
昔、ある所に、非常に貧乏の人が住んでいたそうです。その貧乏の人が、もうとうとうこの世を去るという時、自分の息子を枕元に呼びよせた。「もう私は長いことは生きられないから、かわいそうだがもうがんばってくれよ。」という遺言の話をした。「しかしあなたに譲るものがない。遺産が何もない。これが私は、もう気残りである。」と。気残りであるということを話した。今度は、枕元に手を伸ばしたら、そこに一本の藁があった。もう病気だからただその藁をつかんで、「これを私の遺産として、あなたに譲るから、いつまでもずっと大事に持っていてもらいたい。」ということで、藁一本をやったら、その子供はありがたくその藁をもらった。そうしていよいよもう親も死んでしまって、葬式も自分一人で済ました。それから今度は、もう誰も話し相手もいないもんだから、外に出た。ナービナクーがふいごを使って、鍋の修繕をしている所へ行って、それを見て遊んでいた。そのナービナクーが「その藁を私にくれないか。」と言った。「これは親の譲りである。遺産だから分けることはできません。」と。「そんな藁で何が遺産になるか。」ということで。「それじゃあなたはこれ何しますか。」と言ったら、「これは味噌を包むからね、それを包む蒸籠に使うから。」といった。それでも「親の遺産だから譲ることはできません。」と、「それじゃ、何かと換えようか。」と、小さな金と換えてしまった。そしたら、これは親の遺産だからと喜んで、この金を持って鍛冶屋の所に行った。鍛冶屋の所に行ったら、その鍛冶屋の主が、「あなたのその金を私にくれないか。」と言ったら、「これは親の遺産だから、譲ることはできません。」と。「なぜそんな金何するか。」と、「これはお父さんからの譲りで、遺産である。」というもんだから、「よしそれなら何かと換えようね。ナイフと換えよう。」ということで、一つのナイフを作ってもらった。そうすると、子供はますますこれはりっぱな遺産になるということで喜んだ。今度は、それを持っておもしろがって、川べりの方へ行き、魚が泳ぐのをじっと見ていた。これでこうして切れたらおもしろいだろうと思い、上からどんどんあおいでいったら、そうするだけで魚が取れた。こう切ろうとして、あおぐだけで取れるもんだから、これはりっぱな物であるということで、これを応用して、何でも自分が欲しいなあという物を、こう捻って、招いて、取って、その取った物を売り、残りは食べた。そうして大金持ちになった。だから大金持ちというものは、「誠そーれー弓ぬ矢んたったん」という言葉があるように、この子供が大変な正直者であるから、御天道にも認めてもらったのである。もう親も死んでいない。この子供はこんなに親孝行な子供であるから、大変大金持ちにしてやろうということで、金持ちになったというお話です。
| レコード番号 | 47O372087 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C090 |
| 決定題名 | 藁しべ長者(共通語) |
| 話者がつけた題名 | 藁しべ長者 |
| 話者名 | 山城上光 |
| 話者名かな | やましろじょうこう |
| 生年月日 | 19010902 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村渡慶次 |
| 記録日 | 19770816 |
| 記録者の所属組織 | 読谷村民話調査団第6班 |
| 元テープ番号 | 読谷村渡慶次T04B03 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 12 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | 話を聞くのが好きで幼少の頃、夜寝る前などによく祖父にねだって聞いていた。 |
| 文字化資料 | 読谷村民話資料集7渡慶次の民話 P72 |
| キーワード | 貧乏,遺言,藁,ナービナクー,鍋の修繕,味噌を包む,小さな金と換えた,ナイフと換えた,魚,金持ち |
| 梗概(こうがい) | 昔、ある所に、非常に貧乏の人が住んでいたそうです。その貧乏の人が、もうとうとうこの世を去るという時、自分の息子を枕元に呼びよせた。「もう私は長いことは生きられないから、かわいそうだがもうがんばってくれよ。」という遺言の話をした。「しかしあなたに譲るものがない。遺産が何もない。これが私は、もう気残りである。」と。気残りであるということを話した。今度は、枕元に手を伸ばしたら、そこに一本の藁があった。もう病気だからただその藁をつかんで、「これを私の遺産として、あなたに譲るから、いつまでもずっと大事に持っていてもらいたい。」ということで、藁一本をやったら、その子供はありがたくその藁をもらった。そうしていよいよもう親も死んでしまって、葬式も自分一人で済ました。それから今度は、もう誰も話し相手もいないもんだから、外に出た。ナービナクーがふいごを使って、鍋の修繕をしている所へ行って、それを見て遊んでいた。そのナービナクーが「その藁を私にくれないか。」と言った。「これは親の譲りである。遺産だから分けることはできません。」と。「そんな藁で何が遺産になるか。」ということで。「それじゃあなたはこれ何しますか。」と言ったら、「これは味噌を包むからね、それを包む蒸籠に使うから。」といった。それでも「親の遺産だから譲ることはできません。」と、「それじゃ、何かと換えようか。」と、小さな金と換えてしまった。そしたら、これは親の遺産だからと喜んで、この金を持って鍛冶屋の所に行った。鍛冶屋の所に行ったら、その鍛冶屋の主が、「あなたのその金を私にくれないか。」と言ったら、「これは親の遺産だから、譲ることはできません。」と。「なぜそんな金何するか。」と、「これはお父さんからの譲りで、遺産である。」というもんだから、「よしそれなら何かと換えようね。ナイフと換えよう。」ということで、一つのナイフを作ってもらった。そうすると、子供はますますこれはりっぱな遺産になるということで喜んだ。今度は、それを持っておもしろがって、川べりの方へ行き、魚が泳ぐのをじっと見ていた。これでこうして切れたらおもしろいだろうと思い、上からどんどんあおいでいったら、そうするだけで魚が取れた。こう切ろうとして、あおぐだけで取れるもんだから、これはりっぱな物であるということで、これを応用して、何でも自分が欲しいなあという物を、こう捻って、招いて、取って、その取った物を売り、残りは食べた。そうして大金持ちになった。だから大金持ちというものは、「誠そーれー弓ぬ矢んたったん」という言葉があるように、この子供が大変な正直者であるから、御天道にも認めてもらったのである。もう親も死んでいない。この子供はこんなに親孝行な子供であるから、大変大金持ちにしてやろうということで、金持ちになったというお話です。 |
| 全体の記録時間数 | 4:57 |
| 物語の時間数 | 4:57 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |