
渡嘉敷ペークーはね、この人は、例えば、本土の大久保彦左衛門みたいな人で、知恵者なんだね。それで、王様ともたいそうの仲良しで話題も多かったようだ。そこで、(王様は)「今日もまたペークーを呼んで、碁を打ちながら、ペークーは字も達筆なので……。」と、ペークーは学者でもあるわけだね。「遊びに来なさい。」と、(王様から)合図がきたので、ペークーは王様の所へ準備して出かけた。そして、「何の御用ですか。」と言うと、「あの、床のね、床の掛け軸よ、床の掛け軸に福禄寿とあるだろう。」と。〈それがもう一番上等といって。福禄寿は福徳の神のことでしょう。禄はみどりのことで若々と、寿はことぶきのことで長生きして下さいという意味のね。〉それで、もう「福禄寿」が一番上等だと王様は考えていらした。「福禄寿以上の掛け軸、お前は字も達者だし、ペークー、私に、福禄寿以上の掛け軸をひとつ書いて呉れないか。」と言うと、「はい、何でしょうか。福禄寿以上の掛け軸を書けとおっしゃるのですか。それは難しいです。もう福徳の福であり、禄はみどりだし、年も百二十才まであやからせて下さいという福禄寿ですのに、それ以上の物がありましょうか。」と答えた。「んーん、お前にならそれ以上の物が書けるだろうに。」と言うと、「それでは考えて書いてみましょう。」ということになった。さっそく部下達に、「墨、筆を持って来い。今ペークーに、福禄寿以上の掛け軸を書かすので。」と言った。墨、筆を持って来ると、ペークーは「よろしいですか、書きますよ。」と準備して、文鎮を置いて、王様の前で、「親元に、子死に、孫死に」と書いたそうだ。そうすると、王様は怒ってね。「こいつは私をからかっているな。」と怒ると、(ペークーは)もう福禄寿以上の字の掛け軸は、これ以上は私には考えることができません。これはもう福禄寿以上です。」と言った。「どうして、お前はそう言うのか、『親死に子死に孫死に』そのような掛け軸がどこにあるのか。」と言うと、「貴方がそうおっしゃったので、もう書きましたよ。福禄寿以上の宇はこれより他にはありません。」「それは何か、お前の物は意味があるのか。」と。「あります。まず、私が申し上げますので聞いて下さい。貴方も九十七才のカジマヤーを終えて極楽をかける。そして貴方の子も貴方をあやかって、また九十七才のカジマヤーを拝し極楽をかける。その孫も祖父母をあやかって、ちょうど同じように長寿を拝された。こうなると福禄寿以上のものはこれです。それを反対に考えると、貴方ひとり生きていてね、孫や子供たちが先に亡くなるとそれは何の意味もないですよ。これですよ、福禄寿以上の物は。」と、(ペークーが)説明すると、「でかしたぞペークー」と、「そうだ、お前が言う通りだ。」と誉められたという話である。ペークーの話はこういう話もあるよ。
| レコード番号 | 47O371826 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C079 |
| 決定題名 | 渡嘉敷ぺークー 掛け軸(方言) |
| 話者がつけた題名 | 渡嘉敷ぺークー |
| 話者名 | 新城平永 |
| 話者名かな | あらしろへいえい |
| 生年月日 | 19210305 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村宇座 |
| 記録日 | 19830222 |
| 記録者の所属組織 | 読谷ゆうがおの会 |
| 元テープ番号 | 読谷村宇座T09B10 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 13 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 読谷村民話資料集6宇座の民話 P95 |
| キーワード | 渡嘉敷ペークー,大久保彦左衛門,知恵者,王様と仲良し,碁打ち,床の掛け軸,福禄寿,福徳の神,福禄寿以上の掛け軸,「親元に、子死に、孫死に」,九十七才のカジマヤーを終えて極楽 |
| 梗概(こうがい) | 渡嘉敷ペークーはね、この人は、例えば、本土の大久保彦左衛門みたいな人で、知恵者なんだね。それで、王様ともたいそうの仲良しで話題も多かったようだ。そこで、(王様は)「今日もまたペークーを呼んで、碁を打ちながら、ペークーは字も達筆なので……。」と、ペークーは学者でもあるわけだね。「遊びに来なさい。」と、(王様から)合図がきたので、ペークーは王様の所へ準備して出かけた。そして、「何の御用ですか。」と言うと、「あの、床のね、床の掛け軸よ、床の掛け軸に福禄寿とあるだろう。」と。〈それがもう一番上等といって。福禄寿は福徳の神のことでしょう。禄はみどりのことで若々と、寿はことぶきのことで長生きして下さいという意味のね。〉それで、もう「福禄寿」が一番上等だと王様は考えていらした。「福禄寿以上の掛け軸、お前は字も達者だし、ペークー、私に、福禄寿以上の掛け軸をひとつ書いて呉れないか。」と言うと、「はい、何でしょうか。福禄寿以上の掛け軸を書けとおっしゃるのですか。それは難しいです。もう福徳の福であり、禄はみどりだし、年も百二十才まであやからせて下さいという福禄寿ですのに、それ以上の物がありましょうか。」と答えた。「んーん、お前にならそれ以上の物が書けるだろうに。」と言うと、「それでは考えて書いてみましょう。」ということになった。さっそく部下達に、「墨、筆を持って来い。今ペークーに、福禄寿以上の掛け軸を書かすので。」と言った。墨、筆を持って来ると、ペークーは「よろしいですか、書きますよ。」と準備して、文鎮を置いて、王様の前で、「親元に、子死に、孫死に」と書いたそうだ。そうすると、王様は怒ってね。「こいつは私をからかっているな。」と怒ると、(ペークーは)もう福禄寿以上の字の掛け軸は、これ以上は私には考えることができません。これはもう福禄寿以上です。」と言った。「どうして、お前はそう言うのか、『親死に子死に孫死に』そのような掛け軸がどこにあるのか。」と言うと、「貴方がそうおっしゃったので、もう書きましたよ。福禄寿以上の宇はこれより他にはありません。」「それは何か、お前の物は意味があるのか。」と。「あります。まず、私が申し上げますので聞いて下さい。貴方も九十七才のカジマヤーを終えて極楽をかける。そして貴方の子も貴方をあやかって、また九十七才のカジマヤーを拝し極楽をかける。その孫も祖父母をあやかって、ちょうど同じように長寿を拝された。こうなると福禄寿以上のものはこれです。それを反対に考えると、貴方ひとり生きていてね、孫や子供たちが先に亡くなるとそれは何の意味もないですよ。これですよ、福禄寿以上の物は。」と、(ペークーが)説明すると、「でかしたぞペークー」と、「そうだ、お前が言う通りだ。」と誉められたという話である。ペークーの話はこういう話もあるよ。 |
| 全体の記録時間数 | 4:24 |
| 物語の時間数 | 4:24 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |