田場大工と牛ぬい大工(方言)

概要

田場(たーば)大工(じぇーく)の話はね、(それに対して)牛(うし)ぬい大工(じぇーく)といって、また秀れた大工がいたそうだ。その田場大工は手業が早く、牛ぬい大工は鋭かったようだ。秀れた大工で仕上がりは良かったが(鈍いので)牛ぬい大工というそうだ。牛は歩くのも鈍いでしょう。それで牛ぬい大工という。そうして、首里城を造るときにその二人が一緒になったそうだ。牛ぬい大工は鈍いという事で、誰が腕はいいだろうかと、王様が二人ともこちらに来るようにと呼ばれて行った。「二人のうち誰が上手か。」と聞くと、二人とも、「彼が上手です。私は彼ほどではないです。」と言ったそうな。「では試しにお前たちそれぞれの得意の業がある筈だから、一つ作って見せてくれないか。」と言われた。そこで、牛ぬい大工はね、一週間も道具ばかり研いでいたそうだ。そうしたら田場大工は早くて、あっという間に作り、「私の得意な物はこれです。」と、立派に作って持って行った。それでも牛ぬい大工はまだまだ道具を研いでいた。そうしたら王様が、「お前はまだ道具を研いでいるのか。」と言われると、「はい」と答えた。「田場大工はもうとっくに作って、私の所に持って来てあるが。」「そうですか。でも何月何日までと決められているのですから、その日までに作ればいいんじゃないですか。」「そうか、それでその日までにはお前は作ることができるか。」と言われた。それでも、今日という日まで道具を研いで、一週間たっても道具を研いでいた。「もうお前にはできない、駄目だ。」と怒鳴られたそうだ。すると、木の枝を持って来て、二つに切ってね、二つに割ってから、また引っ付けた。引っ付けて綱で縛りつけてあのリングムイ(龍潭)に投げたそうだ。投げてから、「あの綱はまだ池に浮いていますから、あの綱をほどいて見て下さい。そのようになさると解ります。」と言った。そして、木の枝を取ってほどいて見たら、水を吸ってなかった。水を吸ってなかったので「さあ、大変なことだ。」とびっくりした。今度は梅の木が首里城にあったそうだ。(王様が)とても大事にしている梅の木を掃除人夫が、掃除をしながら誤まって枝を折ってしまったそうだ。もうどうするか、大変な事になってしまった。「もう、あの牛ぬい大工を連れて来て、王様が見ないうちに彼だったらどうにか引っ付ける事ができるかも知れない。」と考えた。「もう折ってしまった。王様が庭廻りにいらっしゃると叱られるので、どうにかして引っ付けてくれないか。」と牛ぬい大工に頼んだ。「何日までですか。」と聞くと、「そうね、一週間では花も咲き終わったと言えるから、一週間保てばよいでしょう。」となった。そうして、(枝を)切り直して引っ付けると、そのままずっと育ったということである。それから、田場大工と牛ぬい大工の差がついたようだ。鈍いのは鈍いが大工としてはやっぱり上だったのだろう。道具を研ぐのが長かったので、牛ぬい大工と言ったそうだ。手業は重くみずに、本当の極秘の手があったんだろうね。田場大工なんだという話があるかね。とても荒い人には、「大工ではない、田場大工だよ。」というのは、その話から出たことなんだよ。

再生時間:5:02

民話詳細DATA

レコード番号 47O371925
CD番号 47O37C083
決定題名 田場大工と牛ぬい大工(方言)
話者がつけた題名 田場大工と牛ぬい大工
話者名 新城平永
話者名かな あらしろへいえい
生年月日 19210305
性別
出身地 沖縄県読谷村宇座
記録日 19830222
記録者の所属組織 読谷ゆうがおの会
元テープ番号 読谷村宇座T12B03
元テープ管理者 読谷村立歴史民俗資料館
分類 12
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料 読谷村民話資料集6宇座の民話 P135
キーワード 田場大工は,手業が早い,牛ぬい大工は鋭かった,首里城,王様,木の枝,リングムイ,梅の木
梗概(こうがい) 田場(たーば)大工(じぇーく)の話はね、(それに対して)牛(うし)ぬい大工(じぇーく)といって、また秀れた大工がいたそうだ。その田場大工は手業が早く、牛ぬい大工は鋭かったようだ。秀れた大工で仕上がりは良かったが(鈍いので)牛ぬい大工というそうだ。牛は歩くのも鈍いでしょう。それで牛ぬい大工という。そうして、首里城を造るときにその二人が一緒になったそうだ。牛ぬい大工は鈍いという事で、誰が腕はいいだろうかと、王様が二人ともこちらに来るようにと呼ばれて行った。「二人のうち誰が上手か。」と聞くと、二人とも、「彼が上手です。私は彼ほどではないです。」と言ったそうな。「では試しにお前たちそれぞれの得意の業がある筈だから、一つ作って見せてくれないか。」と言われた。そこで、牛ぬい大工はね、一週間も道具ばかり研いでいたそうだ。そうしたら田場大工は早くて、あっという間に作り、「私の得意な物はこれです。」と、立派に作って持って行った。それでも牛ぬい大工はまだまだ道具を研いでいた。そうしたら王様が、「お前はまだ道具を研いでいるのか。」と言われると、「はい」と答えた。「田場大工はもうとっくに作って、私の所に持って来てあるが。」「そうですか。でも何月何日までと決められているのですから、その日までに作ればいいんじゃないですか。」「そうか、それでその日までにはお前は作ることができるか。」と言われた。それでも、今日という日まで道具を研いで、一週間たっても道具を研いでいた。「もうお前にはできない、駄目だ。」と怒鳴られたそうだ。すると、木の枝を持って来て、二つに切ってね、二つに割ってから、また引っ付けた。引っ付けて綱で縛りつけてあのリングムイ(龍潭)に投げたそうだ。投げてから、「あの綱はまだ池に浮いていますから、あの綱をほどいて見て下さい。そのようになさると解ります。」と言った。そして、木の枝を取ってほどいて見たら、水を吸ってなかった。水を吸ってなかったので「さあ、大変なことだ。」とびっくりした。今度は梅の木が首里城にあったそうだ。(王様が)とても大事にしている梅の木を掃除人夫が、掃除をしながら誤まって枝を折ってしまったそうだ。もうどうするか、大変な事になってしまった。「もう、あの牛ぬい大工を連れて来て、王様が見ないうちに彼だったらどうにか引っ付ける事ができるかも知れない。」と考えた。「もう折ってしまった。王様が庭廻りにいらっしゃると叱られるので、どうにかして引っ付けてくれないか。」と牛ぬい大工に頼んだ。「何日までですか。」と聞くと、「そうね、一週間では花も咲き終わったと言えるから、一週間保てばよいでしょう。」となった。そうして、(枝を)切り直して引っ付けると、そのままずっと育ったということである。それから、田場大工と牛ぬい大工の差がついたようだ。鈍いのは鈍いが大工としてはやっぱり上だったのだろう。道具を研ぐのが長かったので、牛ぬい大工と言ったそうだ。手業は重くみずに、本当の極秘の手があったんだろうね。田場大工なんだという話があるかね。とても荒い人には、「大工ではない、田場大工だよ。」というのは、その話から出たことなんだよ。
全体の記録時間数 5:02
物語の時間数 5:02
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

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