黒金座主と北谷王子(方言)

概要

黒金座主(くるかにざーし)はね、あれは坊さんだよ、仏教の。それで明の時代に中国へ行き、あそこで武術も学問もいろんなものを習って坊さんとして帰ってきた。忍術も習ったが、それをいいことに使えばいいのだが、あまりにもぜいたく者なので、その忍術で女ばかりをたぶらかして騙していた。きれいな女はみんな(黒金座主が)騙したりしていた。なにか、若狭町護道院といって、お寺、(黒金座主は)そこの住職だったようだ。そこの住職であったらしいんだが、百姓、侍の分けなく美しい女を術で騙していた。あまりにもそれはひどかったので、今度は、国王が北谷王子(ちゃたんおうじ)に、北谷王子という人に、「お前だったら治めて殺すことができるだろう。」と行かされたんだね。そこで、(北谷王子と黒金座主は)碁を打ったようだ。「さあ座主、きょうは私と碁でも勝負してみよう。」「ああよろしいとも。」と碁の打ち合いをした。負けそうになると術をかけて逃げる考えでいた。言うや否や北谷王子に碁を負けそうになったので、忍術をかけて逃げようとした。しかし、北谷王子の持っている刀には忍術はかからず、「お前は、人を騙せても私を騙すことはできないだろう。座主、ここに座われ。」と言った。座わらせてから、「お前は坊さんとしての仏の道というのを知っているか。」と言うと、もうアッハッハーと笑って、「私はこれが仕事ですのに、仏の道は、仏事のことだったら私を負かすのはいないでしょう。」と言った。「そうか、それではこの仏の道をお前が私に説いてくれ。」「そうします。」と言った。そして、「釈迦如来を御始めになられて、薬師如来の世に、世の中に広めて、この世で悪事をして、あの世に行って、良い事ができないならば、これ仏の身の導き、車長の橋を渡らせ、五論五条の道を説き、極楽の道に行かす事が、これが仏の教えでございます。」と言った。「ええ、そうか。そうであるのにお前は生きている間悪いことばかりして、女を騙し御内原から歩くということは、これが仏の道というものか。」と言われて、もう返す言葉がなくて術かけて逃げようとした。しかし逃げることはできず、(北谷王子が)「お前の術は私にはかからないので、もう一度碁を打って今度お前が負けても命まではとらずに賭をしてみよう。」と言うと、「そうしていいですよ。」と答えた。「お前、座主が負けると二つの耳を削がれるか。」「よろしいですよ。」「貴方が負けるとどうしますか。」「お前のいいようにしなさい。殺されてもいい。」「本当ですね。」と話し合った。しかし今度も、(黒金座主は)北谷王子に負けたので、術をかけて逃げようとした。(北谷王子は)うつらうつらしていたが、術はまともにかからず、(黒金座主は)後から耳二つ削がれてしまった。削がれたので、「耳二つ無くなって迷惑をかけるより殺してくれ。」と言ったので、すぐ北谷王子は後から刀をかけたようだ。殺されたので、「七後生をかけてもその恨みは、私は忘れないよ、北谷王子!」と言って倒れた。それから(黒金座王が)化けて、北谷王子の屋敷、首里の大村御殿の周辺から夜な夜な耳切坊上が出るということであった。それで童歌にも歌われているよ。「大村御殿の側に 耳切り坊上が立つよ 何と何を持っていたか 刀と包丁を待っていたよ。」と歌があるだろう。この話から出た歌だよ。黒金座主の話はこれだけだよ。

再生時間:5:25

民話詳細DATA

レコード番号 47O371919
CD番号 47O37C083
決定題名 黒金座主と北谷王子(方言)
話者がつけた題名 黒金座主と北谷王子
話者名 新城平永
話者名かな あらしろへいえい
生年月日 19210305
性別
出身地 沖縄県読谷村宇座
記録日 19830222
記録者の所属組織 読谷ゆうがおの会
元テープ番号 読谷村宇座T12A12
元テープ管理者 読谷村立歴史民俗資料館
分類 20
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料 読谷村民話資料集6宇座の民話 P238
キーワード 黒金座主,坊さん,明の時代に中国へ,武術や学問,忍術で女を騙した,若狭町護道院の住,国王北谷王子,碁,座主が負けると二つの耳を削ぐ,北谷王子の屋敷,首里の大村御殿の周辺,耳切坊主
梗概(こうがい) 黒金座主(くるかにざーし)はね、あれは坊さんだよ、仏教の。それで明の時代に中国へ行き、あそこで武術も学問もいろんなものを習って坊さんとして帰ってきた。忍術も習ったが、それをいいことに使えばいいのだが、あまりにもぜいたく者なので、その忍術で女ばかりをたぶらかして騙していた。きれいな女はみんな(黒金座主が)騙したりしていた。なにか、若狭町護道院といって、お寺、(黒金座主は)そこの住職だったようだ。そこの住職であったらしいんだが、百姓、侍の分けなく美しい女を術で騙していた。あまりにもそれはひどかったので、今度は、国王が北谷王子(ちゃたんおうじ)に、北谷王子という人に、「お前だったら治めて殺すことができるだろう。」と行かされたんだね。そこで、(北谷王子と黒金座主は)碁を打ったようだ。「さあ座主、きょうは私と碁でも勝負してみよう。」「ああよろしいとも。」と碁の打ち合いをした。負けそうになると術をかけて逃げる考えでいた。言うや否や北谷王子に碁を負けそうになったので、忍術をかけて逃げようとした。しかし、北谷王子の持っている刀には忍術はかからず、「お前は、人を騙せても私を騙すことはできないだろう。座主、ここに座われ。」と言った。座わらせてから、「お前は坊さんとしての仏の道というのを知っているか。」と言うと、もうアッハッハーと笑って、「私はこれが仕事ですのに、仏の道は、仏事のことだったら私を負かすのはいないでしょう。」と言った。「そうか、それではこの仏の道をお前が私に説いてくれ。」「そうします。」と言った。そして、「釈迦如来を御始めになられて、薬師如来の世に、世の中に広めて、この世で悪事をして、あの世に行って、良い事ができないならば、これ仏の身の導き、車長の橋を渡らせ、五論五条の道を説き、極楽の道に行かす事が、これが仏の教えでございます。」と言った。「ええ、そうか。そうであるのにお前は生きている間悪いことばかりして、女を騙し御内原から歩くということは、これが仏の道というものか。」と言われて、もう返す言葉がなくて術かけて逃げようとした。しかし逃げることはできず、(北谷王子が)「お前の術は私にはかからないので、もう一度碁を打って今度お前が負けても命まではとらずに賭をしてみよう。」と言うと、「そうしていいですよ。」と答えた。「お前、座主が負けると二つの耳を削がれるか。」「よろしいですよ。」「貴方が負けるとどうしますか。」「お前のいいようにしなさい。殺されてもいい。」「本当ですね。」と話し合った。しかし今度も、(黒金座主は)北谷王子に負けたので、術をかけて逃げようとした。(北谷王子は)うつらうつらしていたが、術はまともにかからず、(黒金座主は)後から耳二つ削がれてしまった。削がれたので、「耳二つ無くなって迷惑をかけるより殺してくれ。」と言ったので、すぐ北谷王子は後から刀をかけたようだ。殺されたので、「七後生をかけてもその恨みは、私は忘れないよ、北谷王子!」と言って倒れた。それから(黒金座王が)化けて、北谷王子の屋敷、首里の大村御殿の周辺から夜な夜な耳切坊上が出るということであった。それで童歌にも歌われているよ。「大村御殿の側に 耳切り坊上が立つよ 何と何を持っていたか 刀と包丁を待っていたよ。」と歌があるだろう。この話から出た歌だよ。黒金座主の話はこれだけだよ。
全体の記録時間数 5:25
物語の時間数 5:25
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

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