまえは浜で、私がおまえを助けてあげるので、おまえは、きょうは殺されようとしていたが、私が助けてあげた。海でくらしなさい、竜宮でくらしなさい。」と言った。印、〈亀の甲は切ってないよ〉泳ぐ羽、泳ぐ羽をね、「これは、私が印を入れておこう。これは私が買ったものなので印を入れておこうね。」と、印を入れて、「それじゃ、海でくらしなさいね。」と行かせた。ところで、その夫地頭は唐旅をしている夫地頭である。山原(注2)を旅し、離島もどこもかも行ったようだ。そのうちに魔風にあった。船で往還をしていたので龍巻にあって、船が転覆してしまった。「どうしよう恐しい龍巻にあってしまって、私たるものが。」と、海へ投げ出されてしまった。船はひっくり返って風に流された。そうしているうちに、こんなに大きい赤い岩もあるのかと、赤い岩もあるんだなと、その岩に乗って、その上に立っておくことにした。それは亀の背中だった。福地夫地頭が助けた亀であった。その人はそれとは思わず、海のチブル石と思って乗ると、いよいよ浜口に寄ってきて、浜に着いたので、浅かったので降りた。「ちょっと待っておくれ、おまえ、まず待っておくれ、私が助けた亀に、私は印を入れておいたが、おまえはその印が入ってないか、確かに私が助けた亀かもしれない。まず、ちよっと見てみよう。」と、いうことになった。見ると、羽が切られていたので、「私の命を救ってくれたんだね、ありがとう。」と、また海へ行かせた。その時から亀を、福地門中の子、孫には、万代の子孫への遺言として、「たとえ、そこからどんな亀にせよ、『亀を買いませんか』と、売って歩く亀の肉は分けて食べるな。食べてはくれるな。」と言った。 |
| 全体の記録時間数 | 2:52 |
| 物語の時間数 | 2:52 |
| 言語識別 | 混在 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |