
普天間権現というのは、グジーという名前であったようだ。そのグジーは、人に見られるのを嫌がり、いつも家の中に閉じ込もっていた。隣近所の同年の人が、グジーの妹に、「あなたの姉さんを見たい。」と言ったら、妹は、「私の姉さんは、みんなに見られるのを嫌がり、人間嫌いなんですよ。」と言った。「どうにかして、あなたの姉さんを見せてくれないか。」と言ったので、「それじゃあ、私が転んだまねをして、ンーミーよー、と叫ぶから、その時隠れていて見なさいね。」と、約束した。そして、「痛いよー、姉さん」と泣き出すと、その姉さんは芭蕉糸を紡いでいたようだが、〈「ウー、ウムン」というんだよ、その糸をつなぐことに〉紡ぐ最中に急いで飛び出し、妹を抱き起こした。(そのとき)、人に見られたということで、それから紡いでいる芭蕉糸も放り出し、そのまま普天間の穴の中へ逃げて行ってしまった。そこで、親は(大そう心配し)グジーに戻ってくれと会ってみたが、「私は、貴方の腹を借りただけです。貴方の家に生まれはしたものの、本当は腹を借りただけで、私は普通の家庭に居るものではありません。と言った。その後、その道理から、普天間権現が建てられたそうだ。また、兵隊として出征する若者が、権現を拝みに来た時に太刀を忘れたようだ。そうして、残波の方へ行ってから思い出し、「ああ、どうしたものか、太刀を忘れてしまった、困ったことになった。」と言い、普天間に向かって手を合わせ、「権現様、私は太刀を忘れてしまいました。私が帰るまで預かっていて下さい。」と祈った。すると、その太刀は、人が拝みに来たらハブに化けて、その若者が兵隊から帰って来るまで、そのままあったそうだ。ある時、ある所に、大そう病弱で、どこへも出かけたことのない者が居たそうだ。そうして、その人は、毎日、「普天間権現を拝みたい、拝みたい。」と家で言っていたそうだ。そうして、そのことが権現に通じて、雨がしとしと降るある日に、権現はその病弱な人に拝まれに自ら行こうとしていた。ちょうどその時、普天間権現を拝む人、二、三人に出会ったそうだ。「あなた方はどこへ行くのかね」と聞くと、「普天間権現を拝みに参ります。」と言った。「普天間権現は、今ここにはおいでにならないはずだよ。」と言われた。「どうしてでしょうか。」と聞くと、「それは、ある所に体が弱く歩くこともできない者が、毎日権現の話をし、(それを聞いた権現は)その人に拝まれに自から出かけになったということだよ。」と答えた。そのことを言ったのは、本当の権現であったようだ。だから、信心深い人の所へは、どこへでも拝まれに自ら、でかけになったそうだよ。
| レコード番号 | 47O371388 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C061 |
| 決定題名 | 普天間権現(方言) |
| 話者がつけた題名 | 普天間権現 |
| 話者名 | 具志堅タケ |
| 話者名かな | ぐしけんたけ |
| 生年月日 | 19140710 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村儀間 |
| 記録日 | 19800212 |
| 記録者の所属組織 | 読谷ゆうがおの会 |
| 元テープ番号 | 読谷村儀間T08A05 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 20 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 読谷村民話資料集5儀間の民話 P242 |
| キーワード | 普天間権現,グジー,人に見られるのを嫌がった,グジーの妹,姉さんを見せてくれ,転んだまね,芭蕉糸,普天間の穴の中へ逃げた,出征,太刀を忘れた,残波,病弱,信心深い人 |
| 梗概(こうがい) | 普天間権現というのは、グジーという名前であったようだ。そのグジーは、人に見られるのを嫌がり、いつも家の中に閉じ込もっていた。隣近所の同年の人が、グジーの妹に、「あなたの姉さんを見たい。」と言ったら、妹は、「私の姉さんは、みんなに見られるのを嫌がり、人間嫌いなんですよ。」と言った。「どうにかして、あなたの姉さんを見せてくれないか。」と言ったので、「それじゃあ、私が転んだまねをして、ンーミーよー、と叫ぶから、その時隠れていて見なさいね。」と、約束した。そして、「痛いよー、姉さん」と泣き出すと、その姉さんは芭蕉糸を紡いでいたようだが、〈「ウー、ウムン」というんだよ、その糸をつなぐことに〉紡ぐ最中に急いで飛び出し、妹を抱き起こした。(そのとき)、人に見られたということで、それから紡いでいる芭蕉糸も放り出し、そのまま普天間の穴の中へ逃げて行ってしまった。そこで、親は(大そう心配し)グジーに戻ってくれと会ってみたが、「私は、貴方の腹を借りただけです。貴方の家に生まれはしたものの、本当は腹を借りただけで、私は普通の家庭に居るものではありません。と言った。その後、その道理から、普天間権現が建てられたそうだ。また、兵隊として出征する若者が、権現を拝みに来た時に太刀を忘れたようだ。そうして、残波の方へ行ってから思い出し、「ああ、どうしたものか、太刀を忘れてしまった、困ったことになった。」と言い、普天間に向かって手を合わせ、「権現様、私は太刀を忘れてしまいました。私が帰るまで預かっていて下さい。」と祈った。すると、その太刀は、人が拝みに来たらハブに化けて、その若者が兵隊から帰って来るまで、そのままあったそうだ。ある時、ある所に、大そう病弱で、どこへも出かけたことのない者が居たそうだ。そうして、その人は、毎日、「普天間権現を拝みたい、拝みたい。」と家で言っていたそうだ。そうして、そのことが権現に通じて、雨がしとしと降るある日に、権現はその病弱な人に拝まれに自ら行こうとしていた。ちょうどその時、普天間権現を拝む人、二、三人に出会ったそうだ。「あなた方はどこへ行くのかね」と聞くと、「普天間権現を拝みに参ります。」と言った。「普天間権現は、今ここにはおいでにならないはずだよ。」と言われた。「どうしてでしょうか。」と聞くと、「それは、ある所に体が弱く歩くこともできない者が、毎日権現の話をし、(それを聞いた権現は)その人に拝まれに自から出かけになったということだよ。」と答えた。そのことを言ったのは、本当の権現であったようだ。だから、信心深い人の所へは、どこへでも拝まれに自ら、でかけになったそうだよ。 |
| 全体の記録時間数 | 3:08 |
| 物語の時間数 | 3:08 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |