屋良ムルチ(方言)

概要

七ケ月旱魃が続いた。〈屋号は分らなくなってしまったが。〉ある所の、何の相だったか、同年生の娘
が二ケ所にいた。一カ所は金持ちの娘で、もう一カ所は貧乏者の子で、しかも父親が盲であった。その盲人の最初の妻、その娘を生んだ親は、夫が盲になったので、夫と子供をおきざりにして離婚していた。そしてまた他の所で再婚していたようだね。それから、その盲の父親が、その子供にお乳を飲まそうとあちらこちらお乳を乞いて歩いていた。それをある女の人が、とてもかわいそうで見ていられないとその盲人の妻になって子供を育てるようになった。そして、その金持ちの娘と、その盲の娘が指名された。それは、七カ月も旱魃が続き、(屋良ムルチの)蛇にいけにえとして娘を喰わさない限り雨は降らないということである。上からそんな命令が下った。もちろん両方の家とも、どうしてもできないと言い張った。すると、この金持ちの人が、「私たちの娘の代わりに、お前たちの子をいけにえにさせたら、お金をたくさんあげる。」と言い出した。貧乏人の娘は、お金があれば親孝行できると思い「私がいけにえとして喰われに行く。」と言った。その娘を育てた継親は、「お金があるからといって人をばかにして、そんなこともするのか。」と言い非常に怒った。そうして、「私たちの娘は、いけにえにされませんように。」と、ビンス道具を持って嶽々を拝んで歩いた。いよいよいけにえにされるときがきた。白い着物を着て、屋良ムルチに行った。すると、その娘を神様が助けて、(蛇に)喰われずにすんだ。また、神様から、ヌブシの玉といって黄金玉だが、それを与えられた。そのヌブシの玉というのは、その玉を見ると、どんなことでも願いがかなえられるという、その玉を見た父親は、目が開き、「ああ、私の妻はこんなに美人だったのか。」などと、感激した。そんな話だったよ。屋良ムルチの伝説は。

再生時間:3:01

民話詳細DATA

レコード番号 47O371806
CD番号 47O37C078
決定題名 屋良ムルチ(方言)
話者がつけた題名 屋良ムルチ
話者名 長浜ウト
話者名かな ながはまうと
生年月日 19100525
性別
出身地 沖縄県読谷村宇座
記録日 19830222
記録者の所属組織 読谷ゆうがおの会
元テープ番号 読谷村宇座T09A02
元テープ管理者 読谷村立歴史民俗資料館
分類 20
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料 読谷村民話資料集6宇座の民話 P242
キーワード 七ケ月旱魃,金持ちの娘,貧乏者の子,父親が盲,蛇にいけにえ,親孝行,ビンス道具,嶽々を拝んだ,屋良ムルチ,神様が助けた,ヌブシの玉と,黄金玉,父親は目が開いた
梗概(こうがい) 七ケ月旱魃が続いた。〈屋号は分らなくなってしまったが。〉ある所の、何の相だったか、同年生の娘 が二ケ所にいた。一カ所は金持ちの娘で、もう一カ所は貧乏者の子で、しかも父親が盲であった。その盲人の最初の妻、その娘を生んだ親は、夫が盲になったので、夫と子供をおきざりにして離婚していた。そしてまた他の所で再婚していたようだね。それから、その盲の父親が、その子供にお乳を飲まそうとあちらこちらお乳を乞いて歩いていた。それをある女の人が、とてもかわいそうで見ていられないとその盲人の妻になって子供を育てるようになった。そして、その金持ちの娘と、その盲の娘が指名された。それは、七カ月も旱魃が続き、(屋良ムルチの)蛇にいけにえとして娘を喰わさない限り雨は降らないということである。上からそんな命令が下った。もちろん両方の家とも、どうしてもできないと言い張った。すると、この金持ちの人が、「私たちの娘の代わりに、お前たちの子をいけにえにさせたら、お金をたくさんあげる。」と言い出した。貧乏人の娘は、お金があれば親孝行できると思い「私がいけにえとして喰われに行く。」と言った。その娘を育てた継親は、「お金があるからといって人をばかにして、そんなこともするのか。」と言い非常に怒った。そうして、「私たちの娘は、いけにえにされませんように。」と、ビンス道具を持って嶽々を拝んで歩いた。いよいよいけにえにされるときがきた。白い着物を着て、屋良ムルチに行った。すると、その娘を神様が助けて、(蛇に)喰われずにすんだ。また、神様から、ヌブシの玉といって黄金玉だが、それを与えられた。そのヌブシの玉というのは、その玉を見ると、どんなことでも願いがかなえられるという、その玉を見た父親は、目が開き、「ああ、私の妻はこんなに美人だったのか。」などと、感激した。そんな話だったよ。屋良ムルチの伝説は。
全体の記録時間数 3:01
物語の時間数 3:01
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

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