
猿の(尻が赤いのはなぜかという話だよ。)ある所に、夫婦がいた。また隣りにも夫婦がいたそうだが。最初は人間のことだよ。一か所は悪い夫婦で、もう一か所は正直者の夫婦だったそうだ。ある貧乏者の夫婦は、お金がなくて、正月の御馳走も作れない。もう火を燃やして、火正月をしていたそうだ。そのおじいさんとおばあさんが火正月をしている所に、神様が降りて来られ、「あなたたちは、元の十七、八歳に若くなるのとね、お金をたくさん貰うのとどちらがいいか。」とおっしゃった。「私たちは、お金は儲ければありますから、元の十七、八歳に若くなるのがいいです。」と、「それじゃあ、シンメーナービ(注1)のいっぱい湯をわかしなさい。」とおっしゃった。鍋いっぱい湯をわかすと、湯に薬を入れなさって、片方に御飯、片方におかず、片方におつゆができ上がった。それを食べ終えると、「今度は、お湯をわかして風呂に入りなさい。」とおっしゃった。浴びてみると、元の十七、八歳になっていた。それから、隣りにいじわるなおじいさんと、おばあさんが住んでいた。この正直な夫婦の家に来て、「あれ、どうしてあなたたちは、元の十七、八歳に若くなっているのか。」と聞いた。「私たちは、昨夜、火正月をしていたら、天から神様が降りていらして、お湯をわかして浴びたり、また『お金を貰うのと若くなるのと、どちらがいいか』と言われ、『若くなるのがいいです』と言ったら、こんなふうに若くなったんだよ。」と答えた。「それで、その神様は、何時頃いらしていたのか。」と、聞くと、「何時頃いらしていたよ。」と言った。(神様は)いらっしゃった。そこにと合図をして、「私たちにもいらして下さい。」と呼びかけたのでいらしゃった。その夫婦はとても悪い心を持っていた。正直な夫婦には湯をわかせ浴びたり、御馳走を与えたりしたが、この夫婦にはさせなかった。悪い心を持っているからと猿にしてしまった。神様がその夫婦を猿にしてから、今度は、若くなった正直な夫婦に、「もうあなたたちは、この家に住むがいい、ここは金持ちだし、ここで暮らしなさい。今まで住んでいた貧しい家は捨ててしまいなさい。」とおっしゃった。そして猿になった夫婦は、逃げていったが、正直な夫婦がその家に住むようになってから、毎日通ってきて、「私の家を返せ、私の富を返せ。」とじゃまをした。また、神様がいらっしゃったので、「このように毎日じゃましに来ます。」と言ったら、「それじゃあ何時頃来るかね。」「何時頃来ます。」「それならば、これくらいのマーイサー(注2)を、火のようにまっ赤に焼きなさい。そして猿が来る時間が分かっているならば、その時に焼いてそこに置いておくといい。」とおっしゃった。やがて猿が来て、そのマーイサーの上に座わったら、尻は焼けて赤くなったそうだよ。
| レコード番号 | 47O372076 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C089 |
| 決定題名 | 猿長者(方言) |
| 話者がつけた題名 | 猿の尻が赤くなったわけ |
| 話者名 | 金城カメ |
| 話者名かな | きんじょうかめ |
| 生年月日 | 19090220 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 沖縄県那覇市首里 |
| 記録日 | 19770221 |
| 記録者の所属組織 | 読谷村民話調査団第13班 |
| 元テープ番号 | 読谷村渡慶次T03B13 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 12 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 読谷村民話資料集7渡慶次の民話 P100 |
| キーワード | 金持と貧乏の夫婦,火正月,神様,若返る,湯に薬,ご飯,おかず,汁,金持ちの家を貧乏人に与えた,猿,焼いた石に座った,猿の赤尻 |
| 梗概(こうがい) | 猿の(尻が赤いのはなぜかという話だよ。)ある所に、夫婦がいた。また隣りにも夫婦がいたそうだが。最初は人間のことだよ。一か所は悪い夫婦で、もう一か所は正直者の夫婦だったそうだ。ある貧乏者の夫婦は、お金がなくて、正月の御馳走も作れない。もう火を燃やして、火正月をしていたそうだ。そのおじいさんとおばあさんが火正月をしている所に、神様が降りて来られ、「あなたたちは、元の十七、八歳に若くなるのとね、お金をたくさん貰うのとどちらがいいか。」とおっしゃった。「私たちは、お金は儲ければありますから、元の十七、八歳に若くなるのがいいです。」と、「それじゃあ、シンメーナービ(注1)のいっぱい湯をわかしなさい。」とおっしゃった。鍋いっぱい湯をわかすと、湯に薬を入れなさって、片方に御飯、片方におかず、片方におつゆができ上がった。それを食べ終えると、「今度は、お湯をわかして風呂に入りなさい。」とおっしゃった。浴びてみると、元の十七、八歳になっていた。それから、隣りにいじわるなおじいさんと、おばあさんが住んでいた。この正直な夫婦の家に来て、「あれ、どうしてあなたたちは、元の十七、八歳に若くなっているのか。」と聞いた。「私たちは、昨夜、火正月をしていたら、天から神様が降りていらして、お湯をわかして浴びたり、また『お金を貰うのと若くなるのと、どちらがいいか』と言われ、『若くなるのがいいです』と言ったら、こんなふうに若くなったんだよ。」と答えた。「それで、その神様は、何時頃いらしていたのか。」と、聞くと、「何時頃いらしていたよ。」と言った。(神様は)いらっしゃった。そこにと合図をして、「私たちにもいらして下さい。」と呼びかけたのでいらしゃった。その夫婦はとても悪い心を持っていた。正直な夫婦には湯をわかせ浴びたり、御馳走を与えたりしたが、この夫婦にはさせなかった。悪い心を持っているからと猿にしてしまった。神様がその夫婦を猿にしてから、今度は、若くなった正直な夫婦に、「もうあなたたちは、この家に住むがいい、ここは金持ちだし、ここで暮らしなさい。今まで住んでいた貧しい家は捨ててしまいなさい。」とおっしゃった。そして猿になった夫婦は、逃げていったが、正直な夫婦がその家に住むようになってから、毎日通ってきて、「私の家を返せ、私の富を返せ。」とじゃまをした。また、神様がいらっしゃったので、「このように毎日じゃましに来ます。」と言ったら、「それじゃあ何時頃来るかね。」「何時頃来ます。」「それならば、これくらいのマーイサー(注2)を、火のようにまっ赤に焼きなさい。そして猿が来る時間が分かっているならば、その時に焼いてそこに置いておくといい。」とおっしゃった。やがて猿が来て、そのマーイサーの上に座わったら、尻は焼けて赤くなったそうだよ。 |
| 全体の記録時間数 | 3:35 |
| 物語の時間数 | 3:35 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |