山神と童子(方言)

概要

昔、中城伊舎堂にある真面目な青年がいたそうだ。その青年は、字の農道の道普請しているとき、一生懸命働いていた。青年は真面目で、汗水を流して働いていたようだね。その様子を遠い所から八十歳くらいのおじいさんが見て、「この青年は真面目だなあ。」と思ったようだね。それからお昼になり、昔のことだから弁当は何だったかよく知らないが、青年は弁当を食べようとしたんだ。すると、そこへおじいさんが来てね、「おれは飯を食べなくなってから、もう二、三日もなる、あなたの弁当を半分分けてくれないか。」と言った。「はい、どうぞお上がり。」と言い、青年は半分分けてあげた。青年はそのおじいさんが帰って後、また午後の仕事にとりかかった。また、そのおじいさんは遠くから青年を見て、「真面目な青年だなあ。」と感心した。またおじいさんは翌日も来てね、遠い所から青年が仕事するのを見ていたらしいんだ。「いいなあ。」と。またお昼になったので、「きのうあなたから分けてもらった分しか食べてない、今日も半分食べさせてくれないか。」とおじいさんは言ったらしいんだね。「どうぞ」と言ってまた半分分けてあげたようだね。「ありがとう。」と礼を言い、おじいさんは帰って行った。それから、三日めもその青年が仕事をするのを遠くからおじいさんは見ていたようで、「なんて偉いんだろう。」と、その日のお昼にもまた来て、おじいさんは、「あの、あなたが食べさせてくれた他には全然何も食べてないから、半分分けてくれ。」と言ったようだね。その青年は、「このおじいさんは普通の人ではないなあ。」と考えたわけだ。そして今度は、弁当を全部おじいさんに食べさせようとしたんだ。「私はいいから全部めし上がって下さい。」と。するとおじいさんは、「いや、もう欲しくはない、私はあなたの心を試そうとしてこんなふうに食べさせてくれと言っている、君は誠実な人だから、私は北の海の神なんだが、君に宝を与えよう、何月何日にどこそこへ来なさい。」と話された。青年とおじいさんは相談し、青年は神様のおっしゃることだからと、「はい」と返事をしたんだ。「ただし、まっすぐ北の海へ来たら宝を与えるが、より道でもしようものなら宝はないよ。」と、神であるおじいさんは言ったらしいんだ。青年はまたも、「はい」と答えた。それから、(青年は北の海をめざして出発した。)昔のことなので途中に冷たい物、飲み物を売っている店もない。青年は人の家へ行って冷たい水を貰うことにした。ある侍の家へ行き、「冷たい水を少し飲ませてくれませんか。」と声をかけたら、「内へ入ってお茶をお上がり。」と言われ、中で休むことにした。侍が、「どうしたんだね若者よ、どこに行くのか。」と聞かれ、「私はこうこうで北の海の神と相談し、今日宝を貰うことになっていて、そこへ行く途中です。」と答えた。「そうか、その神様なら何でも知っておられるはずだから、私の頼みを聞いて来てくれ。」「何でしょうか。」「私達の娘のことなんだが、親同志で縁組したらば物を言わなくなってしまった。〈唖のことだよ〉不思議でしょうがない、どうしてか神様に習ってきてくれないか。」「なるほど、そんなこともあるんですか、私はもう宝は貰わなくてもいいから聞いて来ます。」と言って、青年はその家から発った。それからどんどん北をめざし歩いて行ったようだね。お昼になったので、その青年は、弁当を食べようとしたんだ。すると、通り道の側の家に八十歳ぐらいのおじいさんとおばあさんが座わっていらした。青年が、「ここでいっとき弁当を食べさせて下さいな。」と、お願いしたら、「内へ入ってお茶を飲みながら食べるといいよ。」と返事がかえってきた。その家で弁当を食べ終えてから話をすると、「ところでにいさん、お前はどこへ行くのかね。」と、「私はこうこうで、北の海の神様から今日宝を買いに行くんですよ。」と言った。「そうか、その神様なら何でも御存知のはずだから、私達の庭に植えてある九年母の木のことなんだが、私達の一年中のお茶代と煙草代をこの九年母でまかなっているんだが、今年はすぐに枯れてしまって…。不思議でたまらない。その神様ならきっと分るはずだから、聞いてきてくれないか。」とおじいさんとおばあさんはおっしゃった。青年は、「これは一人のことを聞いても二人のことを聞いても同じことだ、もう宝は貰わなくていいから聞いて来ます。待っていて下さい。」「どうか聞いてきてくれ。」と、話し合い行ったようだね。ついに北の海へ着いたようだね。そこでもまた、八十歳ぐらいのおばあさんがね、そこに立っているんだが、「どうしたんだね若者よ、お前はどこに行くのかね。」と聞いてきた。「私はここの神様に会って宝物を貰いに来ているわけなんだが、どこへ行けばいいのか分らなくなってしまった。」「ああ、そんなことなら私が教えてあげよう、またその神様は私のことをよく知っておられるはずだから。」とおばあさんは言った。そのおばあさんも天の人だったそうだよ。そして、「私はいつもは天に上がることはたやすいんだが、今日はなぜか全然上がれない、どうしてか神様から聞いて教えてくれ。」とおばあさんは言った。「分りました、聞いてきます。」と青年は答えた。青年は、「あの、ここは道はないのですが、どこから行きますか。」とおばあさんに聞くと、「道なら私が造ってあげよう。」と言った。おばあさんは、「神様の家はこちら側だから。」と指をさすと、潮が(両側に)引いていき、道になったようだね。それから神様の家へ行くと、「やっぱり来たね。」「はい」「それじゃあ、お前はどこにも寄らずにまっすぐ来たか。」「いや、入りました。私はもう宝は貰わなくてもいいですから、私が質問することに対し全部教えて下さい。」と青年は言った。「何だね」「あの浜辺の方に八十歳ぐらいのおばあさんがいらして、天へ上がろうとしておられるのだがいつもは簡単に上がれるのに今日はいっこうにうまくいかないそうで、どうしたらいいか教えて下さい。」と言うと、神様は、「そうか、そのおばあさんはいつもは自分で(宝を)一つ持って上がるのだが、今日は二つ持っておられる、欲があるのでその中の一個をそのおばあさんが恋しいと思う人にあげなさい、と教えなさい。」「そうですか。」「そうだよ。」と神様は教えて下さった。「ところで質問はこれだけか。」と神様は言われたので、青年はみかんの木のことを話したようだね。「あのとてもよく実っていたみかんが、今年はすぐに枯れてしまったようで、これはどうしてかと聞いて来てくれと頼まれていますが。」と言った。神様は、「それは、みかんの木の三尺下に黄金があるはずだが(掘ってごらんなさい。)きっと二つ入っているはずだから、その霊力が強くてそれで枯れてしまっているから、それを掘り出し、『あなたたちがいとしい人に、その人に一つ分けてあげなさい』と言いなさい。」と教えてくれた。「どうもありがとうございます。」と青年は礼を言った。また神様は、「もう、これだけかね。」と言われた。「ああ、私はもう一つ頼まれていたので、そのことについて教えて下さい。」「何だね。」「あの一人娘なんですが、親が縁組する前は、ちゃんと話しはできたのですが、親同志で縁組したらば全然話しをしなくなり唖のようになってしまったようで、どういう意味があるのでしょうか。」と聞いた。「これは、親同志で縁組したのは悪縁で、縁が合わないからそうなったんだよ、それは、その家に来た人で、娘が最初に話しかける人と縁組させなさい。その人と結婚させ、婿養子をとりなさい。」と教えてくれた。青年は、「どうもありがとうございます。」と礼をのべた。そして、神様はその青年にこんなことをおっしゃった。「もし、お前がこれだけの頼みを聞いてこなかったら…、私はここに宝は何にもないんだがね。帰る途中でたくさんの宝に出会うよ。」神様はそう言って、二人は別れて行った。それから青年は浜に行ったんだね。天に上がろうとしているおばあさんに、「おばあさんはいつもは宝を一つ持っていらっしゃるのだが、今日は欲ばって二つ持って行こうとするから上がれないそうだよ、一つは持って行き、一つはあなたのいとしい人にあげなさい。」と言った。「それじゃあ、お前しかいない、お前が一つ持って行きなさい。」と言って、その青年に宝を一つ貰わしたようだね。それから今度は、みかんのことでおじいさんとおばあさんの所へ行った。「この木は、三尺下に黄金の入った甕が二つあるから、それを掘り出して一つはあなたたちの好きな人にあげるといい〈黄金というのは、今では金に当たるかな、昔は黄金、黄金といっていたから〉。」と教えた。掘ってみるとやはり二つあったそうだ。おじいさんが、「もうお前が来なかったら分らなかった。お前の他に好きな人はいないから一つはお前のものにしなさい。」と言って分けてあげた。そうして、どんどん前へ行った。唖のようになってしまった侍の娘の所へ行ったわけだ。「どうだ、聞いてきたか、若者よ!」「はい聞いて来ました。神様は貴方たちの縁組、親同志で決めた縁組は悪縁だから、その娘が入って来て同時に、出て行こうとしている人に物を言うはずだから、その人と結婚させなさいとおっしゃっていました。」と教えた。侍は、「どうもありがとう」と礼を言った。青年が出て行こうとすると、門まで行かないうちに、その娘が、「今ここに来ていたのは、どこの若者ですか。」と物を言ったようだね。そして、女中にその青年は呼びとめられて、その家の婿養子になることになった。そうだね、誠をしたから何もかもその青年に福があたったわけだよ。黄金を分けてもらい、侍の家の婿養子になり、一生幸福に暮らしたそうだ。ついには、誠をしたから、宝となったんだね。これが誠の由来だよ。

再生時間:5:01

民話詳細DATA

レコード番号 47O371455
CD番号 47O37C064
決定題名 山神と童子(方言)
話者がつけた題名 誠や後ぬ宝
話者名 宮城正栄
話者名かな きやぎせいえい
生年月日 19001025
性別
出身地 沖縄県読谷村儀間
記録日 19811121
記録者の所属組織 読谷ゆうがおの会
元テープ番号 読谷村儀間T10A16
元テープ管理者 読谷村立歴史民俗資料館
分類 12
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料
キーワード 中城伊舎堂,真面目な青年,道普請,弁当,心試し,北の海の神,宝,親同志で縁組,物を言わない,八十歳の老夫婦,九年母の木,神様の家,八十ぐらいのお婆さん,天へ上がる,宝を一つわける,みかんの木の三尺下に黄金,娘が最初に話しかける人と縁組,婿養子
梗概(こうがい) 昔、中城伊舎堂にある真面目な青年がいたそうだ。その青年は、字の農道の道普請しているとき、一生懸命働いていた。青年は真面目で、汗水を流して働いていたようだね。その様子を遠い所から八十歳くらいのおじいさんが見て、「この青年は真面目だなあ。」と思ったようだね。それからお昼になり、昔のことだから弁当は何だったかよく知らないが、青年は弁当を食べようとしたんだ。すると、そこへおじいさんが来てね、「おれは飯を食べなくなってから、もう二、三日もなる、あなたの弁当を半分分けてくれないか。」と言った。「はい、どうぞお上がり。」と言い、青年は半分分けてあげた。青年はそのおじいさんが帰って後、また午後の仕事にとりかかった。また、そのおじいさんは遠くから青年を見て、「真面目な青年だなあ。」と感心した。またおじいさんは翌日も来てね、遠い所から青年が仕事するのを見ていたらしいんだ。「いいなあ。」と。またお昼になったので、「きのうあなたから分けてもらった分しか食べてない、今日も半分食べさせてくれないか。」とおじいさんは言ったらしいんだね。「どうぞ」と言ってまた半分分けてあげたようだね。「ありがとう。」と礼を言い、おじいさんは帰って行った。それから、三日めもその青年が仕事をするのを遠くからおじいさんは見ていたようで、「なんて偉いんだろう。」と、その日のお昼にもまた来て、おじいさんは、「あの、あなたが食べさせてくれた他には全然何も食べてないから、半分分けてくれ。」と言ったようだね。その青年は、「このおじいさんは普通の人ではないなあ。」と考えたわけだ。そして今度は、弁当を全部おじいさんに食べさせようとしたんだ。「私はいいから全部めし上がって下さい。」と。するとおじいさんは、「いや、もう欲しくはない、私はあなたの心を試そうとしてこんなふうに食べさせてくれと言っている、君は誠実な人だから、私は北の海の神なんだが、君に宝を与えよう、何月何日にどこそこへ来なさい。」と話された。青年とおじいさんは相談し、青年は神様のおっしゃることだからと、「はい」と返事をしたんだ。「ただし、まっすぐ北の海へ来たら宝を与えるが、より道でもしようものなら宝はないよ。」と、神であるおじいさんは言ったらしいんだ。青年はまたも、「はい」と答えた。それから、(青年は北の海をめざして出発した。)昔のことなので途中に冷たい物、飲み物を売っている店もない。青年は人の家へ行って冷たい水を貰うことにした。ある侍の家へ行き、「冷たい水を少し飲ませてくれませんか。」と声をかけたら、「内へ入ってお茶をお上がり。」と言われ、中で休むことにした。侍が、「どうしたんだね若者よ、どこに行くのか。」と聞かれ、「私はこうこうで北の海の神と相談し、今日宝を貰うことになっていて、そこへ行く途中です。」と答えた。「そうか、その神様なら何でも知っておられるはずだから、私の頼みを聞いて来てくれ。」「何でしょうか。」「私達の娘のことなんだが、親同志で縁組したらば物を言わなくなってしまった。〈唖のことだよ〉不思議でしょうがない、どうしてか神様に習ってきてくれないか。」「なるほど、そんなこともあるんですか、私はもう宝は貰わなくてもいいから聞いて来ます。」と言って、青年はその家から発った。それからどんどん北をめざし歩いて行ったようだね。お昼になったので、その青年は、弁当を食べようとしたんだ。すると、通り道の側の家に八十歳ぐらいのおじいさんとおばあさんが座わっていらした。青年が、「ここでいっとき弁当を食べさせて下さいな。」と、お願いしたら、「内へ入ってお茶を飲みながら食べるといいよ。」と返事がかえってきた。その家で弁当を食べ終えてから話をすると、「ところでにいさん、お前はどこへ行くのかね。」と、「私はこうこうで、北の海の神様から今日宝を買いに行くんですよ。」と言った。「そうか、その神様なら何でも御存知のはずだから、私達の庭に植えてある九年母の木のことなんだが、私達の一年中のお茶代と煙草代をこの九年母でまかなっているんだが、今年はすぐに枯れてしまって…。不思議でたまらない。その神様ならきっと分るはずだから、聞いてきてくれないか。」とおじいさんとおばあさんはおっしゃった。青年は、「これは一人のことを聞いても二人のことを聞いても同じことだ、もう宝は貰わなくていいから聞いて来ます。待っていて下さい。」「どうか聞いてきてくれ。」と、話し合い行ったようだね。ついに北の海へ着いたようだね。そこでもまた、八十歳ぐらいのおばあさんがね、そこに立っているんだが、「どうしたんだね若者よ、お前はどこに行くのかね。」と聞いてきた。「私はここの神様に会って宝物を貰いに来ているわけなんだが、どこへ行けばいいのか分らなくなってしまった。」「ああ、そんなことなら私が教えてあげよう、またその神様は私のことをよく知っておられるはずだから。」とおばあさんは言った。そのおばあさんも天の人だったそうだよ。そして、「私はいつもは天に上がることはたやすいんだが、今日はなぜか全然上がれない、どうしてか神様から聞いて教えてくれ。」とおばあさんは言った。「分りました、聞いてきます。」と青年は答えた。青年は、「あの、ここは道はないのですが、どこから行きますか。」とおばあさんに聞くと、「道なら私が造ってあげよう。」と言った。おばあさんは、「神様の家はこちら側だから。」と指をさすと、潮が(両側に)引いていき、道になったようだね。それから神様の家へ行くと、「やっぱり来たね。」「はい」「それじゃあ、お前はどこにも寄らずにまっすぐ来たか。」「いや、入りました。私はもう宝は貰わなくてもいいですから、私が質問することに対し全部教えて下さい。」と青年は言った。「何だね」「あの浜辺の方に八十歳ぐらいのおばあさんがいらして、天へ上がろうとしておられるのだがいつもは簡単に上がれるのに今日はいっこうにうまくいかないそうで、どうしたらいいか教えて下さい。」と言うと、神様は、「そうか、そのおばあさんはいつもは自分で(宝を)一つ持って上がるのだが、今日は二つ持っておられる、欲があるのでその中の一個をそのおばあさんが恋しいと思う人にあげなさい、と教えなさい。」「そうですか。」「そうだよ。」と神様は教えて下さった。「ところで質問はこれだけか。」と神様は言われたので、青年はみかんの木のことを話したようだね。「あのとてもよく実っていたみかんが、今年はすぐに枯れてしまったようで、これはどうしてかと聞いて来てくれと頼まれていますが。」と言った。神様は、「それは、みかんの木の三尺下に黄金があるはずだが(掘ってごらんなさい。)きっと二つ入っているはずだから、その霊力が強くてそれで枯れてしまっているから、それを掘り出し、『あなたたちがいとしい人に、その人に一つ分けてあげなさい』と言いなさい。」と教えてくれた。「どうもありがとうございます。」と青年は礼を言った。また神様は、「もう、これだけかね。」と言われた。「ああ、私はもう一つ頼まれていたので、そのことについて教えて下さい。」「何だね。」「あの一人娘なんですが、親が縁組する前は、ちゃんと話しはできたのですが、親同志で縁組したらば全然話しをしなくなり唖のようになってしまったようで、どういう意味があるのでしょうか。」と聞いた。「これは、親同志で縁組したのは悪縁で、縁が合わないからそうなったんだよ、それは、その家に来た人で、娘が最初に話しかける人と縁組させなさい。その人と結婚させ、婿養子をとりなさい。」と教えてくれた。青年は、「どうもありがとうございます。」と礼をのべた。そして、神様はその青年にこんなことをおっしゃった。「もし、お前がこれだけの頼みを聞いてこなかったら…、私はここに宝は何にもないんだがね。帰る途中でたくさんの宝に出会うよ。」神様はそう言って、二人は別れて行った。それから青年は浜に行ったんだね。天に上がろうとしているおばあさんに、「おばあさんはいつもは宝を一つ持っていらっしゃるのだが、今日は欲ばって二つ持って行こうとするから上がれないそうだよ、一つは持って行き、一つはあなたのいとしい人にあげなさい。」と言った。「それじゃあ、お前しかいない、お前が一つ持って行きなさい。」と言って、その青年に宝を一つ貰わしたようだね。それから今度は、みかんのことでおじいさんとおばあさんの所へ行った。「この木は、三尺下に黄金の入った甕が二つあるから、それを掘り出して一つはあなたたちの好きな人にあげるといい〈黄金というのは、今では金に当たるかな、昔は黄金、黄金といっていたから〉。」と教えた。掘ってみるとやはり二つあったそうだ。おじいさんが、「もうお前が来なかったら分らなかった。お前の他に好きな人はいないから一つはお前のものにしなさい。」と言って分けてあげた。そうして、どんどん前へ行った。唖のようになってしまった侍の娘の所へ行ったわけだ。「どうだ、聞いてきたか、若者よ!」「はい聞いて来ました。神様は貴方たちの縁組、親同志で決めた縁組は悪縁だから、その娘が入って来て同時に、出て行こうとしている人に物を言うはずだから、その人と結婚させなさいとおっしゃっていました。」と教えた。侍は、「どうもありがとう」と礼を言った。青年が出て行こうとすると、門まで行かないうちに、その娘が、「今ここに来ていたのは、どこの若者ですか。」と物を言ったようだね。そして、女中にその青年は呼びとめられて、その家の婿養子になることになった。そうだね、誠をしたから何もかもその青年に福があたったわけだよ。黄金を分けてもらい、侍の家の婿養子になり、一生幸福に暮らしたそうだ。ついには、誠をしたから、宝となったんだね。これが誠の由来だよ。
全体の記録時間数 5:01
物語の時間数 5:01
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

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